後編-12.トロン皇子、フーに告白する!?
ドナー帝国はかつて神狼族に救われた事があったらしい。ばーちゃんの話だとボルタニア大陸しかいないかも?って言ってたんだけど、おれたちのように旅をしていた神狼族もいたんだな。
「救われたって、どういう状況だったんだ?」
「無数の魔獣に襲われたのだ。ここでは魔獣などめったに出ないのだが、大嵐の数日後に突如として大量の魔獣が現れたのだよ」
「スタンピードだな···。でも変だな?どこから湧いたんだ?」
「流れてきた黒魔力かもね〜」
「あ〜。フー、そういう事か。その場で湧いたんだな」
「そんな事があるのだな···。突然の襲撃に対して、我が国は準備もままならない状況で戦闘に突入してしまったのだ。そんな時だった。神狼族たちがやって来て、加勢をしてくれたのだ。彼らはすさまじく強かった。先代が我が国にいてもらえるよう頼んだのだが、断られて翌日にはいなくなってたのだ。···まるで状況が今と似ているな」
「そんな事があったんだな。それっていつの話なんだ?」
「300年以上前の事だ」
「そっか。まんまおれたちと同じだな〜」
「そこでだ。キミたちには残るという事を考えてはもらえないだろうか?」
「悪いがそれはお断りだ。おれたちを戦力として見られるのはごめんだ。だからうちの一家は誰にも仕えないって決めてるんだ。いいように使われて絶滅寸前までいったんでな」
「そんな事があったのか···」
「ああ。だから、ドッペルを片付けたらとっとと出ていくぜ」
「···そうか。わかった」
どうやら皇帝陛下はおれたちを引き止めるようなことはしないようだ。
まぁ、力付くったって敵わねえってわかってるだろうしな。逆におれたちが攻撃したら国が滅ぶ可能性も考えてたのかもしれねえな。さすが大国のトップだけあるぜ。
ただ···、
「父上!余はフーにここにいてほしい!」
トロン皇子は残ってほしいって言い出した。
「トロンくん、ごめんけど、それはできないの〜」
「フー!余はフーに助けられてばっかりだ。お礼をしたくても何も余はできない···。それに、フーの料理はとても温かみを感じた···。余には母がもうおらぬのだ···。料理長には悪いのだが、余はフーの料理をもっと食べたいのだ!」
「お〜···」
「フー。余の···、妻とはなってもらえぬだろうか!?」
「「えっ!?」」
ちょ!?今のはさすがにフーもびっくりしていたな!まさか、トロン皇子はフーに恋しちゃったのかよ!?
「え、え〜っと。トロンくん···?本気なの?」
「これがウソなわけあるか!余は···、本気だ!フーと一緒にこれからもいたいのだ!」
「···あ〜、モンドくん?どうしよっか···?」
「おれに聞くなよ···?でも、ダメに決まってんだろ?」
「だよね~。本当にごめんなさい、トロンくん。やっぱりそれはできないよ」
「···余は、諦めたくない!」
「···え!?」
「今はダメでも、フーに認められる男になってみせる!その時に、また考えて答えをくれ!」
「え、ええ〜!?」
うわぁ〜、これは本気のようだぞ?って、ヨウさんは認めてくれんのか?多分認めんだろうなぁ〜。ナツママはいいって言っちゃうかもしれんけどな。
これにはさすがに皇帝陛下もびっくりしていたな。まぁ、こういう場だからトロン皇子も言ったんだろうけどな。
というわけで今回のお食事会は終了となった。おれとフーは用意してもらった部屋に戻ったんだけど···。
「モンドくん?ちょっといいかな?」
「ん?まぁいいけど」
「ごめんね。フー、さっきのトロンくんの告白、びっくりしちゃったよ」
「そりゃあなぁ〜。フーはどう思ってんだよ?」
「特に何も思ってなかった。だから余計にびっくりだよ〜」
「だろうなぁ〜。フーはどうしたいんだよ?」
「ん〜〜、わかんないからモンドくんに相談したんだ」
「そう言われてもなぁ〜〜。でも、あれが恋ってやつなんだろうな」
「そういう事か〜。片思いってやつだね〜。ホールちゃんがモンドくんにしてるやつだ」
···は?今、フーは何を言った!?
「···はぁっ!?ホ、ホールがおれに恋してるだってーー!?」
「うん。この前モンドくんとの話を聞いてたけど、そんな雰囲気だったよ〜」
マ、マジかよ···。ホール、おれのことが好きなのか···?ホールから直接聞いてねえけど、これっておれから聞けるものじゃねえよな!?
おれもフーも、好かれているのか···。いや、嫌われてるよりはいいんだが、おれもどうしたらいいんだよ···?
結局はおれもフーも困惑したまんまで寝ることになってしまい、ちょっと寝不足になっちまったんだよ···。ちなみにフーはやっぱりおれのベッドで寝やがった。···まぁいいか。
翌日···。
「「···ふっ!···はっ!···やっ!」」
寝不足だったけど、朝のトレーニングはちゃんとやった。
ってか、むしろおれもフーもいつもよりも気合い入れてやっちまったわ。昨日の事が気になってしまってたから、雑念を振り払いたい!って思ったんでな。それはフーも同じだったようだわ。
トレーニングしていると、トロン皇子とホールがやって来た。···って!?なんだかいつもと服装が違って運動着なんだけど!?
「おはよう。モンド、フー」
「おはようございます。モンド、フーさん」
「···え?お、おはよう。2人とも、その格好はどうしたのさ?」
「ああ、余もちょっと体を鍛えようと思ってな」
「わたくしも、今後のことを考えると体力はつけておいたほうがよろしいかと思いまして。モンド、どうしたらいいか教えてくれませんか?」
「ホール!?···あ〜、まぁいいけど、あんまし無理すんなよ?」
「ええ!自分のペースがわからないので、まずはそこからお願い致しますわ!」
まぁ、トロン皇子は昨日のことがあったからわかるんだけど、ホールまで一緒って事は、考えてることは2人とも同じって事か···?
トレーニング中はそのあたり何も言ってこなかったので、要望通りトレーニングメニューを考えて提示しておいたぜ。続くかどうかはわからんが、ムダにはならんだろ。
さて、朝食を終えて今日は1日帝都を見物してみようかな?って思ってたので、フーと出かけることにしたんだ。
···この時はまだこの後にトラブルに巻き込まれるって知らなかったけどさ。
このセミダクター大陸では魔獣はほとんど出ませんがこういったスタンピードが突如起こる事もあるんですね。
しかもこの昔のお話で話していたスタンピードはこの物語の1000年後を描いたライくんの物語で登場した『黒魔力嵐』だったんですね。そこにたまたま神狼族たちがいたので救われたということなんです。
このあたりの神狼族のお話は別の形で書いてみたいですね~!
そしてトロン皇子がフーちゃんに告白しちゃいました!そしてモンドくんはホール王女が自分に恋をしているとも知ってしまいました!ちょっと混乱してしまった2人でしたね。この後の展開は、まぁご想像通りかもしれませんがご期待くださいね。
さて次回予告ですが、帝都の観光にでかけます。どんな体験をするのでしょうか?
それではお楽しみに~!




