降臨編-20.レオ、自分の剣術を作り始める!
オレがテーパーの剣客としての生活を始めて1か月が経った。
「がはっ!?」
「どうした?だんだん攻撃が単調になってきてるぞ?」
「くそっ!まだまだ!」
「ははは!いいぞ~!その気迫でかかってこい!」
相も変わらずオレはネボラにいいようにされてしまっていたんだ···。
もちろん、オレもいろいろ考えて攻撃はしてはいる。常時本気でやってるんだ!それでもネボラには一向に届く気配がないんだよなぁ~。
「はあっ!はあっ!」
「うむ···。今日はここまでにしよう。私もなかなか楽しかったぞ」
「楽しかったって···。オレはお前のおもちゃかよ?」
「おもちゃ···?ははは!確かに言葉通りだな!遊ばせてもらってるわ!」
「ちっ!思いっきり腹が立つけど、やり返せないのがなぁ~」
「ははは!やはりレオはおもしろいな!最初に出会った時に気に入ったのは大正解だったな!」
「こっちは腐れ縁ができたようなものだぞ?」
「そう言うな。この1か月でレオの実力はかなり上がってはいるのだぞ?」
「マジかよ?」
「ああ。おそらく最初だと、ここまで戦闘が長くは続かんだろうからな」
「そう言えば···。真のトランス状態でも長く続かなかったな」
「なに、まだ慌てるような状況ではないのだろう?ヘタに上達を急いでしまうと中途半端になり、それは自らの命に係わる。レオはこれから多くの人々を救う使命があるのだろう?『神狼族』としての使命を全うするために力を今ここで蓄えることこそ、神が望んでいることではないか?」
そう、この1か月でオレの事が完全にバレてしまったんだよ···。はっきり言って誘導尋問にひっかかったんだよ!
まぁいいけどな···。一部がバレたその日の夜にエレから近況を聞かれた時に言ったら、
『あ~、まぁいいんじゃね?レオの使命の助けになると思うよ。ガンバ!』
って言われちまったぜ···。
神公認ならもういいや!と思って、次の日に全部バラしたんだ。そうしたら···、
『思っていた以上に重いものを背負ってるのだな···。ますますレオの助けになるよう、私としても助力は惜しまないぞ!』って言って、そこからシゴキがさらに厳しくなったんだよなぁ~。あの時は『言うんじゃなかった!』と思いっきり後悔したなぁ~。
「さて···、それではそろそろ次の段階に進んでもいい頃合いだろうな」
「は···?次の段階···?」
「そうだ。レオ自らの剣術を作り上げるのだ」
「オレの剣術···?」
「そうだ。私の剣術を教えてもいいのだが···、いかんせん私の剣術は我流でな!私に特化したものなのだ」
「ということは、オレにネボラの剣術は使えねえってことか?」
「使えるものの、おそらく使いこなせずにただ単に剣をがむしゃらに振るうだけだな。だからこそ、レオオリジナルで剣術を作った方が手っ取り早いのだ。というのも、レオには『トランス』と『真のトランス』という変身能力がある。魔法使い放題なんてとんでもないチートではあるが、これを最大限活用するためには既存の剣術では対応はできないだろう」
「そういうもんか?」
「ああ。だからこそのオリジナルだ。さしづめ『レオ流』とでも言うべきか?」
「やめてくれよ!?そんな恥ずかしい名前つけんなよ!?」
「ははは!まぁ名前は好きにしたらいいわ。だが、技名は必ずつけるのよ」
「なんで?いちいちそんなの叫んでたら、相手に攻撃を予告するようなものだろ?」
「確かにその考えは正しい。しかし、技名を叫ぶという動作を事前に行うことで、体が反射でその技を繰り出すのに最適な動作をしようとするのよ。技の精度、威力が大幅に上昇するわね。相手に気取られてしまっても、その前に技を繰り出してしまえばいいから、メリットのほうが大きいわ」
「へぇ~、そんな効果があるんだ」
「まぁ叫ばない技もあるが、これは暗殺技に近いな」
「そりゃ、隠れて暗殺するのに声なんて出せないよなぁ~」
「そういうことだ。剣術の基礎についてはどの流派もほぼ共通だ。まずはそれを明日から教えよう」
「へいへい」
オレ専用の剣術ねぇ~。確かにネボラの剣術はオレにはむいてないのかもしれない。
というのも、ネボラは当てる寸前で止めて攻撃を変えたりすることが多いんだ。しかもそのまま当ててくることもあるし、攻撃がまったく読めないんだよ。
一方のオレは寸止めなんてのは苦手だ!あれをマネしろ!というのは厳しいものがあるのは間違いない。
ここ最近、やっとネボラがどういった攻撃なのかが少しずつわかるようになってきたんだ。それだけ痛めつけられたってのが正しいんだけどな···。
そして翌日···。
「それでは剣術の基礎について話と実践をするとしようか!」
「おう」
簡単に説明すると、剣術というのはいかなる場面においても通用する剣の振るい方、そして特定の状況下において効果を特に発揮する剣の振るい方だ。
まずは剣の持ち方だ。持ち方は片手、両手の2種類。片手だとリーチが伸びて間合いが広がるが、威力は弱い。両手だとリーチは短めで間合いも短くなるが、威力が強い。
そして足さばきだ。これも結構重要だ。片手持ちの場合は剣を持つ腕の側の足を前に出し、反対側の足は前に踏み出すようにする。こうすることで初動が速くなるのと間合いを大きくとることができる。また相手に対して体が斜めになるので、正面から見た面積が小さくなって攻撃が当たりにくくなるというのもあるんだとさ。
例えば右手片手持ちなら右足を前に出して左足は下げて左足の踏み出しで前に出るってわけだ!
