家族編-13.難民
「···世界を越えたらここだった」
「···なに?まさか、キミはこの世界の住人ではないのか?」
「···そうだよ」
大通りでひったくりをしたアリウスくんを捕まえてお話を聞いたら···、とんでもない話が出てきちゃったんだ!
アリウスくん···。『外の理の者』だったんだ···。
「どうしてこの世界に?」
「おれたちが住んでいた世界が滅びかけてたんだ···。だからそこから逃げようとしたら、ここにたどり着いたんだよ」
「キミだけがたどり着けたのか?」
「わかんねえんだ···。だけど、住んでた世界から飛び出した時に、多くの人が脱落したんだ···。親も···」
「そうか···。異世界からこの世界は侵略されているが、侵略以外の目的でたどり着く人たちもいるのだな···」
「ママ?どうする?」
「アリウスくん、どうなっちゃうの?」
「こればかりは私では判断できんな···。パパに確認してみないことには答えが出せない。だが、このままではアリウスくんは飢え死にしてしまうな。とりあえずうちで保護しよう。そしてパパに判断してもらうとするか」
「「うん!」」
「というわけだ。キミはいったんうちで保護しよう。そのあとは任せておきなさい。悪いようにはしないからさ」
「···信用してもいいのか?」
「それはキミ次第だ。私はキミに選択肢を与えた。どの選択をするか、信用するかしないかはキミ次第だ」
「···わかった。頼む」
「よし!それじゃあうちに帰るとするか!様子を見に来たらまさかこんな事になってるとはねぇ〜。これも運命ってやつなんだろうね」
どうやらママはぼくたちがどう行動するか?をこっそりと見守ってくれてたようだ。だからすぐに飛び出して助けてくれたんだね!
そして夕方になり、パパが帰ってきた!
「ただいま〜!今日も大量に狩ってきたぜ〜!」
「お帰り、レオ。ちょっと客人が来ていてな。レオに相談したいことがあるんだ」
「客人···?その子の事か?」
「ああ。実は···」
ママが今日のお昼にあった話をしてくれた。途中まではパパも『ふ〜ん』ってかんじで聞いてたんだけど···、アリウスくんが異世界からやって来たって聞いてから、顔が険しくなったんだ···。
「あ〜···、侵略じゃないパターンは考えたことなかったなぁ〜。おそらくエレも想定外じゃねえかな?」
「やはり、神もそうか···」
「まあな。だいたい、今まで侵略して乗っ取るって野蛮な世界ばっかだったからな。エーレタニアに逃げてきたってのは今までなかったんだろうな」
「なるほどな。それで、アリウスはどうする?」
「むぅ〜〜。とりあえず明日朝イチでエレに聞いてみるわ。目的が侵略でない以上、オレとしては送還する理由がない。それに、送還する先の世界が崩壊しているところに返すってのもなぁ〜。家とか生活についてもおっちゃんに確認するわ」
「うむ、そうだな。というわけだ、アリウス。今日はここに泊まっていくがいい。明日以降についても、どうするかが決まるまではここにいたらいいぞ」
「あ、ああ···。ってか、あんたら何者なんだよ?話を聞いてたら神を知ってるような感じがしたんだけど···?」
「ん?ああ、オレは簡単に言えば『神の遣い』ってやつだ」
「『神の遣い』···?」
「そう。この世界っていろんな世界から侵略されてんだよ。そういった連中を追い返したり、人々の生活を脅かしている魔獣を退治したりするのがオレの役割なんだよ」
「そ、そうなのか···」
「ああ。まぁ、事情はわかったから、この世界の神にどう対応したらいいか確認するわ。あいつのことだから悪いようにはしないと思うぜ」
「あ、ありがとう···」
どうやらパパはアリウスくんを守ってくれそうだね!神様にもそうするように伝えてくれるって!
そして翌日。パパは神様に話をしていたんだ。
話している様子はぼくたちも見えるんだよ!パパの前に光る絵が現れて、そこにおじさんが映ってるんだよ!
