前編-12.お城へ潜入! 前編
「フー。まずはどこに行くよ?」
「近いところからかなぁ〜?最後に王様の様子だね〜」
「よし!そんじゃあさっさと行くぜ!」
「お〜!まずはここだね〜」
城の内部だが、おれたちが入ったのは正門だった。ここは気合い入った庭園で、色とりどりの花が咲き乱れていた。
こういうのはピムエム皇国の城にもあったな。国力の高さと気品を示すためのものらしいぜ。荒れてないって事は、余裕があるって事だな。
正面には宮殿、そして左右に大きな建物がそれぞれ3つ見える。ここが行政区画なんだろうな。
フーはまず左の建物に向かった。もちろん生け垣から見えにくいようにかがみながら道のない場所を進んでいく。
建物に着いたら、裏に回ってまずは屋上へジャンプした。入口は警戒が厳しいからな。屋上は休憩スペースになってることが多いから、カギがかかってないことが多いんだよ。
屋上には1人の男がタバコを吸ってくつろいでいた。タバコねぇ~。じーちゃんもパパも吸ってねえけど、あれってうまいのか?
じーちゃんに聞いたら『お金かかるだけで肺に悪いから、吸わないんだよ。···元の世界ではお金に余裕なかったしなぁ〜』って遠い目で語ってたな。じーちゃんも意外と苦労してんだなぁ〜。
そんな事を考えてると、フーが即行動を起こした!タバコ吸ってる男の背後から背中に張り付いて、のど元にナイフを突きつけた!
「うわっ!?ひっ!!」
「···動くな。···質問に答えろ。···この建物はどういったところ?」
「こ、ここは···。か、官庁だ···。財政とか···、そ、そういったところ···」
「···じゃ、向かい側は?」
「ぐ、軍部だ···。い、今は···、城勤めでも···、立ち入り···、できない···」
「···王様は?」
「お、王様···?宮殿に···」
「···そ。···ありがと」
フーが尋問を終えると、首元に針を突き刺した!
「···え?ふわぁ···」
尋問した相手を眠らせた。跡が残らない特別製の麻酔針だぜ。ばーちゃんも使ってる。
どうもこれもじーちゃんがいた世界のものらしいぜ。『かくれんぼげえむ』ってやつらしいけどな。よくわかんねえけど、便利だよな〜。
「···よし。モンドくん。とりあえずこの建物調べる〜?」
「そうだな···。っとその前に誰か来た!」
「ほ〜い!」
おれたちは再度ステルス状態になって扉の影に隠れた。扉が開いて、3人出てきた。
「···ん?おい!どうした!?」
3人が慌てて駆けつけた。倒れてる男を介抱したところで薬が切れたようで、男は目を覚ました。
「···んぇ?あれ···?オレ、どうしたんだっけ?」
「おいおい···。びっくりさせんなよ···。いくら仕事が忙しくて最近ここで寝泊まりしてるからって、外で倒れてたら誰もがびっくりするぞ?」
「あ、ああ···。悪いな···。あれ···?気を失う前に誰かに話をしたような···?」
「こいつ···、まだ寝ぼけてるな。さすがに今日は定時で帰れよ?」
「そうだな···。そうさせてもらうよ。戦争も優位だし、兵站もある程度落ち着いたしな」
「そうしとけって!戦況が変わったらまた大変になるんだ。今のうちに休んどけって!」
なるほどな。さっきの人は前線に食料を届ける手配を担当してたんだな。ということは、城内も街中と同じ情報しかなさそうって事だな···。
おれとフーはお互いを見てうなずいた。そして今開いた扉から建物の中に潜入した。
建物の中では通路にまで物が溢れていた···。こりゃじーちゃんが見たら怒るだろうなぁ〜。『火事になったら避難できない!』ってな。
でも、おかげで隠れやすいぜ!建物の中では人が慌ただしく行き交っていた。やっぱ戦争やってっから、いろいろ大変なんだろうなぁ〜。
