後編-13.帝都の観光をするぜ〜!
「フー、そんじゃあ出かけるとするか!」
「お〜!どんなところだろうね〜?いい食材があったらいいな〜!」
「やっぱそれは外せねえんだな···」
おれとフーが魔導兵とドッペルの鏡を壊すためにアクセプタ王国に向けて先行して向かう前に、時間があったので今日は帝都キャリーを見て回ることにしたんだ。
せっかく旅してるんだし、やっぱこういった観光も大事だってじーちゃんは言ってたしな!どちらかと言えばじーちゃんはこっちが目的って言ってたぞ。
「気をつけていってらっしゃい!ただ、治安の悪い場所もあるから気をつけるんだよ。···って、英雄様には関係ないか!あっはっは!」
「···いや、その英雄様ってやめてくんないかなぁ〜。目立ちたくねえんだけど」
「でも事実でしょ?壊滅寸前の帝国軍を救ってくれたんだから英雄じゃない?十分目立ってるって!」
「ん〜〜、そう呼ばれたくないんだけどなぁ〜」
「そんなに英雄が嫌か···。だったら『勇者様』でいいか!?」
「そういう問題じゃねえよ!?」
町に出る前に城の門番と言い合いになっちまったよ···。
ホント、英雄呼びは勘弁してほしいんだよなぁ〜。気持ちはわかるんだけどさ。こっちの立場を考えてほしいもんだよ···。
だったら『勇者様』だなんて···。確かじーちゃんから聞いたお話の主人公がそう呼ばれてたな。確か他人の家に無断で入って宝箱やタンス、ツボの中を漁って持っていくって言ってたけど、それって勇者じゃなくて泥棒じゃね?って思ったけどな。
おれ、主人公なんて言えるような人間じゃねえけどな。
···え?『お前は何言ってるんだ!?』だって?どういう事だよ···?さっぱり意味わかんねえんだけど?
門番と言い合いをした後に、おれたちは町に出た。ここに最初に来た時はピリピリムードだったけど、昨日ああやって凱旋パレードやったから、そんなムードは吹き飛んでみんな明るかったな!どうやら祭りの準備をしてるみたいだぞ!
あんまり介入はしたくなかったんだけどな。相手が異世界の神だったから仕方なくやったけどな。
でも···、おれたちの活躍でこうしてみんなが幸せになってくれるってのは、なんだか嬉しいぜ!
「号外号外〜!アクセプタ王国軍の恐るべき魔導兵との戦いは!なんとたった2人の英雄によって終わらせたんだー!どうぞ持っていってーー!!」
「···おいおい!?なんでおれたちの事を知ってんだよ!?」
「(モンドくん!しーーっ!あの人、フーたちの姿とか名前言ってないから、フーたちだってわかんないって!)」
「(ああ悪い!内容が内容だったから驚いちまったぜ···)」
「(でも、どんな内容なのか気になるよね〜!1枚もらってくるね〜!)」
「おい!?」
「おじさ〜ん!1枚くださいな〜!」
「はいよ、嬢ちゃん!」
「えへへ〜!ありがと〜!」
フーの言う通り、フーとおれが倒したって知らないようだな。そんじゃあ、おれらから話さなかったら問題なさそうだな。
「モンドく〜ん!これ〜!」
「新聞か〜。あんまりおれ読んだことないんだよなぁ〜。どれどれ〜?」
『帝国軍壊滅の危機を救ったのは少年と少女だったか!?』
『帝国軍兵士にインタビューしたところ、『少年と少女は帝国軍では見たことがない』と話しており、正体はまったく不明とのこと』
『ある老兵士は『かつて帝国を救ったとされる伝説の獣人ではないかの〜?』との推測が?』
『帝国軍広報に確認したところ、最重要機密につき、回答はできないとのこと』
『当新聞社では独自の情報網で今後もこの英雄の追跡をしたいと考えております。続報を待て!』
···おいおい。これ、バレるの時間の問題じゃね?まぁ、その前に国を出るけどな。
