前編-6.モンドくんたちと合流しよう〜
「まさかダイオが裏切っていたとは···」
「トロンくん。確定したわけじゃないけど、相手の国の王女様も逃げ込む先だとしたらちょっとおかしいもん」
「そうだな···。父上も騙されていたということか···。フーには感謝しかないな···」
「ほえ〜?感謝って〜?」
「連中の企みを見抜いたということだ」
「見抜いたのはモンドくんだよ〜。フーは何もしてないよ?」
「いや、フーがこうした情報を伝えてくれた。もしフーを助けていなかったら、余は逃げ込んだ先で絶望していただろう」
「えへへ〜。そうかな〜?」
「ああ。しかし···、すごい魔道具だな···。離れた相手と会話できるとはな···。ともかく、今日はもう寝るとしよう。明日はフーのいとこのモンドと···、アクセプタ王国のホール王女と合流するぞ」
「おー!それじゃあおやすみ〜!」
「ああ。よい夢を」
フーも今日は疲れちゃったよ〜。テントを張って寝ることにしたんだ〜。おやすみなさ〜い!
翌日···。
「···ふっ!はっ!やっ!」
今日も早朝のトレーニングは欠かせないよ〜。これをやっておけばいざって時にすぐ動けるからね〜。準備運動準備運動〜。
それが終わったら次は武術だよ〜。リオじーじの体術、じーじの剣術、あとはばーばの短剣と暗殺術だね〜。
そうしてたら馬車の扉が開いたの。トロンくんが起きてきたみたいだね〜。
「おっはよ~!トロンくん!ゆっくり眠れた〜?」
「ああ、おはよう、フー。ゆっくりは眠れたが···、やはり馬車で寝るというのは厳しいものがあるな···」
「トロンくんは旅慣れてないからだよ〜」
「確かにな。旅なんぞ、今回が初めてだ。その旅の目的が逃亡とは思わなかったがな。ところで、何をしていたのだ?」
「トレーニングだよ〜!こうして寝起きに体を動かして、いざって時にすぐに動けるようになるんだよ〜」
「ほう?そうなのか。だから昨日のような動きができるのだな」
「それだけじゃないんだけどね〜」
「あとは武術もやっていたな。城で兵士の訓練を見たことがあるが、あれとはまったく異なるな」
「そだね〜。これはじーじがやってた剣術とばーばの技なの〜」
「ほう?そうなのか。見ていて流れるような動きだったな。とても美しかったぞ」
「えへへ〜。そう言ってくれるのはトロンくんだけだね〜」
「そうなのか?褒めてくれる人がいなかったのだな」
「違うよ〜。みんなフーよりすごい人だらけだっただけ〜」
「そ、そうなのか···。それはそれですごいが···」
あんまり言っちゃダメだから言わないけど、みんな世界を大魔王から救った人たちだからね〜。ちょっとフツーじゃないとフーも思うもんね〜。
さ〜て!朝食もフー特製だよ〜!最近お店ではフーが『もーにんぐめにゅー』を作ってるのだ。営業日の朝7時から先着30名様限定だけどね〜。
大体一番のお客さんは、日中になぜか予約なしで現れるおじさんなんだよね〜。走ってお店に来てるのか、いっつも『はぁ、はぁ···!フーたんの手料理ぃ〜!!』って息荒いんだよね〜。ルール守ってお金払ってくれるからいいけどね〜。
「さあどうぞ〜!めしあがれ〜!」
「おお!?これは···!?うまいぞ!」
「宮廷料理人ほどではなさそうなのに、それ以上の味ではないか!?」
「えへへ〜!褒め過ぎだよ〜!ママはもっと上手だからね〜」
「いや、十分過ぎるぞ。宮廷料理人以上の腕前だというのは余が保証しよう」
「えへへ〜!ありがとね〜!トロンくん!」
「い、いや···。事実を言ったまでだ···」
あれれ〜?なんかトロンくんの顔が赤いよ〜?どしたのかな〜?疲れて熱が出たわけじゃなさそうだけどね〜。
朝食を終えて、フーたちはモンドくんたちと合流するために西へ向かうよ〜。
「ビスマさん!もうちょっとしたら右に曲がってね〜」
「そこまでわかるのですか···。いやはやすごいですな···」
馬車は南から西へ向かった。地図アプリを見てたらモンドくんたちも東に曲がったようだね。このまま行くと···、お昼には合流できるかな〜?