『やあ!おはよう、レオ!』
「おう。今日はちょっと問題が起こっちまってな。それで相談したいんだ」
『問題···?変な魔獣が現れたとか異世界の侵攻か?』
「似たようなもんだな。実は···」
パパは神様にアリウスくんの話をしたんだ。そうしたら···、
『あ〜···、侵略じゃないパターンは考えたことなかったなぁ〜』
思いっきりパパと同じセリフを言ってたんだ···。
「このパターンだと送還する理由がねえ。しかも崩壊している世界に送還ってのもなぁ~」
『確かに。人道上、この場合はエーレタニアに害を及ぼさない限りは保護するしかなさそうだなぁ~』
「その世界の神から何らかのアクションってねえのかよ?」
『···ごめん。神様同士で連携ってないんだよ···。お付き合いないからアクションされたことない···』
「マジか···。ぼっちなんだな···」
『ただ、そのアリウスくんだっけ?親御さんは世界を渡る時にお亡くなりになったって事は、何らかの事故があったのかもね。そうなると申し訳ないが人数はそう多くないのかもしれない。少人数なら受け入れはするけど、世界人口丸ごとってのはさすがにお断りだなぁ~。共倒れしかねないし、それが原因でうちの世界が崩壊ってのも神として無責任すぎるからね。ただ···、その場合の対策はこれから考えるよ。そのアリウスくんはレオのところで受け入れてくれるんだね?』
「一応この国で住めるように手配はするつもりだ」
『わかった!こっちも相変わらず攻勢が続いていてね···。もしかしたらそっちにも行くかもしれない。ある程度準備もしておいてくれ』
「ホント、いつまで続くんだよ···?」
『それはオレが聞きたいよ···。あっ!そうそう!ちょうどよかった!レグスくん!フェアちゃん!6歳の誕生日過ぎちゃったけどお誕生日プレゼントをあげるね~!』
「おい!?」
「「おたんじょうびぷれぜんと~?」」
『は~い!これ!パパも使ってる魔力剣(お子さまバージョン)だ!成人するまで切れ味に緊急時以外制限がかかるけど、これでいつでも魔獣退治に出かけれるぞ~!しかも剣以外の形にもできちゃう優れモノだ!』
「え!?いいの!?ありがと~!」
「パパといっしょ~!?ありがと~!」
「···おい、エレ?子どもたちにまでプレゼントするのかよ?」
『そりゃ、これから魔獣退治をやってもらうんだから、ナイフだけじゃ頼りないでしょ?神の業務の代行なんだから、必要な武器はこっちで準備させてもらうさ!ついでにアルくんとルエルくん用も一緒にレオの無限収納リュックに送っておくね~!』
「えっ!?おいらたちにも!?」
「おれにもくれるんだ〜!ありがと〜!」
『ははは!喜んでくれて神様のおじさん、嬉しいぞ〜!』
「···おい、エレ?あんまり子どもたちに危ないことさせたくないんだけどなぁ~」
『気持ちはわかるが、本人たちがやる気なら否定しちゃいけないぞ?やる気がないなら強制はしないからさ』
「···わかったよ」
『それじゃ、引き続きよろしくね~!』
そう言って神様とのお話は終わったんだ。ぼくたちにパパとお揃いの武器までもらちゃったよ~!
パパが神様と話している様子を、アリウスくんは黙ってずっと聞いてたよ。
アリウスくんの世界、実は本編第2章で登場した観測者のリンさんの世界なんですね。世界を越えるのに失敗して多大な犠牲が出てしまったんですよ。アリウスくんは運良くエーレタニアまでたどり着けたんですね。
エーレタニアにはバンバン異世界から侵攻がありますが、そもそも世界を越える事自体が非常に難しいんですね。ほかにも侵攻しようとして失敗してしまった世界があったのかもしれませんね。
さて次回予告ですが、難民のアリウスくんはフリード将軍が預かることになりました。そしてレオくんはいよいよ本格的な遠征に向けて準備を始めますよ~!
それではお楽しみに〜!




