降臨編-22.レオ、脱走する!?
本日は夜勤なので朝に投稿しています。
さらに1か月が経った。
「うぉおおお!疾狼剣!」
ドガガガ!!
「ふむ···、悪くない。なかなかのスピードだ。今までの中では最速の剣だな。だが、まだまだ工夫の余地はありそうだ」
「クソッ!これも防ぐのかよ···!?」
「ははは!まぁ、レオとはいつもやってるからな。もうクセとかも知り尽くしてるから、ほぼ通用しないわよ」
「そんじゃあ、いつまでたっても勝てねえじゃねえかよ···」
「いや?そんな事はないぞ?」
「はぁ?どうやったら勝てるんだよ?」
「それを言うわけないだろうが?言ってしまったら考えようとはしないだろ?それに、私がつまらなくなるからな!」
「だろうな···。お前、本当にオレの相手を息抜き代わりにしてるだろ?」
「そんな事はないな」
いや、息抜きだって知ってるんだよ。というか、コイツの周りがいつもオレを見かけたら、
『レオ様!いつもネボラ様の相手をしていただいてるので助かってます!最近機嫌よく政務されてますし』
『レオ様〜!もうネボラ様と結婚されたらいいんじゃないでしょうかね〜?そうしてくれたら我々に八つ当た···、ゲフンゲフン!ス、ストレス溜まらないでしょうし!』
だとさ。オレが来て相手してから、ネボラは機嫌よく仕事して、周囲は安堵してるんだってさ。
ってか、コイツと『結婚したらいいのに』だなんて、とんでもない事を言う近衛までいやがるんだよ!?そんなもん、こっちから願い下げだ!!
結婚なんてしてみろよ?毎日毎日コイツに斬られまくって尻敷かれるんだぞ!?こんなじゃじゃ馬、誰だってイヤだろうが!?
···あ、そういう事か。だから独身なんだな···。コイツに見合う実力の男がいないからだわ。だてに剣聖なんだから、乗っ取り企てても返り討ちにされるから政略結婚なんてのも声がかからないんだわ。
これ、口には出さないぞ!出したら出したでひどい目に遭うのはオレなんだからな!
「よし、今日はここまでにしよう。レオの必殺技も少しずつ完成が見えてきてるな。そうそう、明日から一緒に出かけるぞ」
「···へ?出かける···?」
「ああ。一度、ネイレに行こうと思っててな」
「ネイレへ?なんで?」
「レオを2ヶ月もうちで預かってるからな。向こうにも一度話はしておくべきだと思ってな」
「だったらオレだけで行くけど?」
「いや、ちょっと事情があってな···。というわけでレオ!明日から一緒に出かけるぞ!」
「···毎度毎度勝手だなぁ〜」
「ははは!それが王というものだな」
これ、何かあるな。城から離れたい事でもあるのかよ···?
翌日の夜明け前···。
「レオ!行くぞ!」
「···ふぇ?···まだ夜中じゃねえかよ?」
「早くしろ!日の出前には防壁を出るぞ」
「ちょ···、ちょっと待ってくれ···。着替えを···」
「着替えは外でしろ。無限収納リュックに入ってるのだろ?行くぞ!」
「お、おい!?」
時間は···、午前3時!?まだ夜明けまで2時間以上あるじゃねえかよ···。
なんでこんな時間に出発なんだよ···?オレはパジャマ姿で部屋を出て、通用門の方へ向かった。
深夜でも通用門には門番がいた。しかし···!?
「(レオ。壁を飛び越えられるか?)」
「(なんでヒソヒソ声なんだよ?まぁ、トランスしたらギリギリってとこかな?)」
「(よし!では私を抱えて壁を飛び越えろ!)」
「(はぁ!?そりゃ『脱走』だろうが!?王のくせに何考えてんだ!?)」
「(理由は後で話す!いいから早くしろ!もうすぐしたら交代の兵士が来てしまう!)」
「(···どうなっても知らねえぞ!!)」
まったく···。どういう理由か知らんけど、これ、オレがコイツを拉致したような事にならねえのかよ?刑罰とか食らわないよな?それだけが心配だが、コイツにそそのかされた!で意地でも通すぞ!
オレはトランスして、ネボラをお姫様抱っこしてやった。トランス状態だから、重くても問題な
「(今、何を考えた?)」
いと···!?コ、コイツ!?オレの心を読んだだと!?
