遠征旅立ち編-6.異世界人に乗っ取られた国?
「···よし。これなら話し声を聞かれる心配はなさそうだな」
クリートの国に入って宿を確保した。そしてチェックインを済ませて宿の大人数用の部屋に入った。すると、ネボラはすぐに隣の壁を軽く叩いていた。
そしてこの言葉だ···。作戦会議といい、何かあるな?
「おい?どうしてそこまで警戒するんだ?」
「念には念を入れてるだけだ。壁は厚みがそれなりにあるので、会話を聞かれる心配はなさそうだ。ちょっと一息ついたら話そう」
まぁ、ここまで魔獣退治しながら旅をしてたしな。荷物ったってオレの無限収納リュックだけだから身軽に来たから楽ではあったけどな。
「みんなお疲れ様。長距離だったから疲れただろ?」
「ちょっとだけ!」
「でもこんなにあるいたことなかったね」
「つかれたぜ···」
「おれも···」
レグスとフェアは日頃から鍛えてるってのが大きいな。さすがに鍛錬を始めたばかりのアルとルエルには厳しかったな···。5歳でここまで歩けるのも大したものだけどな。
ゆっくりしていると、子どもたちはソファで4人並んで寝てしまった。レグスもフェアも、口では大丈夫って言ってたのにちょっと背伸びしたかったのか···?並んで寝ている姿はほほえましいものだな。
「子どもたちもよくここまで頑張ったものだ。ちょうどいい。ここからは子どもたちにはあまり聞かせたくない内容だったしな」
「んで?作戦会議ってどういう意味だ?」
「言葉の通りだ。···ここまで歩いてきて気づいたことがあってな。おそらく···、ここは以前のクリートの国ではない」
「···どういうことだ?」
「まず、技術レベルが違いすぎる。こんな大きな建物を建てられるはずがないのだ」
「そういや、お金持ちでもねえって言ってたな?」
「ああ。それに、これほどの建物を建てるには相当長い時間が必要だ。国の外壁はテーパーよりも貧弱だ。魔獣の襲撃でいつ突破されてもおかしくない防備なのだ」
「そういえばそこまで立派な壁じゃなかったな。確かにこんな大きな建物を建てるぐらいなら壁を強化するって事か?」
「為政者ならそう考える。先に結論を言うぞ。ここは『外の理の者』たちに乗っ取られてる可能性が高い」
「···マジか」
「ああ。根拠はさっきフロントでの会話だ。ここの前の宿を知らないと言った。これはクリートの国民ではないことを示している」
「そうなのか?」
「ああ。なぜなら···、この宿は···、元国王が経営する宿だったからだ」
「元···?」
「元国王は隠居してここの宿を建てて、自ら経営していたのさ」
「またなんで···」
「以前、ここに宿泊した時にご本人に聞いたのさ。『人間観察が趣味』だからだそうだ。宿にはいろんな客が来る。そういった人たちを観察するのが楽しいのだそうだ」
「変わった趣味だなぁ〜」
「もちろん、国民全員もこの事は知ってたのさ。だから···」
「国民じゃねえってわけか···」
「その通り。ただ、あのフロントが本当に他国の人間で知らなかったという可能性はあるが、こんな有名な話を同僚がしないはずがないし、ほかの客から質問も多くあるはずだ。フロントというのはあらゆる質問に答えれるように事前に調べて知っておくのも業務の一つなのさ」
やっぱりコイツは鋭いわ。部屋を取る時にここまで考えてたなんてなぁ〜。
確かにオレには違和感は感じなかった。むしろオレとしては『フツーの国だな』って事しか思わなかったんだ。
でも、ネボラは違った。以前と雰囲気が一変してるのに気づいたんだ···。以前に来たことがなければ、これはわかりようがない。
「なるほどなぁ〜。···で?どうするんだ?」
「とりあえず町の様子、そして城の様子を確認する。ちなみにレオ?もし私の予想が当たっていて、ここが『外の理の者』たちによって占拠されていたとしたらどうする?」
「問答無用で全員送還だな」
「ふむ···。確かにレオならそう答えると思っていた。しかし、どうもここは雰囲気からしてここに馴染もうとしていると思われる。よそとの軋轢もないし、これから攻めようという雰囲気もない。この場合はどうなるのだ?」
「う〜〜ん···」
「レオは神に問い合わせてほしい。今の状況で対応に迫られた際に、判断が鈍るのは避けておきたい。アリウスの件もある。おそらくは大きなもめ事にはしたくないとお考えだとは思うが···」
「···わかった」
最近、変わった異世界人が多いように思うな。以前みたいに侵略して滅ぼしてやる!って連中ばっかりだったから、オレも手加減抜きの全力全開で送還してたんだよ。
ところが最近はアリウスのような避難による難民、そしてここのように乗っ取ってるものの、いたって平和で侵略っぽくしてない場合。
これはさすがにオレも判断に迷うなぁ〜。オレとしては『仲良くしよう!』ってな感じなら警戒はするけど送還まではする必要はないと考えるんだが···、当のエレはどう考えてんのかなぁ〜?