さて、建物内にはいろんな部署があったけど、戦争や王様関連の部署を探した。まず見つけたのは財務局だ。
お金の流れがわかると、何やってんのかがはっきりとわかるってじーちゃんが言ってたけど···、まだおれたちだとわかんねえんだよなぁ〜。
部屋の扉は開きっぱなしだった。不用心だけど、こういう時にはありがたいぜ。遠慮なく入らせてもらった。
中は忙しそうにしていたぞ。
「おい!軍部がまた無茶言い出してるぞ!これ以上は出費したら、今年度の補正予算全部食い尽くすぞ!?」
「どんだけバカ食いしやがんだよ···?尋常じゃねえ量の食料だぞ?」
「戦況有利って聞くけど、本当かしら···?一部引き上げて来てるって言う話とは異なるわね···」
「でも、あの宰相なら有無言わずに承認得れるか···。軍関係は露骨に優遇してるしな」
「でも、このままだと債務がすごいことになるな···。ドナー帝国からたっぷり賠償金もらえないと、債務不履行になりかねんぞ···」
「とりあえず農政局行ってくるわ。戦時備蓄出せそうならそれで当分凌いでもらわんとな!」
ふむふむ···。おれは財政ってよくわかんねえけど、どうも戦争継続が厳しいって事ぐらいはわかったぜ。
そして食料バカ食いね···。おそらく魔導兵って連中か?とんでもない力を使うんなら、それなりに食うだろうしな。となると、魔導兵は本当にいるって事だな···。
フーは壁に貼ってある表をじっと見つめてからスマホで写真を撮っていた。まぁ、フーは家が飲食店だから、お金については詳しいんだろうな。
そしてフーが戻ってきたので、ここからはおさらばだぜ!
次に来たのは農政局だった。さっき備蓄がどうのこうのって言ってたな。
ここも扉は開けっ放しだった。人の出入りが多いからか?あっさり中に入れたぜ。
「またかよ!?もう備蓄倉庫が空になっちまうぞ!」
「備蓄倉庫って、10万人が半年食べれる量だったはずなのに、たった1ヶ月でなくなるなんて、どんだけ食ってんだよ!?」
「派遣した兵士って、3万ちょっとだろ?異常すぎだぜ···」
「魔導兵なんてもんが投入されてから減りが凄まじいよな···」
「そいつらのおかげで戦況が一気に優位って聞いちゃいるけどさ···。これ以上食われたら王国民が飢え始めるぞ!?」
「農政局からも軍部に言ってやらんといかんな!財務局と一緒に抗議するか!」
ふむふむ···。話の内容からして、国力のすべてを戦争に投入してるって事か?そして魔導兵がバカ食いして王国民の生活に支障が出始めようとしてると···。
備蓄はしっかりしてたのに全部食い尽くされたってか···。となると、これ以上戦争継続は不可能だな。もしくは最後の悪あがきをするか···。食料なくなったら脱走兵が出始めて戦線崩壊するけどな。
となると、放っといても戦争が終わる可能性があるって事か。ドナー帝国が耐えきれればの話だけどな。
よっぽど無茶をしてるって事はわかったぜ。こりゃ、王国民に『戦争で有利に進めてる』って情報流さないと、みんな怒って暴動になりかねんなぁ〜。
「モンドくん。次は軍部に行ってみよっか」
「そうだな···。どんな状況か確認しよう」
おれたちはカンカンに怒ってる農政局と財務局の人たちの後ろにくっついて軍部に向かった。
フーちゃんの暗殺者モードが初登場しました!普段は天真爛漫で明るい性格なのですが、暗殺者モードだとハルちゃんやナツちゃんのようなしゃべり方になります。
あんまり話すと正体バレる可能性が上がりますからね。カッコいいですよ〜。
さて次回予告ですが、今度は軍部へ潜入しますよ〜。いったいどんな情報があるのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




