降臨編-19.真の強さとは···?
「···ん?んん〜〜···。え···?ここは···?」
気がついたら、知らない天井だった。オレは···、何が···?
「ほう?もう気がついたわね」
「···ネボラ?」
「体の調子はどうだ?」
「調子···?」
「あれだけのパワーを出したんだ。人の力を超えた力だ。反動が来てるんじゃないか?」
···そうだ。オレは真のトランスになったんだけど、ネボラには手も足も出なかったんだ···。
「あ、ああ···。特に問題ないな···」
「なるほど···。ははは!」
「···何がおかしいんだよ?」
「気に障ったなら謝罪しよう。それにしても、私はレオにさらに興味を持ったぞ」
「オレに興味だって?」
「ああ。あの2段階の変身能力。神によって創られたというドラゴン族のようだ。···レオは普通の人ではないな?」
「············」
「言えない事情がある、ということだな?」
「まあな」
「そうか···。それは···、その力を知られたら悪用されるからか?悪用されると惨事が起きると?」
「そんなところだ」
「なるほど。ではここで私はレオに宣誓しよう。レオの力を利用することは決してないと。テーパー王としてな」
「···信じられるとでも?」
「レオを私は負かせたからな。勝者としての権利だよ」
「わけわかんねえ」
「ははは!まあそういう事だ。ところでレオ?仲間はいるのか?」
「仲間?」
「ああ」
「なんで聞くんだよ?」
「簡単な事だな。私には仲間がいないからだ」
「へ···?なんでいないんだよ?」
「···私が強すぎるからだ」
「国のトップだろ?部下ぐらい···」
「言っただろ?『仲間』がいないとね。部下はたくさんいるわ。私に近い実力の仲間はいないのよ。だから聞いたの」
「オレは···、フリード将軍とその部下···、かなぁ〜?」
「実力は違いすぎるでしょ?」
「まあな。でも、いろいろ相談に乗ったり乗られたりって事をやってるな」
「そうか···。というわけで、私はレオに『仲間』になってもらいたい!」
「···本気かよ?」
「本気だとも。少なくとも、対人で皆伝奥技を出したのは初めてだったからな!とても気持ちよかった!」
「おいおい···。オレはお前のストレス発散相手じゃねえんだぞ?」
「わかってるわ。で?どうだ?」
「···勝手にしろよ」
「ではそうさせてもらおう!」
勝手に仲間にされてしまったぞ···。コイツ、結構強引だなぁ〜。
でも、だからこそ1国の王としていられるのかもな。オレは王になんかならねえけどな。
「さて、レオには当分は剣客としてこの城に住んでもらおうか」
「···は?なんで?」
「私に教えを乞うのだろう?だったら近いほうが何かと便利だわ」
「マジかよ···」
「というわけで、この部屋を用意させてもらった。すぐ近くが練習場だから、私が時間を作ってレオに教え込むとしようか!」
「···異論は?」
「認めぬ。レオは国民ではないが、王命と思え」
「···へいへい。わかったよ」
というわけでオレはしばらくこの城で厄介になることになった。
ネボラは王だ。オレとの時間なんてそんなに取れねえだろ?
って思ってたらそうでもなかったんだよ!
「レオ!さあ始めるぞ!」
「ちょ!?いきなりかよ!?」
そう、コイツはオレとやり合うのが楽しいらしく、王としての仕事をササッと終わらせて時間を作ってきやがったんだ!
ここから、ネボラによる剣術の稽古が始まった。
「いい?何事もそうだけど、何かを極めるというのは、その物事の本質を見極めるということよ」
「本質?」
「そう。そして、その見極めの確実性が高いと、理に至るのよ。そして、それが真の強さというものなのよ」
「···いきなりすぎてわかんねえな」
「じゃあ、この前の試合を振り返ろうか」
「あんまり思い出したくもないんだけど?」
「ははは!確かに負け戦は恥と思って思い出したくもないだろうな。だが、次の勝機は負け戦にあるものなのだよ。どうして負けたのか?そしてどうすれば次は対応できるか?これを考えるのだ。だから思い出してみろ」
「そう言われてもなぁ~。オレ、剣術なんて知らねえし···。そう言えば、なんでオレが真のトランスの状態で皆伝奥技が効いたんだ?」
「ほう?あの状態は『真のトランス』というのだな?ということはその前の状態は『トランス』という状態なのだな」
「···げっ!?」
「ははは!自分から話してしまうとはな!もうレオは仲間なのだぞ?いい加減意固地にならずにすべて話してしまえ!スッキリするわよ」
「う〜〜〜〜!」
「ははは!ではさっきのネタばらしといこうか!簡単な話だ。どんなに防御力を高めても、あの皆伝奥技には無意味だからだ」
「は···?防御力が無意味···?」
「そうだ。あの技は私の剣技の奥技。鋭い突きのようだが、実は突き自体は大した威力もなく、ただ単に押しているだけだ。まぁ、言い換えればツボ押しマッサージのようなものだな」
「押しているだけ···?」
「そうだ。レオの防御力は、斬撃のような攻撃や鈍器などでの打撃に対して絶大な力を発揮すると見た。しかし、ただ単に剣の先で突くのではなくて押すだけだと、攻撃と判断されなかったのでそのまま貫通したのだろうな。ただ単に押したところからさらに押し込む事でダメージを与えた!という事だな」
「ってことは、オレの足を狙ったあの技も?」
「その通り。むしろ、あれが効いたからこの攻撃はレオの防御の弱点だと見破ったんだがな」
「鉄壁で完璧と思ってたのに、そんな弱点があるとは知らなかったぜ···」
「そう、弱点を今知った。何事も完璧というものはないのさ。必ずどこかに穴があるものだ。となると、次はその対策だな」
「避けるしか手がねえんじゃねえか?」
「それも一つの答えだが、少し弱いな。簡単なことよ。そういった『弱い攻撃を相手にさせずに強い攻撃をさせたらいい』のよ」
「え?逆なのか?」
「そう、逆だ。つまり、敵を煽ってやれば弱い攻撃をしようなんて考えないでしょ?」
「確かに···」
「うむ。これで一つ、レオは強くなった。ただし、これは私には通用せんからな!ははは!」
「こ、こいつ···!」
でも、確かにこれはいい勉強になるし、自分の実力の長所と短所がよくわかるな···。
攻撃の本質ね···。真の強さって、奥が深いんだろうなぁ~。
強さと一言で言ってもその質にはいろいろあります。
レオくんは力にものを言わせるゴリ押しで勝負していましたが、ネボラさんは物理的な現象を利用して少ない力で力の向きを変えるだけというタイプだったので、相性としては最悪です(笑)。
このように無敵状態であっても、物理的に体勢を崩したりすることは可能なんですね。ちなみに皆伝奥技は書き終わってから『···あれ?これって某有名剣豪アニメの技じゃね?』って思いました。ネタバレ集でも公開しますので、楽しみにお待ちください。
レオくんとネボラさんの人柄としての相性は最高なんですよね〜。このギャップが作者的には面白いなぁ〜と思いますよ。
さて次回予告ですが、ネボラさんの指導のもとでレオくんはオリジナル剣術の開発を始めます。というのも、結局レオくんの正体がネボラさんにバレちゃったからなんですね。どんなふうに開発するのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