一方の両手持ち。これは利き手を剣の鍔の方に持ち、利き手じゃない手は剣の下側を持つんだ。右利きなら右手が上、左手が下になる。足さばきは利き手側が前になるんだ。
次に剣の振るい方。基本の型は3つあり、
・縦に振るう
・横に振るう
・突く
となり、実際はこれを組み合わせて斜めに切り下げたり切り上げたりといった形になるんだ。
「以上が剣の基礎中の基礎だな。この3つは飛び道具以外の武器すべてに共通するぞ」
「なんか当たり前にやってたけど、こうやって考えたことはなかったな」
「そこがレオのすごいところだ」
「は···?どういうことだよ?」
「レオは誕生してまだ3か月も経ってないのだろう?なのにもかかわらず、剣をある程度振れている。おそらく神の知識の一つなのだろうが、たった3か月で私に太刀打ちできるようなヤツはいないぞ?」
「太刀打ちなんてできてねえけど?一方的にボコボコにされてるぞ?」
「ははは!まぁ、基礎の型はおおむねいいだろう。次は応用だ。ここからはレオの性格と特性に合わせて考えていく必要がある」
「オレの性格と特性···?」
「そうだ。私は寸止めしたりとかなり器用な剣裁きが得意だ。レオは···、私からすればパワー系とスピード系、どちらもいけると考えているが、器用さは求めてはいけないと思うな」
「パワー系とスピード系···」
「そうだ。これを状況に応じて使い分けれるように鍛錬すればいい。あとは···、せっかくだから必殺技も作るぞ!」
「必殺技?それって奥技みたいなものか?」
「そうだ。レオは魔法も使えるのだろう?だったらそれも織り交ぜたものがいい。どうせなら派手なものがいいな!魔獣を殲滅するのだろう?大規模に展開できると面白そうね!」
「···なんかオレで遊んでるだろ?」
「ははは!そんなことはないぞ?剣術の可能性が広がるのだ。剣をやっててこれほど面白そうなことはないと思うが?」
「そんなもんかよ···」
でも、オレオリジナルの剣術って結構いろんなことができそうみたいだな。まぁ、いろいろ試してみるとするか!
今回は『剣術とは?』という学問的なことを作者なりに考えてみました。
基本的には武器をどう振るうか?という事で、それをパターン化したのが『技』だと考えています。
戦況というのはどこでも同じパターンなんてのは存在しません。これは魔獣退治でも一緒です。同じ魔獣でも攻撃方法が違ったり、戦場の地形が違ってると条件がまったく異なります。
ですので技もある程度応用が利かないと、対応できない場合も出てくるんですね。そして、その技も人によって特性が変わります。
レオくんとネボラさんではほぼ反対のタイプなので、ネボラさんの技をレオくんが使っても十全な威力を発揮できないため、レオくんオリジナル剣術の開発となりました。
···これ、めっちゃ考えましたね(笑)。ですが、これが出来上がれば戦闘シーンが楽になるのでね。いろんな技と名前が登場しますよ〜!
さて次回予告ですが、レオくんとネボラさんは気分転換にテーパーの町へ出かけますよ〜!まさにデート(笑)!キャッキャウフフするネボラさんをお楽しみに〜!