あいつのことだから『あ〜、それは想定外だわ···』って言うかもな。
「お〜い!エレ〜!」
オレが呼び出そうとすると、目の前に光る絵が出て、そこにはエレが映るんだ。いつもの光景ではあるが、こうして話ができるってのもすごいな。
しかし、今回はいつもと雰囲気が違っていたんだ···。
『おっと!?レオ!?ちょっと手が離せないんだけど!』
「なんだなんだ!?どうしたってんだよ?」
映し出されたエレは、なんか緊迫したような雰囲気だった!何が起こってるんだ!?
『今、こっちは大攻勢受けてるんだよ!(ズドーーーン!!)うわっ!?ちょ!?直撃だとぉ!?』
『エレく〜〜ん!今の攻撃で第3ブロックが大破しちゃったよ〜〜!?』
『なんだってーー!?ナビくん!乗組員は!?』
『全員救出成功したみたい!でも重傷者多数だって〜〜!!』
『クソったれ!!まさか地対空ミサイルなんて持ち出してきやがって!!ここはファンタジーの世界やろが!?現代兵器持ち込むなんて反則やろー!!』
『しかも魔法のバリアを貫通した弾だったよ!···え!?さらに何かこっちに向けて飛んできてるよ〜!?』
『おいおい···!?航空戦力相手なんてこの空中庭園は想定してないぞ!?しかもなんだよ!?あの『コバビ◯チっぽいムカつく顔の円盤の兵器』と『雪だるまもどき』の物体は!?』
『エレく〜ん!あのビーム兵器、バリアのHPをガンガン削ってるよ!あの魔力弾も見た目以上に威力が高すぎでバリアがもたないよ〜!』
『あ〜!!もう〜〜!なんで急に某シューティングゲームっぽくなってんだよ!?こっちは残機制ちゃうしコンティニューもできへんねんぞ!?何度も追い返してるから対策されてるんだな!こうなったら···、奥の手を出すか!』
『エレくん!?本気なの!?アレを使ったら···』
『···ああ。空中庭園も無事では済まないだろうな···。だが!ここで連中を潰しておかないと!これ以上···、空中庭園の乗組員と地上のみんなを巻き込むわけには···!』
『···わかったよ、エレくん。それじゃあ、下部にいる乗組員に退避命令出すよ』
『···ああ。オレが至らぬばかりにこんな事になっちまったか···。済まない、レオ!落ち着いたら連絡する!』
···そう言って切れてしまった。
どうやらエレの空中庭園が墜ちそうになってるようだ。そこまでの大攻勢は初めてじゃね?だから大慌てしてたんだな···。
「レオ?神はなんだかただならぬ状況のようだったな···」
「ああ。これはちょっとマズい状況なのかもな。とりあえず···、オレの判断で動くことにする」
「わかった。で?レオとしてはどうする?ここで決めておいた方がいい」
「無害なら放置、害するなら···、強制送還する」
とりあえず明日から調査するぞ!
クリートの国はネボラさんが言うには以前とはまったく違う雰囲気になってるとのことでした。
これはさすがにレオくんでは気づかないですよね~。以前に来たことがないとわからない差というものはね。
そしてエレくんの方は大攻勢を受けていました!この章が始まる前にチャットGPTで描いてもらった空中庭園のイメージ図をご覧いただけたと思いますが、地上を標的にしていたコンセプトだったので航空戦力には対応していません。しかも相手は某ファミコンの有名シューティングゲームのボスに似たような物体ですから一筋縄ではいかないでしょう。
エレくんもピンチになっちゃいましたね。この結果はだいぶ先で明らかになりますので、どうやって乗り切ったか?をご期待ください。···某シューティングゲームをご存知の方でしたら、もしかしたら答えわかっちゃったかもしれませんが(笑)。
さて次回予告ですが、レオくん一家は翌日クリートの国の中を調査します。まずは前回気になった市場に行きますよ~!露店だった市場が立派な建物になってましたね。そこでネボラさんが以前行ったことのあった店があったので事情を聞いてみると···?
それではお楽しみに~!




