前編-5.ともかく合流しよう!
「なぜドナー王国の皇子が逃げるような事態に···?」
『なぜ我が国を攻め落とそうとしている国の王女が狙われているのだ···?』
フーと連絡を取ろうとしたら、なんとホールの国に宣戦布告したドナー帝国の皇子が一緒だった!しかもおれたちと同様に逃げている···?
しかも向こうもホールが逃げている事に驚いていたな···。これは何かあるのかもしれんな···。
これは早めにフーと合流したほうがいいのかもしれんな。なんか嫌な予感がするぜ!
「フーが向かっているのってどこなんだ?」
『ダイオって国みたいだよ〜』
「ホール。目的地ってダイオなのか?」
「ええ。そこの王家に匿ってもらう手筈になってるわ···」
「ちょっと待て!その国って両方の国と友好関係を結んでるのか?」
「いえ、我が国だけでドナー帝国とは結んでいなかったはず···」
「おいフー!そっちの皇子様に聞いてくれ!ダイオって国はアクセプタ王国と友好関係にあるのかってな!」
『ドナー帝国だけって言ってるよ〜。これって···!?』
「ああ!ワナだな!」
「そんな!?ということはお父様も騙されて···!?」
「どうもウソ情報の可能性が高いぞ。おそらく二人の逃亡場所として指定しておいて、まとめて始末しようって魂胆だ!」
「············」
「···大丈夫だ。おれとフーがいればなんとかできるさ。おいフー!急いで合流したほうが良さそうだ!」
『そだね〜!地図あぷりで場所を確認するね〜!』
「おれも確認するぜ!···こっちはこのまま東へ向かう!」
『フーはこのまま西へ向かうね〜!明日のお昼には合流できるかな〜?』
「そうだな!それでいくぞ。···ホール?勝手に決めちまったけど、良かったか?」
「············」
ホールは下を向いたままだった···。ムリもないか···。逃亡先が実はワナだった可能性が高いなんてな···。
よくよく考えてみると、この逃亡にも疑問点はあったんだ。なんで護衛がリウムだけなんだ?御者すらいねえし。
そう考えると、リウムも怪しくなってくるんだが、こいつは多分大丈夫だ。おそらくは何も知らされてないんだろうな。
この状況はフーの方のトロン皇子も同様のようだ。護衛兼御者、しかも年輩の執事さんって事は戦闘能力は期待できねえ。
こんな状況で伏兵が先回りしていた。追手はまだわかる。しかし伏兵は事前に通ると知ってないと意味がねえ。
おそらくは事前にダイオに部隊が派遣されてたんだ。そして迎撃って形で準備してたんだろうな。
状況からしてこのまま進むのは得策じゃねえのは明らかだ。ここまでやってくるって事はあらかじめ計画されていたと見て間違いなさそうだな。この意見はフーも同じだった。
とりあえず現状のまま進むのはナシだ。それはリウムさんも納得してくれた。しかし、ホールの落ち込みようは相当だった。
「ホール···。信じていたものが信じられなくなってショックなんだよな?」
「············」
「···あんまり言っちゃいけないとおれは思うんだけど、おれはもうしばらくはホールを守るよ」
「え···?」
「最初はダイオに着くまでって思ってたさ。でも、状況が変わった。途中でさよならっていうのはダメだと思うんだよ。だから···。ホールは無事だと確実になるまで···、一緒にいるよ」
「モンド···?どうして···、あなたはそんなに優しくしてくれるのですか···?」
「なんで···、だろうな?でも、これだけは間違いないよ」
「え···?」
「途中で投げ出したくない!一度ホールを守るって決めたんだ!だったら危険がある限り、おれが守ってやるよ!」
「モンド···」
「へへっ!そういうわけだから、そんな悲しい顔をすんなって!王女様なんだろ?しっかりしないと国民がついてこないんじゃないのか?」
「···そ、そうですね。···ありがとう」
「まだお礼を言うには速いぜ?せめてホールが安心できるまではそれを言ってもらっちゃ困るぜ?」
「うふふ···。いえ、今ちょっと安心したんですよ」
「へ?どうして?まだ追手が来るかもだぞ?」
「ええ。それはわかっています」
「それじゃあなんでだよ?」
「心です。モンドはわたくしの心を···、救ってくれました」
「へっ···!?そ、そうなのか?」
「ええ!ですからお礼を言わせていただきます。ありがとう!」
「そ、そうか···。あんまりそんなつもりじゃなかったんだけどなぁ〜」
「うふふ!モンドはそれでいいんですよ」
うん?よくわかんねえな〜?でも、ホールはさっきの落ち込んでた表情が消えて明るくなったな!やっぱり気持ちが明るくねえといいことも起こらねえからな!
