後編-2.脱出!
アクセプタ王国を乗っ取った連中は異世界の神だった!こいつらはドッペルというこの世界の住人の写し身として活動してやがったんだ!
しかも倒してしまうと写されてしまった人たちの命がなくなっちまうっていうとんでもないものだったんだ!これじゃあ、手出しできねえぞ!?
「さて、冥土の土産はこれで十分だろう?そろそろ終わりとしようか。よい余興だったぞ」
「へっ!なんでおれたちがあんたらの余興に付き合わなきゃならねえんだよ?」
「モンドくん!逃げよう!」
「おう!そんじゃあな!あばよ!煙玉!」
ボンッ!
おれは煙玉の暗殺技を使って逃げようとした!しかし!?
「やれやれ···。なぜオレがさっきお前たちが天井裏にいると気づいたと思う?」
「なっ!?がっ!!」
「モンドくん!?」
おれはティオに顔面をつかまれて床に叩きつけられた!
視界は完全にないはずなのに!?どうして正確な位置がわかったんだよ!?
そう言えばさっき天井裏にいたおれたちにも気づいてやがったな···。姿が見えていないのにどうして居場所がわかったんだ···?目に入る情報以外で気づいた···?
耳でも目でもない···。ましてや離れすぎてるから鼻でもねえよな?···まさか!?
「ぐっ···。そういうことかよ···。お前、おれたちの体温で気づきやがったな?」
「ほう?なかなか頭が回るな。ガキにしては賢いじゃないか?どうして気づいた?」
「見えてねえのに正確な位置を捕らえられてたからな。可能性を潰していったらそれしか残らねえんだよ」
「なるほど。消去法でたどり着いたか」
「ああ。だけどな?この程度で逃げる場所を潰したと思ったら大間違いだぜ!フー!」
「任された〜!てぃっ!秘技、旋風陣〜!」
フーはおれのすぐそばまでやって来てティオを蹴飛ばしてから旋風陣で床をくり抜いた!部屋から出れねえなら脱出口を作るまでだ!
「やるではないか!追え!!」
上でティオが指示を出すと、魔導兵たちが飛び降り始めた!でも残念だったな!ちょっとでも間合いが取れればこっちのもんだぜ!
おれたちは窓を突き破って外に出てから同時に土魔法を展開した!
「「アースウォール!!」」
2重の土壁を窓の前に設置してやった!これでさらに時間稼ぎできるぜ!
そしてステルス迷彩をまとって、侵入してきた地下脱出口へ向かった!王様にも情報を伝えとかないとな!
一気に距離を離してやった!トランス状態だから移動速度も相当なもんだぜ。すぐに地下牢への扉にたどりつき、フーがさっとカギを解錠してすぐに施錠した!これもあんまり時間稼ぎにはならんだろうけどな。
そして地下へ進み、王様の牢屋の前にたどり着いた。
「どうしたのだ?かなり慌ててるようだが···。見つかったのか?」
「ああ···。でも、たっぷりと情報を仕入れてきたぜ」
おれは手短に王国を乗っ取った連中の正体とドッペルについて伝えた。
「なんと···。異世界の神が···。どうりでワシを生かしておくわけだ。ワシが死ねばバレてしまうということなのだな···」
「そういうことだから、殺されることはねえ。でも、だからといって死ぬなんて選択はすんなよ?···ホールが悲しむからな」
「ははは。わかっておるよ。まずはいったん退いて対策を考えるがいい···。おそらく正攻法では無理であろう?」
「ああ···。悪い!もうしばらく耐えてくれ!」
「そのことなら気にするでない。さあ行け。すぐにでもやつらが来るかもしれんぞ?脱出経路だが、ここまでの途中に一方通行の扉がある。そこを抜ければ町の外につながっている。帰りはそこを使いなさい」
「ああ!そんじゃあな!」
「追加で保存食渡しとくね!頑張って!」
おれたちはそのまま脱出経路を進んだ!確かに道中で行きには見えなかった扉があった。ちょうど角になっていて、行きだと死角になっていたから気づかなかったぜ。
そしてその扉は押して開く扉で、内側と外側の両方にドアノブがついてなかった。なるほど、外からだと引く手段がねえから一方通行なんだな。
扉を通り抜けたら、フーが扉の前に土魔法で岩を置いた。なるほどな!押しても岩があるから物理的に開かねえってわけだな!
