遠征旅立ち編-4.子どもたち、初めて集団で狩りをする!
「···よし!こんなもんでいっか!」
「やはり真のトランスはすごいな。星の力と言うが、まさに神の所業に近いのではないか?」
「まあな。一応『神の遣い』っていう代行者ではあるからな。···なのにいまだにお前に勝てねえってのが納得いかねえけど」
「ははは!それは相性というものだからな。さすがに命を取ることはできないが、負かす事は比較的容易というわけだ」
今日、オレたちはここテーパーから旅立つんだ。それに先立って、先日オレが提案した『設備の状態を固定する』ことと、『テーパーの国が発見されないようにするカモフラージュ』を今施しておいたんだ。
これによってテーパーは周囲の風景に溶け込んで見えなくなってしまったんだ。さらに近づいたら無意識にここから遠ざかるようにもしている。よほどの事がない限り、ここには魔獣すら近づかないようになったんだ。神狼族とその仲間たちのみ入れるって仕様だな。
「しかしレオ?ここまで便利な魔法があるというのに、なぜほかで使わないのだ?」
「こいつは龍脈の力を使うんでな。何か所もやったら星の力を使い果たしてこの世界自体が滅亡してしまうんだよ。そんなことになったら本末転倒だ」
「ではなぜここは使ったんだ?」
「お前にとってここは大事なところだからだ。それに、オレたち神狼族が今後も活動していくのに重要な場所となるだろうからな。先行投資って言うんだっけ?」
「···嬉しいことを言うじゃないか!ありがとう」
「気にすんなって。よし!それじゃあ次はクリートの国へ行くぞ~!」
「「「「は~い!」」」」
クリートの国はここテーパーからさらに北へ行ったところにあるんだ。オレもたまに行くんだが、このテーパーよりも小国なのに魔獣の襲撃にも対応できているようなんだ。
まだテーパーが健在だった時に危ねえって話もあったんだが、大丈夫なようだったな。ネボラも『要請がなければ応援に行かない』って言いきっていたんだがそれは正解だったようだ。
歩くこと3日···、って言っても最近は子どもたちの身体強化魔法の訓練も兼ねてかなり速い速度で進んでいったんだ。ネボラもこれについてこれるってのがすごいわ···。さすがに川を跳び越える!ってのはムリだったのでオレが抱えて跳んだけどな。
道は一応あるんだが、いかんせん人通りがほとんどないので獣道程度しかないんだ。それだけ魔獣の襲撃が激化しているってのがある。商人たちもたくさんの護衛と荷馬車を用意しておかないと危なすぎて国を回るってのはできねえんだよな。
だからこそ、異国の商品というのはものすごい値段になるらしい。そりゃ、護衛に支払う金額がバカならねえし、危険を冒してるんだからそうなるよなぁ~。
もちろん、オレたちはその獣道を進む。道中発見した魔獣はもちろん狩っておくぞ!
「レー!アル!ルエル!あそこにいる!」
「フェア!わかった!」
「おいらもやってみる!」
「おれだって!」
そして子どもたちも狩りの実習をやってる。監督はオレとネボラだ。
これまで鍛錬ばっかだったからあんまり子どもたちの実力と特徴、長所短所が見えなかったが、実習をやってある程度つかめてきた。
レグスは万能タイプだ。魔法も剣術も使いこなして相手を追い詰めていく戦法を好んでいる。
フェアは索敵能力に秀でている。どちらかといえば魔法が得意なようだな。魔法で後方支援をしつつ、指令的な位置でレグス、アル、ルエルに的確な指示を出していたんだ。
アルはどちらかといえばパワー系だな。身体強化魔法が結構得意で、ちっこい体なのに敵をどちらかといえば叩き潰す!ってな具合だ。ネボラによれば『槌か斧を持たせた方がいいかもしれない』との事だ。
一方のルエルはスピード特化型だ。おとなしいのでアルのような派手さはないものの、一気に間合いを詰めて一撃必殺!ってな攻撃をよくやっていたんだ。槍が向いてるだろうな。
そしてオレはここで気づいたんだ。連携がちゃんとできていたんだ···。まだアルとルエルは鍛錬すらおぼつかなかったのにだ。
「レオ。もしかすると、子どもたちの共有能力で連携が取れているのかもな」
「かもな。フェアはおおまかな指示しか出してないけど、結構理想に近い追い込みをしてレグスとアルが仕留めているな」
「ははは!鍛錬も大事だが、やはり実戦に勝るものはない。私もここまでできるとは思ってもいなかったな。やはりレオの血を引いてるだけはある」
「お前が仕込んだ剣術も活かされてるぞ。まだまだ幼いんだけど、もう立派な狩りができるようになってるなんてなぁ~。成長がここまで速いなんて思わなかったぜ」
「確かにレオは今の状態で顕現したのだから、幼い子がどうかなんてわからないしな。···そういえば、レオは出会ってから背がそんなに伸びてないな。もう成長期は終わったのか?」
「知らねえよ···。おそらく成人してるから身体的にこれ以上は成長しねえのかもな」
「そうか···。ということは、あの子たちも···」
「オレと同じくらいまでは成長するんじゃね?エレに聞いたら『某マンガの戦闘種族をマネしたから、一気に成長して長期間戦闘できるように若い状態が死ぬ直前まで続くと思うぞ~!』って言ってやがったからな」
「···よくわからんが、そうか。私だけが老いてしまうというわけか···」
「こればっかりは仕方ねえよ。種族そのものが違うんだし、さらにはオレたちは普通じゃねえんだからな」
「わかっている。まぁ、可能な限り抗ってみるさ。おっ?そろそろ終わるみたいだな」
子どもたちの狩りの様子をみながらネボラと話していたら、狩りは終わったようだ。軽いケガはしてるようだが無事でよかったぜ。
「いたたた···。ちょっとゆだんしちゃったかなぁ~?」
「はい!レー!かいふくまほうかけたわよ」
「ありがとう、フェア!」
「パパみたいにじょうずにかれなかったなぁ~。たべれるところがなさそうになっちゃったぜ···」
「アルはかげんしらなさそうだね。おれはなんとかくびをきれたからたべれそうだよ!」
「みんな!最初にしては上出来だ。だが忘れてはいけないのは、狩りで一番大事なのは自分の命だ。軽いケガで今回は済んだが、もしかすると攻撃の際に毒を入れられる可能性もある。油断はしてないだろうが、極力攻撃を受けないようにするんだぞ!」
「「「「はいっ!!」」」」
ネボラが講評している間にオレは子どもたちが狩った魔獣を無限収納リュックに入れていった。入れることで解体もしてくれるので非常に便利だ。
そうして翌日にクリートの国の壁が見えてきたんだ。
アルくんもルエルくんも狩りに参加して見事成し遂げました〜!
ちゃんと連携して倒しました。この集団での狩りが得意というのが神狼族の特徴であり、そのための共有能力なんですね。今後もメキメキと成長していきますよ〜!
さて次回予告ですが、レオくん一家はクリートに到着しました。ここはネボラさんが10年前に来ていたようですが、中に入ると同じ場所なのに風景がガラッと変わっていました。何があったのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