さて、状況はわかったし、明日の行動計画もできた。今日はもう寝るぞ!おれも疲れたからな〜!
「ホール、そんじゃあおやすみ〜!」
「ええ。おやすみなさい」
おれはテントでぐっすりと寝た。
翌日···。
「···はっ!ふっ!やっ!」
今日も早朝トレーニングだ。毎日やってたから、やってないと調子出ないんだよなぁ〜。
まずはランニング。と言ってもそんなに遠くまで走り込むわけにはいかない。馬車の周りを軽く走り込んでから木を登って飛び移ったりして全身運動をしておく。
体が温まったら次は武術だ。リオじーちゃんの体術、そしてパパの剣術と槍術。
基本の型を忠実になぞり、そしてスローモーションで技を繰り出す。こうすることでいざ技を使う時の威力が上がるんだ。
「おはようございます、モンド。何をしてらっしゃったのですか?」
「おはよう、ホール。毎朝やってるトレーニングだよ」
「トレーニング···、ですか?」
「ああ。こうやって体をほぐしておけば、いざって時にすぐに動けるからな。あと、武術の型をなぞるんだ。こうやって体に技を覚えさせて、いざって時にすぐに繰り出せるんだよ」
「昨日の剣術は見事でしたわ!あれはこうやって毎日行ってるトレーニングのおかげなのですね?」
「それだけじゃねえけどな!」
「先ほどから見てましたが、モンドの剣術や槍術って、美しさを感じますわ。何かの流派とかなのですか?」
「ああ。剣術も槍術もパパが編み出したんだよ。パパは剣と槍の極意を習得してるしな」
「すごいですわね!だからモンドも強いのですね?」
「う〜ん···。おれって弱い方なんだよな〜」
「そうは見えませんけど?」
「まぁ、周りがすごい人ばっかりだったってものあるけどな。でも、おれもいっぱい経験して強くなってやるんだ!」
その意気込みを聞いたホールはちょっと顔が赤くなってたな。どういうことだ?よくわかんねぇなぁ〜。
簡単な朝食をとった後、おれたちはすぐに出発した。
「リウムさん。この先に左へ曲がれる道があります。そちらへ向かいましょう」
「わかりました。まさか、逃亡先へ行くこと事自体がワナだったとは···」
「おそらく連中はこの馬車が来ないことに対して怪しむでしょう。そうなると、追手が来ないのはおそらく今日だけだと思います。可能な限り今日中にフーたち···、ドナー帝国のトロン皇子一行と合流しましょう」
「そうしましょう。···あそこの道ですね?」
おれたちは南へ進んでいた道を左に曲がり、東へ方向を変えた。
どんどんきな臭い状況になってきましたね。逃亡先が実はワナだった可能性が高まりました。かなり用意周到に襲撃計画がされていたようですよ。
しかし、そこにモンドくんとフーちゃんというイレギュラーが入ったので失敗ですね。想定外でしょうね〜。
そしてモンドくんはホールちゃんにカッコいい事を言っちゃいました!しかし、ホールちゃんは言葉の意味以外にも感じ取ってしまいました。
ただ、モンドくんは鈍感ですから、まったく気づいてません。これも家系なんですかねぇ〜。
さて次回予告ですが、フーちゃんもモンドくんと合流しようと動き出しますが、そこに1人の暗殺者が立ち塞がります!フーちゃんはどう対応するのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




