殲滅編-5.夫婦と言われても問題ないな!
テーパーが謎の異世界の軍勢に滅ぼされてから1か月が経った。
この間にテーパーから避難してきた人たちは全員受入れが完了した。仕事はどこも人手不足だったので、喜んで受け入れてくれたんだ。
まぁ、ネイレとテーパーじゃ国の規模が違いすぎた。慣れるまではもうちょい時間がかかりそうだ。
ありがたかったのが、避難してきた人の中にはなんと鍛冶職人さんがいたんだ!これで設備が整えば、ここの兵士たちの装備はそれなりに充実して戦力アップにはなるだろう。
ただ、テーパーを滅ぼしたような人形兵器がここにやって来たらまず勝ち目ないけどな···。
あんな連中に対応できるのはオレとネボラだけってのが厳しいな···。当面はネイレの周辺しか手が出せないってのが厳しい···。
そんな時だった。
「そんじゃあ、行ってくるわ」
「ああ。気をつけてな」
その日はオレはネイレ周辺の巡回に出かけた。アイツはテーパーから避難してきた人たちのケアをやってんだ。
オレが外に出ると、なんと通りすがりのおっちゃんがいたんだ。珍しい事もあるもんだな。
「レオ、おはよう」
「おう、おはよう。珍しいな」
「ははは!いや、ちょっと早朝に城へ用事があったのでな。城の改築が始まったので、ちょいと見に行ってたのだ」
そう。テーパーが滅んだ事から、ネイレもいい加減に木造の城から石造りの城にする事になったんだ。これにはテーパーからの人たちの仕事先という意味合いもあるんだとさ。
これまた幸いな事にテーパーの修理業者さんがいたんだ。人数は少ないが、指導しながらゆっくりと建設するんだってさ。
「そういえば、さっきレオが家を出る時にネボラ様に『行ってくる』と言ってたな」
「ん?言ったけど?それがどうしたんだ?」
「いや、ネボラ様との同棲生活が順調そうに見えてな。夫婦と言われても問題ないようなやりとりだなと思ってな!」
「ちょ!?なにとんでもねえことを言いやがるんだ!?違うって!アイツと夫婦だなんて、まっぴらごめんだ!!」
「ははは!そうかそうか!それだけの仲に見えるんでな。冗談で言ったのではないぞ?」
「だったらなおさらだ!」
「そう言うな。本当にまっぴらごめんなら一緒に住んでないし、あんな言葉をかけたりはせんぞ?ただの照れ隠しだとわかっておるぞ」
「なんでそんなひん曲がった解釈してんだよ!?さっきのが本音だ!」
「ははは!レオはわかりやすいな〜!わかったわかった。今日は魔獣退治に出かけるのか?」
「ああ。本当は遠征に行きたいんだけどな···。この状況じゃあ、オレがいない間に人形兵器が来たらと思うとな···。とりあえず周辺の魔獣の脅威だけでも取り除いて同時攻撃をされないようにはしておかないとな」
「ううむ···。テーパーをあっさりと壊滅させた兵器か···」
「もし来たら、この国を放棄して逃げろよ?命があればなんとでもなるんだからな」
「そうだな···。だが、ほかに頼れる国が近くにないというのがなぁ〜。テーパーも滅んでしまったし···」
「···あ〜、そうなるか」
「だからこそ、レオとネボラ様の力が必要だ。ここが『人族最後の拠点』となるかもしれんが、何としてでも守り抜こうという決意は変わらんよ」
「そうならないように祈りたいぜ···」
話をしながら門にたどり着いた。そして、オレは門を出て魔獣狩りに向かったんだ。今日向かうのは昨日とは逆方向だ。
「せいっ!」
···おかしい。魔獣が思ってた以上にいやがるぞ?しかもなんかこっちに向かってきているような雰囲気だ。
もしかして、スタンピードの前兆か?それにしちゃ黒魔力は見当たらねえんだけどな···。あれば魔獣が大量に発生しちまうんだけどな。
さらに奥へ行くと、魔獣の数が増えた!もしかして、ダンジョンでもできてそこからあふれてんのか?
とにかく原因を突き止めねえとな!こんな数が来たらちょっとヤバい事になりそうだ。
押し寄せる魔獣をすべて倒していくと、広い平原に出た。すると、そこには見たことのないドラゴン族がいたんだ!人型モードのようだが翼の色からすると、白銀竜だな。
「ふん!俺様に恐れをなしたか!逃げろ逃げろ!そして俺様が全部食い尽くしてくれるわ!ははは!」
···あ〜、そういう事か。コイツ、狩りで魔獣を追い込んで一気にまとめて倒そう!って魂胆なんだな。
そして追い込まれた先にいたのがオレで、ネイレがあったってわけだな···。
思いっきり迷惑だ!!