「モンドく〜ん!大人気だね〜!」
「これを大人気って言うかよ?」
「言うって〜!これ、スマホで写真撮ってママに送っておくね〜!フユにーちゃんにも送っておくよ〜!」
ナツママもヨウさんもびっくりするだろうなぁ〜。それにパパも···。
まず最初は市場へ向かった。フーが『朝市は採りたて新鮮野菜とかが多いからね〜!』って言うしな。
「お〜!おっきいね〜!さあ!未知なる食材よ!今からフーが買い占めるぞ〜!覚悟しろ〜!」
「ほどほどにしとけよ?本気で買い占めて帝都の人たちのひんしゅく買わないようにな」
「もっちろーん!ではでは〜!突撃〜!」
まずフーが向かったのは八百屋さんだ。店頭には数多くの野菜が並んでるな。
「お〜!?見たことのないお野菜いっぱいなの〜!」
「らっしゃい!嬢ちゃん、お使いかな?」
「うん!お店で出す変わった食材をハンティングしてるの〜!」
「へぇ〜!どれがいいんだい?」
「ん〜〜、これって?見たことないね」
フーが指さしたのは、ちょっと小ぶりの白っぽい野菜だったな。確かに見たことねえな。
「これかい?これは『歯臭い』って言うんだ。そのまま食べたら口からドギツい口臭が出ちまうのさ。だが、味は絶品だ!煮物や鍋料理に向いてるな。あとはニオイがキツい料理に対しては逆に消臭作用もあるのさ。だからニオイがキツい料理にうってつけだな〜!」
「お〜!面白そ〜!これ300欲しいけど用意できる〜?」
「そんなにか!?今は店頭にある分しかねえんだけど、今ここで払ってくれたら明日朝には準備しとくぜ!しめて6万ジールだな!」
「買った〜!ほかにも買いたいから、ちょっとまけて〜!」
「嬢ちゃん交渉上手だな···。ただのお使いじゃねえだろ?場数こなしてるプロと見た!」
「お〜?バレちゃしょうがね〜!あはは!」
こうして八百屋で大半の野菜を買い占め、次にお肉屋さんでも大量に買い込んだんだ。
「満足満足〜!」
「って、明日受け取りもあるだろ?」
「うん!食堂もあったから、明日はここで食べよっか!」
「それいいな!城だとちょっと気を遣ってたもんな〜」
そんな話をしてたその時だった!おれの後ろから誰かが突っ込んでくる気配を感じたんだ!
「おっと?」
「えっ?うわっ!?」
おれがさっと避けたので、突っ込んできた誰かが声をあげてコケた。
「いつつつ···」
「おい?大丈夫か?」
「えっ?う、うん···」
「気をつけろよ?···おれからスリをしようとしてたけど、今回だけは見逃してやるから」
「なっ!?なんで···?」
「バレバレだっての。まぁ、おれとフーには通用しねえからな。···あんまし悪さすんじゃねえよ?」
「···くそっ!これで勝ったと思うなよ!?」
そういっちょ前に捨てゼリフを吐いて少年は去っていった。
「モンドくん···」
「ん?まぁ、ああいった連中が居るのはどこも一緒だな。戦争なんてやってたらなおさら多いんだろうよ。さあ、次行くぜ〜!」
ちょっと気分悪くなっちまったな···。
さっそく帝国の危機を救った英雄として知られてしまいましたが、名前や姿は不明のままでした。まぁ、カメラないですからね。そういう意味では特に気にする必要はありません。今の世の中のようにSNSとかあると窮屈になってしまってますね。
そしてフーちゃんは食材探しです!料理人としては外せないんですよね。
さらにはスリに逢ってしまいますが、この2人にとってはまったく問題ありませんでした。まぁ、逆にモンドくんとフーちゃんの方が腕も上なんですけどね。
さて次回予告ですが、帝都観光をしていると美術館を見つけます。ちょっと興味あるので入ってみますよ~!このお話はちょっと息抜きでいろいろと遊んでみました(笑)。
それではお楽しみに~!