「(こ、こんなことして捕まらないか?って考えただけだ!)」
「(···ならいい。心配するな)」
「(不安でしょうがねえんだけど?そんじゃあ行くぜ)」
危なかったぁ〜!一瞬殺気を出しやがったから、さっきの質問は本気で怒ったんだな···。なんとかごまかしたけど、これ薄々気づいてるんじゃね?
オレは壁を飛び越えた。そして、そのまま防壁へ向けて走り出した。もちろん、音が出にくいように魔法で音を消している。風魔法の一種で、音が周囲に聞こえないように足回りの空気をギリギリまで薄くしてるんだ。
「なかなか器用な魔法を使うじゃないか?」
「ある程度はな。それで?南門でいいのか?」
「ああ。そこも飛び越えてくれ」
「···王様が言うセリフじゃねえよなぁ〜」
誰もいない町中の道を走り抜け、南門の手前で東へ曲がり、兵舎から離れた位置にある壁を、オレは飛び越えた。
完全に密出国だな···。まぁ、それはコイツも同罪だけどな。
そしてしばらく走って門から見えなくなったところでトランスを解いてネボラを下ろした。
「うむ。揺れも少なく快適だったな!なかなかの走法だった。レオ?私専属の馬車にならないか?」
「まっぴらごめんだ!」
「ははは!レオは有能だから、何にでもなれるぞ!」
「オレの目的知ってるんだろ···?なれねえよ」
「いや?そんな事はあるまい?」
「は···?どうしてそう思うんだよ?」
「簡単な事だな。レオの目標を達成した後の話でもあるのだぞ?」
「オレが死ぬまでに駆逐なんてできっこねえよ」
「···それは、レオが1人で全部やったらの話ではないか?」
「うっ···」
「前にも言っただろう?私は仲間だ。レオが1人ですべてやる必要はないのだ。いや、むしろレオが1人でやったら人類は滅びるだろうな」
「へ···?どうして?」
「魔獣を倒したのがレオだからだ」
「それのどこが人類滅亡につながるんだよ?」
「簡単な事だな。『レオに頼れば魔獣を倒してくれる』と、人類みなが思考停止状態になるからだ。そうなると、『自分の身は自分で守る』ということをしなくなる。レオに全任せして、自分たちは口だけ出して手を出さなくなるだろう」
「············」
「レオは気づいてないかもしれないが、これがヒトという動物の考えだ。もちろんそう考えない者もいるだろうが、そういう欲深いのがヒトという動物だ」
「···そうなのか?」
「ああ。というか、これは厳しいものの言いようではあるが、神自身がその欲望でレオを創り出したと思うぞ?」
「なっ!?」
「だってそうだろ?理由はわからんが、神はレオに全任せしているだろ?確かに外の理の者の連中がここにやってきてはいるが、神までいる場合もあるらしい。なぜ、このエーレタニアの神はレオの前に姿を現して共闘しよう!とはしないのだ?」
「············」
「そこまでは聞いてないのだな?まぁ、それはおいおい聞き出せばよかろう。とにかく、目的は崇高だが、達成した後どうするか?を考えるのはムダではないと思うぞ?それにしても···、神というのはまるで人のような欲望を持ってるものなのだな!」
目的を達成した後···。この時、オレは考えることができなかったんだ。
結局は死ぬ直前まで戦い続けたんだが、まさか死後にこうやってアキの神の業務のサポートなんてやるとは思わなかったなぁ〜。
レオくんとネボラさんの2人旅···、まぁ密出国なんですけど始まりました!これまではお城の練習場でキャッキャウフフしてたのが国外でのキャッキャウフフになりました(笑)。
ネボラさん、結構核心を突く意見を言いましたね。これは誰しも楽したい!って思うことから来てるんです。作者自身もそうです(笑)。
ネボラさんは神様もそういう欲からレオくんを創ったのでは?と言いましたが、まさにその通りです。エレくん、戦闘力ないので戦線に立てないですからね。
さて次回予告ですが、旅は順調に進み、ネイレにやって来ました。そしてフリード将軍とネボラさんが久々に出会い、フリード将軍は大慌て!突然の来訪であたふたしてると、ネボラさんからとんでもない提案が!?何言ったんでしょうね?
明日からは通常通り夜の投稿です。
それではお楽しみに〜!




