前編-13.お城へ潜入! 後編
「いい加減にしろ!これ以上はムリだ!」
「戦争も大事だが、もう戦場に送る物資が枯渇してるんだ!」
「これ以上は王国民の生活に支障が出るぞ!」
さっきまで潜入していたのは、国のを動かす部署だった。どうやら現状だとこのまま戦争継続はムリとの見解だった。
今、おれたちが侵入してるのは王国軍の軍部だ。立入禁止って話なのに、カンカンに怒ってる役人と一緒に入ったので見つかってないぜ。ステルス状態だしな。
さて、役人が軍部に怒鳴り込んだけど、担当していた人は冷ややかだった。
「お話はわかりました。しかし、これは絶対です。今、戦線が崩壊してしまえば、ドナー帝国の逆襲は想像に難くないです。その際に犠牲となるのは王国民だということをお忘れなく」
「そんな話は分かりきっている!生活に支障が出てしまえば、戦況が有利という情報を疑われかねん!」
「大丈夫です。真実ですから。魔導兵は確実で完璧です。多少食料を多く消費しますが、戦死者はほとんど出てないのですよ。戦果は上々です」
「それが維持できんのだ!どんなに良くても、維持できんのなら、待つのは破滅だ!」
「なら、今すぐに降参されますか?政治に携わる者は全員処刑の運命でしょうけどね」
「ぐっ···」
「あと少しですよ···。あと少しで帝国は陥落ですよ···。ふふふ···」
「···ちっ!」
役人たちは諦めて引き上げていった。のれんに腕押し状態ってやつだな···。聞き入れるわけでもなく、話の論点をすり替えやがったな。いい根性してるぜ···。
さてと···。担当者も引き上げたので、次は参謀本部ってとこかな?
この建物もそれなりに大きい···。片っ端から入って探すけども、参謀本部らしき部屋が見当たらねえんだ···。
「(フー?もしかすると隠し部屋があるかもな)」
「(そだね〜。フーも考えたんだ。もうちょっと建物内を回ったら、特定できるかも〜?)」
「(よし、そんじゃあもうちょっと見て回るか!)」
やはり軍部だけあって、ちょっと雰囲気違うんだよなぁ〜。なんというか、張り詰めた緊張感があるんだよ。こういう場だと、おれたちの姿を見抜かれかねないんだよなぁ〜。だから警戒しながら行動している。
やはり整理整頓された廊下は隠れる場所がないから動きづらいぜ···。さっきは隠れる場所がたくさんあったから楽だったんだけどなぁ〜。
そうして慎重に潜入して、建物内全部歩き回った。見たところ、怪しそうな部屋が見当たらなかったな。
もちろん軍部の一番お偉いさんの部屋にも入ったぜ。戦場に行ってるのか、誰もいなかったけどな。特に目ぼしいものはなかったな。
「(フー?何か隠し部屋に気づいたか?)」
「(それっぽい場所はあったね〜)」
「(マジかよ···?そんじゃあ行くか!)」
「(お〜!こっち〜!)」
そこは3階の角だった。廊下は直角に曲がっていて、通路の両隣にはすりガラスの窓が通路に面していた。中は当然見えない。
「(ここだね〜。このガラスはダミーだよ)」
「(へぇ〜。ここってそこの扉から入る部屋だって思ってたけどな)」
「(部屋の中の窓ガラスの数と廊下側から見た窓ガラスの数が合ってないの。だから、ここの部屋から入れる場所が隠し部屋だね〜)」
やっぱよく見てるわ···。窓ガラスの数の違いなんて気づかんかったわ···。フーは裏の仕事でこういう事に慣れてるもんなぁ〜。
そして中に入った。ここは会議室のようで、机とイスが四角に並べてあった。
確かに窓ガラスの数が合ってない。廊下側から見ると、4枚あるはずなのに3枚しかねえ。ってことは、1枚分の面積が隠れてるって事だ。すりガラスだから中がわかんねえしな。
フーは怪しい空間側の壁を触った。そして···、見つけた!
「(あったね〜。取手ないから押したら開いたよ〜)」
「(ナイス!そんじゃあお邪魔するぜ〜!)」
隠し部屋にあったのは階段だった。ありゃ?どういう事だ?まぁ、確かにこんな狭いところで会議なんてできんか···。
そして階段を降りていった。階段は地下まで続いていたんだ···。どこまで行くんだよ···?
