降臨編-3.レオ、町でお世話になる
「さっきは助けてくれてありがとう。見たところ、この国の者ではなさそうだが···?どこから来たんだ?」
「···あ~、確かにオレはこの国の者じゃねえな。どこから来たかは···、ちょっと聞かないでくれるか?」
「あ、ああ。別に構わんぞ」
そりゃ、ついさっき神に創られてここに降臨したなんて言えねえしなぁ~。この兵士さんは何を勘違いしたのか、こんな回答に納得しちまったな。まぁいいけどな!
おっと!?いけねえいけねえ!まだまだこの町には侵入した魔獣がいるんだ。そいつらも始末しないといかんな!
「そんじゃあオレはほかに入り込んでる魔獣を倒してくるわ。そんじゃあな!」
「ま、待て!」
「なんだよ···?そんな事してたら犠牲者や被害が増えるだろ?」
「う、うむ···。確かに···」
「そんじゃあな。あばよ」
「あ!す、すべて終わったら門のところに来てくれるか?」
「ん?別に構わないぜ?どうせ町から出る時に通るだろうからな!」
このあと、オレは町の中に入り込んだ魔獣を、1体も残らずに殲滅していった。ケガをしている人を見かけたら回復魔法もかけておいたぜ。
魔獣はかなり奥まで入り込んでいた。どうもお城っぽいところを狙って進んでいたようだった。襲撃の際にきちんと避難をしていたせいかもな。おかげで、移動する手間が省けたのは楽だったな!
そしてお城の前で防衛戦をしているところにオレが魔獣の背後から乱入した!そのせいで魔獣たちはこっちにも意識を向けたので、そのスキに魔獣の背後を城を防衛していた兵士たちが突撃して、今回の魔獣殲滅は完了したんだ。
殲滅の確認を終えて、オレは来た道を引き返した。オレの背後から声がかけられたけど、特に聞くつもりもなかったな。
そして、オレが壊れた門まで戻ってきたら、さっき避難所で指揮していた兵士のおっちゃんが待ち構えていた。
「その様子だと、本当に魔獣を倒してしまったんだな?」
「ん?ああ。もちろんだ」
「見る限り無傷か···。それにしてもすごい強さだな···。見た目は普通の獣人の少年なのに···。もしよければここの王に会ってここの警備を手伝ってくれないか?」
まぁ、当然そうなるよなぁ~。だからさっきお城では完全に無視を決め込んでたんだけど。
「気持ちはわかるけど、オレは魔獣退治と『外の理の者』の連中を追い返すのが目的なんだよ。一定の場所に留まるわけにはいかんぞ?」
「また大きな目標をもってるな···。そうは言っても、そんな大きな目標を達成するんだったら、やっぱり拠点は必要じゃないか?ここなら家を提供できると思うぞ?」
「う〜〜ん···」
このおっちゃん···、交渉上手だなぁ〜。確かに家はねえから拠点は必要ちゃ必要だな。ここに居を構えて遠征って手もありか。
そういや、なんでオレはここに顕現したんだ?あの神の事だ。オレが創造された理由から考えると、ここは一番の激戦地って事じゃねえか?
そう考えたらここに住むってのは得策かもな!家をもらえて魔獣退治と異世界人の追い返しをできるってわけだ。これが一石二鳥ってやつなのか?知らんけど。
そうとなりゃ話は別だ。このおっちゃんの言う通りにさせてもらうとするか!
「そこまで言うなら、その話に乗ってやってもいいぞ」
「おっ!?乗り気になったか?ちょっと待っててくれるか?王城へ行く準備をしてくるわ!」
そう言って笑顔でおっちゃんは去っていった。
そして数分後、おっちゃんは武器を置いて来たようで、鎧装備はそのままだった。
「待たせたな!それじゃあ行こうか!」
そうしてオレとおっちゃんは王城へやって来た。オレとしてはまた城へとんぼ返りしたようなものだな。
王城って言ってもとても簡素な作りだ。城壁は石じゃなくて木だし、城と言っても木造だ。火魔法を放たれたら一発で終わっちまうぞ···?