こうしておれたちはお城からなんとか脱出できたんだ···。今回得られたのはいい情報と悪い情報···。
しかもこの悪い情報は今のおれたちじゃどうすることもできねえ!力で解決ならできるんだけど、ドッペルを倒してしまえば元の人の命がなくなっちまう···。
この大問題を解決できねえ限り、この王国が元に戻ることはねえんだ···。たちの悪い人質だぜ···。
脱出した場所は、町の壁の外だった。周囲は草原で、出口は背の高い草に覆われていた。いいカモフラージュになってたんだな。
「なんとか脱出できたな···。さてフー、いったんホールたちのところに戻るか」
「その前にセプトさんたちにも情報渡しておこうよ〜」
「え?今からまた町に入るのか?危険じゃねえのかよ?」
「だってフーたち、町に入った記録はあるけど出た記録がないよ〜。別の町に入る時に疑われちゃう〜!」
「···あ〜、そういうことかよ!面倒だなぁ〜。まぁ、町中なら逃げる手段はいくらでもあるか」
「そだよ〜!じゃあ早く行こうね〜!もう夜になっちゃってるし!」
「よし!急いで行くぞ!」
そうしておれたちは町の防壁をステルス迷彩状態で飛び越え、セプトがいる裏通りへ向かった!
大通りには警備兵が城に向かうにつれて多くなってきていた。今、城から警備兵が出てきてるんだろうな。
でも、おれたちの名前はわかっちゃいるけど人相まではわからんだろう。しかも夜だから周囲が暗いので顔なんてよく見ないとわかんねえしな。
そして裏通りの喫茶店に入った。中にはセプトとインタがいた。
「誰かと思ったらあんたたちかい?···どうしたんだい?その様子だと、なにかあったようだね?」
「···ああ。想像以上にヤバい事がな」
おれは城であった事を話した。こいつらはドナー帝国の諜報部隊だ。ヘタな隠し事なんてせずに相手が異世界の神だって話もしておいたぜ。
「魔導兵の正体がドッペルって言って、実際にいる人の写し身とはね···。しかも人形だが、壊してしまうと元の人の命が失われてしまうなんて···。悪質にもほどがあるね」
「だから、通常の対抗手段でどうにもならねえんだ。でも、おれたちでなんとかしてみせるぜ」
「なんとかって、あてはあるのかい?」
「ああ。身内にな。とりあえずあんたたちも十分注意してくれ」
「心配してくれるのかい?ありがと。もう行きな。連中、ここに来るかもしれないよ」
「ああ!そんじゃあまたな!」
そしておれたちは急いで門へ向かった!まだ門のところには警備兵はいなかったから、今ならギリギリセーフってところだろうな。
門で外に出る手続きをした。
「夜道を行くのかい?本当にいいんだね?」
「ああ!ちょっと急用ができちまってな···。また来るぜ!」
「そうかい。気をつけるんだよ」
良かった〜!まだここには指名手配の情報が来てなかったな!正式に手続きして、これで脱出が完了したんだ。
無事脱出することができました。敵地潜入で発見されてしまうと常時『しかし まわりこまれてしまった!』状況になってしまいます。そこはハルちゃんの暗殺技を習得している2人はそれなりに切り抜ける方法を知ってますからね。
今回の相手は力で解決はしづらい状況です。この状況をどのように切り抜けるかがポイントになりますよ。
さて次回予告ですが、モンドくんとフーちゃんはホール王女とトロン皇子のところに戻ってきました。状況を説明し、翌日アキくんに相談する事にしました。
そして翌朝、いつもの鍛錬をしてるとホール王女がモンドくんの様子がいつもと違うことに気づき、相談に乗ることにしますよ。モンドくんの悩みとは何なのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