「(フー?これって参謀本部じゃなさそうだぞ?)」
「(そだね〜。お城かなぁ〜?って事は、ここは緊急脱出通路かもね〜)」
「(そういう事か。だったら、ここからお城にもつながってそうだな!)」
「(そだね〜!)」
真っ暗な地下道だけど、俺たちには『暗視』って暗殺術があるから、昼間のような明るさで見えてるんだぜ。さすがに真っ暗の中で魔法の灯りなんてつけたらバレちまうからな。
そうして地下道を歩いていくと、目の前に扉が現れた。もちろん、カギがかかってるけどな。
しかも、こちら側にはカギ穴がねえんだ。こちら側からは入れないようにしてるんだろう。
しかし!そんなの関係ねえ!って魔法がフーにはあった!
「(ママ直伝カギ開け魔法!『○バカ○!』)」
ガチャ!
これ、じーちゃんのいた世界の『げえむ』ってやつであった本当の魔法なんだってさ。それをナツママが創作魔法で完成させてしまったんだってさ。ホント、恐ろしい魔法がじーちゃんのいた世界にあるんだなぁ〜。
そして扉を開けて中に入った。どうやらここは王城の地下っぽいな。扉を閉めたら、フーはカギかけ魔法で施錠した。魔法だからこじ開けの痕跡が残らねえんだよなぁ〜。
ここは地下牢のようだった。しかし、ただの犯罪者を閉じこめる場所ではなさそうだった。ほとんどの牢屋は空きだったんだ。
そんな地下牢の中に、閉じ込められている人がいた!今はベッドに横になってはいるが、かなり衰弱してる様子だった。
「···フー。ちょっと話聞いてみるか?」
「···そだね。たぶん、この人は···」
「フー?何か気づいたのか?」
「うん。じゃあカギ開けるね」
フーがカギ開け魔法で牢屋のカギを開けた。その音で中の人が起きてしまった!
「もう···、食事の···、時間か···?ん···?誰も···、いない···?は···、ははは···。もう···、ワシも···、命は短い···、ということか···。幻覚を···、見るとは···、な···」
かなりヤバそうなかんじがするぜ···。完全に痩せこけてしまってたんだ···。とりあえず見張りはいないようだから、正体バラすか!
おれはフーを見て、同時に頷いてからステルスを解いた!
「なっ···!?キミたちは···?」
「悪いが邪魔するぜ、おっさん。おれはモンド。こっちはフーだ。おれたちはこの国の王女であるホールから依頼を受けてここに潜入したんだ」
「···ホール!?無事なのだな!?」
「ああ。って事はおっさんって王様···、で合ってるか?」
「···ああ。元だがな···」
「元、だって?それじゃあ···」
「モンドくん。その前に食べてもらおうよ。このままじゃ···」
「そうだな···。聞きたいことが山ほどあるからな。フー、頼むぜ」
「了解〜!王様〜、これ食べて〜」
「は···、ははは···。もうロクに食ってないのでな···。そんなに入らんと思うが···。しかしいいにおいだ···。いただくとしよう」
フーが無限収納ポシェットから出したのは、おかゆだった。胃の調子が万全でない時に食べるといいってじーちゃんが言ってた食べ物だな。
「···おいしい。ワシの体調を見てこれにしたのだな?」
「もち!せっかく食べたのに胃が受け付けなかったらもったいないからね〜」
そうして王様はおかゆを完食した。少しばかり元気が出たような顔になったな!
さて···、どんな話が聞けるかな?
情報がだいぶ集まってきましたね。乗っ取られたと言っても一部だけで、大多数は普通のようです。
そしてたどり着いた地下牢には、なんと王様が捕らえられていました!衰弱してはいましたが、生きてて良かったですよ。
さて次回予告ですが、王様の口からアクセプタ王国乗っ取られた状況が明らかになります。
そして王宮に乗り込んだモンドくんたちは、今回の乗っ取り犯の会話を聞いてしまします。驚愕の事実が明らかに!?
それではお楽しみに〜!




