降臨編-14.あの女が剣聖だって!?
ネイレに帰る道中で、オレはネボラという女剣士と戦うことになった。
いきなり斬りかかってくるとは思ってなかったからびっくりだったが、正確にオレの実力を見抜きやがったんだ。
さすがに正体までは気づかれなかったけどな。とんでもないヤツがいるとは思わなかったぜ···。
そして帰る道中でも魔獣退治を行なった。普通に道を歩いてたら襲ってくるから、こちらから出向く必要がないのは助かるぜ。
もちろん、すべて無限収納リュックにしまい込んだ。それなりに食料にもなるんでな。
そうしてネイレを出て2週間でオレは戻ってきた。
門のところではオレが帰ってきたと門番から報告があったのか、おっちゃんが中から出てきたぞ。
「おお!無事戻ったか!」
「おう!まぁ、やられることはないけどな!」
「ははは!確かにレオの実力だとそうだろうな!だがな?それが油断につながって、命の危険に自ら突っ込んでしまうこともあるのだぞ?気をつけておくことに越したことはない」
「おっちゃんはオレが油断すると思ってんのか?」
「もちろん!」
「なんで言い切るんだよ···?そんな事しねえって」
「それが油断なのだよ」
「は?」
「レオは強すぎるからな。だからこそ油断が生じやすいのだ。道中、『いきなり攻撃とか仕掛けられて焦った』なんてなかったか?」
「うぐっ···!?」
「なんだ、あるじゃないか?気をつけておけよ。ちなみにどんな魔獣だった?」
「魔獣じゃねえよ···。女だった」
「···ほう?ははは!」
「何がおかしいんだよ!?」
「ははは!いや、レオも女性の色香にやられてしまうとはなぁ〜!」
「そんなんじゃねえよ!?いきなり斬り掛かって来たんだよ!」
「ほう?剣士か。どんなヤツだ?」
「ネボラって名乗ったヤツだ。悔しいけど、剣じゃ勝てねえかもな···」
「なるほど···。剣聖様とやりあったのだな?」
「···は?あの女が剣聖だって!?」
「そうだ。ここから北にあるテーパーという国にいる剣聖様だな。武術の理に至られていて、剣に限らずあらゆる武器を使いこなせると聞く有名人だぞ」
「へぇ〜。ここでも知ってる人いるんだ?」
「まあな。ネボラ様のおかげでテーパーはかなり守りがしっかりしてると聞くな」
「あ〜、確かにな。オレは外から魔獣の襲撃を見ただけだったけど、見事に撃退していたな」
「やはりな。テーパーはうちよりも戦力もあるからな。一応レオには言っておくが···、ケンカふっかけるなよ?」
「そんな事しねえよ!?向こうからやり合ってきたんだからな!むしろオレは被害者だ!!」
「なら心配ないな!」
「まったく···。疲れて帰ってきたんだからゆっくりさせてくれよ···」
「おお!済まんかったな!ゆっくりくつろいで、夕食は先日の酒場へ行くぞ!」
「なんで誘うんだよ?」
「決まっておろう?レオが無事に帰ってきたお祝いだ!」
「···こじつけで宴会したいだけじゃね?」
はぁ~、まぁこういった気の許したやり取りも悪くはないんだけどさ?
2週間ぶりに自宅に戻ってきた。特に異常はなしっと···。背負ってた無限収納リュックを床に下ろして、オレはベッドで横になった。
あぁ〜!気持ちいいぜ〜!旅の最中は寝込みを襲われないように木の上で仮眠するしかできなかったからな。こうして大の字で寝転がれるのはいいよなぁ〜!
そしてそこそこ長く昼寝しちまったんだ···。
ドンドンッ!!
···ん〜?誰だよ?気持ちよく寝てるってのに···。
オレは眠い目をこすりながら玄関に向かい、扉を開けたとたんに影から腕をつかまれた!
「なっ!?」
すぐに扉の取っ手から手を話して腕を引っ込めようとしたら···!?