「おい!!」
「んっ?人?ちょ!?なんでそんなとこにいるんだ!?おい!逃げろーー!!」
「なに勝手なことをほざいてんだ!アンタのおかげでこっちは迷惑してんだ!!」
「聞こえなかったのか!?逃げろーー!!」
「ああ!もう!オレの声が聞こえてねえのかよ!?じゃあもういい!オレが全部倒させてもらうぞ!」
仕方ねえからトランス状態でやってやる!これはオレが考えた必殺技だ!こういった大規模用のとっておきだぜ!
オレは魔力剣にありったけの魔力を注ぎ込んだ!そして横薙ぎの体勢を取り···!
「必殺!星火燎原!!」
横一文字に一閃!飛び出した斬撃は前方に進むにつれ大きくなっていき、魔獣の群れにぶち当たるとすべてを真っ二つにしてやった!
斬撃は勢いをなくさずに同じ速度で進んだ。さらに巨大化した斬撃は、こんな状況にした白銀竜にも迫った!
「ぬおっ!?あ、あぶねー!?おい!俺様も狙っただろ!?なにしやがるんだ!?」
間一髪で翼を使って空へ逃げたドラゴン族がなんか叫んでるな。飛べるんだからいいだろ?手加減なんて器用なマネなんてできねえよ。この必殺技、そんなに練習できねえんだし。
その後も必殺技の練習台としてバンバン撃ちまくり、とりあえず見える範囲での魔獣掃討は完了した。
オレはトランスを解いて、倒した魔獣を無限収納リュックに回収した。近づけるだけでドンドン吸い込んでくれるので、大量に倒した時は非常に便利だな。
これ、アキに出会ってから知ったけど、掃除機ってのが同じようにやるらしいな。この時はそんな物があるなんて知らなかったけどな。
そうして回収していると、さっきのドラゴン族が降りてきた。
「おい!貴様!さっきはよくも俺様を狙ったな!?」
「············」
「おい!?無視するな!俺様は怒ってるんだぞ!獲物すべて横取りしおって!」
「やかましい!てめぇがいらんことしやがるから、こっちまで魔獣被害出るところだったんだよ!どんだけかき集めたら、あんな数になるんだよ!?」
「え?被害?俺様はここに魔獣集めて一気に狩るつもりだったんだけど?」
「だとしたらかなり漏れてたんだよ!国に被害が及ぶ前にオレが気づいて倒してきたんだ!」
「な!?なんだってーー!?それは済まんかった···。近くに国があるのに気づいてなかった···」
「まったく迷惑なヤツだな···。そういや、てめぇは何者だ?なんで集落で暮らすドラゴン族がこんな僻地にいるんだよ?」
「あ〜、それな。俺様、集落から追い出されてしまったのだ!」
「···はぁ?なにやったんだよ?」
「それがなぁ〜。俺様、ドラゴン族なのに魔法が得意なのだ。それで思いっきりぶっ放したら、味方を巻き込んでしまってなぁ〜」
「···範囲指定やんなかったのかよ?」
「範囲指定···?ナニソレ?」
「···こりゃ魔法使っちゃダメなヤツだわ。もうオレの邪魔すんなよ。そんじゃあな」
「待って!キミめっちゃ強いじゃん!キミと一緒にいたらもっと魔法ぶっ放せるかな!?」
「はぁ?···まぁ戦力は必要だけど、味方巻き込むようなのはなぁ〜」
「頑張るから!キミの集落に入れて!」
「···オレの判断で決めていい話じゃねえんだけどな。とりあえずついてこい。みんなに決めてもらう」
「そう!?じゃあよろしく!俺様はティールって言うのだ。キミは?」
「レオだ」
「レオ!よろしくね〜!」
「···はぁ~。どうしてこうなっちまったんだ?」
そう、これがティールとの出会いだったんだよなぁ〜。コイツもオレたちと最後まで戦い抜いたんだよなぁ〜。
レオくんとネボラさんのなりゆき同棲生活が始まりました!まだ結婚してないのに見送るネボラさんと狩りに出かけるレオくんの姿はまさに夫婦そのもの!
それを見てしまったフリード将軍にいじられてしまいましたね(笑)。こういうシーン、書いてて楽しいですよ~!
そして新キャラの白銀竜ティールさんが登場しました!本作のリオくん同様に魔法が得意なのですが、威力がすごすぎて味方すら巻き込んでしまう困ったさんですね(笑)。力こそすべて!なドラゴン族では魔法メインというのは受け入れづらいというのは昔からそうだったようですね。
さて次回予告ですが、ティールさんを連れてレオくんはネイレに戻ってきました。戦力が少しでもほしいフリード将軍はティールさんを受け入れますよ~!
そして家に帰ると無心に剣を振っているネボラさんの姿が···。そこでレオくんはネボラさんの過去について聞いてしまいました。どんなお話なのでしょうか?
それではお楽しみに~!