ホント、大丈夫かよ···?この国···。
「なあ、おっちゃん?なんで城が木でできてんだよ?」
「ああ、それな。何度も魔獣の襲撃を受けてしまうので、石造りの城が作り上げられないのさ。石は重量あるから運搬が大変だし、積み上げは人力だから相当数の人数を確保しなきゃならん。それをやるだけの時間と人数がいないのだよ」
「そういうことか···」
どうやら相当にヤバい状況になってるようだな。そして今回は町の壁の守備を突破されたと···。
こりゃオレが来てなかったら全滅だったかもなぁ〜。神がオレをここによこした理由もよくわかったぜ。
そしてオレは質素な木の城に案内された。敷地だけは広いが、建物はこじんまりとしていたな。
奥に通されると、王様らしき人物がいた。
「···ん?フリードか。どうしたのだ?」
「王様。先に報告が行っていると思いますが、この少年が魔獣を退治してくれたのです。そのご報告と、この国に住んで魔獣退治をする事をを承認していただきたく思い、参じた次第です」
「ふむふむ···。話は聞いておるが···。この少年が退治したと?にわかには信じがたいが、フリードがそこまで言うのならそうなのであろう。少年よ、名前は?」
「レオだぜ」
「レオか。勇ましい響きの名だな。先ほどフリード将軍から話があったが、ここに住んで魔獣退治をしてもらえるとのことだが、本人の意思で了承しているのだな?」
「オレの目的は魔獣退治と異世界人の追放だ。ここは相当厳しいようなら、オレの目的と合致してるからな。ここを拠点にして動けるなら願ったりなんだがな」
「なるほどのぉ〜。こんな幼い少年にも関わらず、そんな目的があるとは立派だ。見ての通り、この国では大層なもてなしはできんぞ?家も自分で建ててもらわねばならんが、それでもいいのなら許可しよう。この国を魔獣たちから守ってくれ」
「ああ!まぁ、できるだけ要望には応えるが、できない場合もあるから、その点だけは配慮してくれ」
「わかっておる。···しかし、そなたは本当に少年か?どうみても聡明な大人と同等の受け答えをしておるが···」
「あ、ああ!ちょっとしっかりしてるだけだって!」
あぶねえあぶねえ···。確かに見てくれは獣人の少年だからなぁ〜。聡明な大人ったって、おれは今日産まれたばかりなんだけどなぁ〜。
そうしてオレとおっちゃんは城を後にした。
「そういや王様はおっちゃんを将軍って言ってたな。軍のお偉いさんかよ?」
「ははは!肩書だけがすごいように思うだろうが、今は人手不足でな···。将軍と言えば最上の指揮官であるはずだが、この国では兵士たちと共に戦っておるのさ。ちょっと強いだけだ」
「そっか···。ま、ムリすんなよ?指揮官がやられたら、指示が出せなくなって軍が崩壊するからな」
「わかってるさ」
こうしてオレはこの町に住む許可が出たんだ。そして今話しているこの場所に家を構えることになったんだ。
構えたっつーか、このあと自分で建てたんだけどな!
この日は戻ってきたら夕方になっちまってたから、そのまま野宿だ。そう思ってオレの土地でゴロンとしてたら···、
「あ、あの···」
見知らぬ女性がオレに声をかけてきたんだ。
「···ん?オレになにか用か?」
「さ、さっきは助けてくれてありがとうございました!こ、これ···、食べて下さい!」
そう言って差し出してきたのは硬いパンだった。おそらくこの人に配給されたパンなんだろうなぁ〜。
「そのパンはあんたが食べとけ。オレは食料持ってるから、その気持ちだけもらっておくわ。ありがとな!」
「···い、いいんですか?」
「ああ。しっかり食べとかないと、明日しんどいぞ?オレはここに住むことになったから、もう安心していいからな。ゆっくり寝ろよ」
「あ···、ありがとうございます!」
···配給で出されるのがあんなパンって事は、結構食料事情もヤバそうだな。
そんじゃあ、明日はちょっくら魔獣退治に遠征して、肉肉パーティーでもやってやるかな?
次の日···。
···野宿って結構キツイな。体のあちこちが痛いぜ···。
まぁ、家は後で考えるか!まずはさっそく魔獣退治だな!
そして門から外に出ようとしたら声をかけられた。
「···ん?お前は確か···?」
「昨日からこの国に住むことになったレオだぜ。王様に許可はもらってるぜ。ちょっくら魔獣退治にでかけてくるわ」
「···はぁ!?正気か!?そんな簡単に倒せる相手じゃないんだぞ?」
「そんなのはわかってるって!まぁ、心配いらないぞ。たっぷり狩って今日はみんなにお肉を振る舞ってやるから、楽しみにしてろよな〜!」
「お、おい!?···行っちまったな」
まぁ、心配するのもわかるけどな。こんな少年の格好だからなおさらかもだけどな。
でも···、今日の狩りの結果を見たらもう心配なんていらねえけどな!
最初のお話で出てきたお名前のうちの1人、フリード将軍が登場しました!
結構交渉上手ですね〜。このあとレオくんはフリード将軍からあれこれ依頼をお願いされて、結局全部受けてしまう事になってしまうんですけどね(笑)。
ただ、ちゃんとレオくんの事は考えてくれてるんですよ。そのエピソードはこのあと登場しますよ〜!
さて次回予告ですが、一時的な食糧不足に陥っていたので、国の周辺の魔獣を狩るついでにお肉もゲットしよう!ということで狩りに出かけますよ〜!
それではお楽しみに〜!