「ぬおっ!?」
···犯人はおっちゃんだった。
「···何してんのさ?」
「ははは!いや、こうでもしないと宴会に来ないだろ?」
「マジで誘ってたのか···」
「さあ!今日はまだ食べてないだろ!?今日はしっかり宴会を楽しむぞ〜!」
「···ゆっくりさせてくれないのかよぉ〜」
「1人で家で食べるのもいいだろうが、こういうワイワイやりながら食べるのもいいぞ〜!」
「···へいへい。ちゃっちゃと食ってさっさと帰るわ」
オレはもう諦めた。おっちゃんらしい気遣いだとは思うんだが、強引なんだよなぁ〜。
やって来たのは前回も来た酒場だ。看板には『日輪亭』って書いてあったな。前回はそこまで見てなかったんだよなぁ〜。
席は今回も一番奥だった。あれか?騒ぎすぎて迷惑だから奥にされてんのか?
「おっ!?らいろぉ〜!まっれやりら〜!」
「···おいおい!?もう出来上がってるじゃないか!?早すぎるだろうが!?」
「れ〜りれ〜り!まられんりゅ〜れ〜る!」
「練習ですでに終盤じゃないか···」
オレとおっちゃんがやって来た時にはもう完全に酔っ払ってろれつが回っておらず、ら行がメインで話してるぞ···?大丈夫かよ?
「さあレオ!こいつらは気にするな!今回はゆっくりと飲んで食べろ!」
「酒は今回はやめとく。前回みたいな失態はイヤだからな!」
「あれは一気に飲んだのがいかんのだ。もっとゆっくりとエレガントに飲めば楽しいぞ!」
「あのな···?おっちゃんよ?この惨状を見て、よくエレガントなんて言葉が言えるよな?」
どこがエレガントなんだよ···?すでに酔い潰れてるんだぜ?説得力ねえなぁ〜。
そんな連中はほっといておっちゃんとオレが座ると、すぐにおばちゃんがお酒を持ってきたぞ!?まだ注文してないのに···。
「おばちゃん···。早すぎるだろ?」
「ははは!店に入った時点で注文入ってるんだよ!さあ!今日はたっぷり食べて飲むんだよ!」
「へいへい」
「よし!それじゃあ本番だ!かんぱーーい!」
「「「「らんらーーーい!!」」」」
おっちゃんの音頭でろれつが回ってない連中もまた飲み始めた···。オレはちょっとずつな。前回の失敗はもうやらんからな!
さて、今回はこの酒場の料理を楽しめたんだ。なかなかにうまいな!おっちゃんたちがこうやって贔屓にしてるだけはあるな。
そして、それなりに食べながらだと酔いは急に回らず、少しずつ気持ちよくなってきたんだ。なるほど···、これが『酔う』というものなんだなぁ〜!前回は訳がわからなくなっちまったけどな。
そうして食べていると、おっちゃんが話しかけてきた。
「どうだ?ここの料理は?前回はツマミだけだったからな」
「なかなかいけるな〜!前回はちょっとタイミング悪かったけどな」
「酒も上手に飲めてるようだな」
「ああ。もうあんな失態はしないぜ?」
「ははは!しかし、あの失態のおかげでワシらはレオの真の目的がわかったからな。それはそれで良かったぞ」
「オレが良くねえんだけどなぁ〜」
「そう言うな。そうそう、実はレオに相談があってな」
「相談···?なんだよ?」
「実はな?レオにワシの部下を鍛えてもらえないか?と考えておってな」
部下って···、今酔い潰れて床で寝始めた連中かよ···?
ネボラさんはただ者ではありませんでした。
レオくんとまともにやりあえるなんて、このクラスの腕前でないといけませんからね。武術の達人でもある『理』に至った人なのです。
そして今回はちゃんと酒場でお酒を楽しむことができたレオくんでした。やっぱりお酒は楽しむために飲むのが一番ですからね~!
さて次回予告ですが、フリード将軍はレオくんに兵士たちを鍛えてほしいと頼みましたが、レオくんは教え方を知りません。武術と教える技術って別物ですからね。というわけで、レオくんに教え方を伝授してもらえる人を紹介してもらうと···?
それではお楽しみに〜!