そう思ってたら『ふらぐ』だったみたい。行く手を阻む刺客さんがいたんだ。
「ビスマさん、止まって」
「どうかしたのですか?まさか···?」
「ん。そのまさか。でもだいじょぶ!フーに任せてね〜!」
「フー!」
「ん〜?トロンくん?」
「気をつけるのだぞ」
「もち!」
さ〜て、今回の刺客さんはどんな人かな〜?
なんと道の真ん中に立ってたよ!今まで隠れている人たちばっかりだったのにね。
これは···、ちょっと楽しめるかな?
「ここから先には行かせないよ?」
刺客さんは女の人だったね〜。ちょっと珍しいよ〜。
「行かせないって言われても、フーは先に行くよ。邪魔だからどいて〜!」
「行かせないって言ってるだろ?言葉がわからないのかい?」
「いやわかってるけど、そうはさせないって事だよ。仕方ないから力付くで通させてもらうね」
「フン!ただのガキのクセに、大口を叩くなぁ!」
お姉さんは短剣を抜いた。どうやらフーと戦闘スタイルは似てるっぽいね〜。
じゃ、フーも同じく短剣でお相手いたす!
お姉さんが突っ込んでくる。結構速いね〜!でもね?フーの方が速いもんね〜!
「なっ!?外した!?」
「お姉さ〜ん!こっちこっち〜!」
「ガキがぁーー!なめるなぁーー!!」
「わ〜い!鬼ごっこだね〜!捕まんないよ〜!」
よ〜し!お姉さんは馬車から離れたね〜。周囲にはお姉さんしかいないから、これでトロンくんの安全確保ヨシ!
適度に間合いを確保しつつ、馬車から引き離したところで、フーもいっきまーす!
「暗殺技、砂塵嵐」
フーは短剣を斜め下から斜め上へ一気に振り上げた!風魔法も併用して放つと、振り上げた短剣でできた風で地面の土が舞い上がってお姉さんに向かっていった!
「くっ!?目が!?こしゃくな!」
目潰しの効果もあるんだよ〜。相手の視界を奪って一気に間合いを詰めるための前座の技なんだよ。
そして一気に間合いを詰めて首元に短剣を突きつけた!
「はい!これで終わりだよ〜」
「ば、ばかな···?暗殺に長けた私が···!?」
「えへへ〜。フーも暗殺術得意なんだ〜。この大陸の術じゃないけどね〜」
「くっ···!殺せ!」
「それはできないね〜」
「なぜだ···?生かしておけば、また狙ってやるぞ?」
「その時はまた返り討ちにするだけだよ〜。フーの暗殺術は人を殺すためのものじゃないの。人を活かすためのものだからね〜。どうしようもない人だけ、仕方なくやっちゃうけど」
「私は活かされる···、だと?」
「うん!お姉さんは悪い人じゃなさそうだからね〜」
「くっ!なめるなぁーー!!」
お姉さんは左手で腰に差していたもう1本の短剣を抜いた!それもお見通し〜!
フーは首元に突きつけていた短剣を上に放り投げて回し蹴りでお姉さんの左手の短剣を蹴り飛ばした!お姉さんは体勢を大きく崩されてしまって地面に寝転がる形になった!
そしてフーが放り投げた短剣がフーの手元に戻ったと同時に再度お姉さんの首元に短剣を突きつけた!
「お姉さん、やるね〜!フー、とっても楽しかったよ〜!」
「た、楽しいだと!?」
「うん!今日はここまでにしておくね。次会った時はまた遊んでね〜!」
「待て!?うぐっ!!」
追ってこられるとまずいので、お姉さんの首に手刀をきめて気絶させた。
そして馬車に戻って出発したんだ〜。
フーちゃんの行く手には暗殺者が待ち構えてましたが、フーちゃんには敵いませんでしたね。
これまでフーちゃん単独戦闘のシーンって、あんまり書いた事がなかったんですよ。というのも、暗殺技は派手じゃないからなんですよねぇ〜。派手に暗殺って、それは暗殺じゃないですし。
そう言いながらライくんの物語では派手な技ありましたけどね(笑)!
フーちゃんは番外編初期で書きましたが、現時点で神狼族最強の実力を持ってます。経験がちょっと足りてないぐらいですね。ですので、フーちゃんに力で勝つのは容易じゃないですね。
さて次回予告ですが、モンドくんとフーちゃんがついに合流します。そしてホール王女とトロン皇子が会談をしますよ。
ただ
ホール王女はモンドくんに戦争に介入してほしいと懇願しますが、モンドくんは護衛までで戦争に介入する気はないと言いました。モンドくん自身も自分の力が利用されるわけにはいかないと考えて苦渋の選択だったのですが、ここでフーちゃんからある提案が出ます。どんな提案なのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




