武者修行編-5.人懐っこい魔獣!?
「···ふわぁ〜」
「おはよ〜!モンドくん!よく眠れた〜?」
「···眠れるわけねえだろうが?」
そう、眠れるわけねえよ。フーと同じベッドだったからな!
昨日は魔獣退治と盗賊団壊滅をやったんだ。思ってた以上に夜が遅くなっちまったんだよなぁ〜。
そうしてギルドに報告してから隣の宿へ向かったんだ。そしたら···、
「申し訳ないのですが、シングルとツインが満室なんですよ···。ダブルだったら1室だけ空いてるんですけど···」
「マジかよ···?しゃあねえな〜。今日は壁の外で野」
「その部屋でいいで〜す!」
「おい!?フー!?」
「何か問題あるの〜?」
「大アリだ!い、一緒のベッドって···」
「どこが問題なの〜?昔からフーと一緒に寝てるでしょ〜?」
「もうおれたち成人してんだぞ!?さすがにもうマズいだろうが!?」
「ヘーキヘーキ!じゃあおじさん!支払いはフーがするね〜!」
「ちょ!?」
チャリーーン!
「ありがとうございました。部屋は312ですよ。どうぞごゆっくり」
「は~い!じゃ、モンドくん!行こっか!」
「···マジかよ?」
そう。フーが決済しちまったので部屋が確定してしまったんだ···。
そりゃ、おれだって男だ!子どもの時でもいとことはいえ、お、女の子と一緒ってのはダメだって思うんだよ!
···結局一緒に寝たんだが、まったく眠れなかった。今日はいつもよりもダルい···。魔力も回復してなさそうだわ。
そうして宿で朝食をのんびりいただいた。どうやら宿泊していたのは行商人やおれらみたいな宿なしの冒険者たちみたいだった。
おれらは家あるんだけどな。武者修行中は宿泊まりだ。テントもちゃんと無限収納ポシェットに入れてるぞ。昨日は使わなかったけどな。
「モンドくん。今日はどうする〜?」
「そうだなぁ〜。そういえば討伐系以外はやったことなかったな」
「そだね〜!今日はそっちをやろっか!」
「そうだな!これも経験だな!」
というわけで、ギルドにやって来た。この時間はほとんど人がいなかったな。みんな朝早くから仕事選んでさっさと出かけちまうからな。
さてさて···。今日の残りの依頼は?っと···。
「モンドくん!これおもしろそ〜!」
「へっ?どれどれ〜?」
『・子猫(魔獣のウォーライオンの子ども)を探して!』
「おいおい···。魔獣の子猫探しだと···?昨日の窃盗団の頭といい、なんでこんな凶暴な魔獣を欲しがるんだよ···?」
「わかんないね。だからこそおもしろそ〜!」
「まぁいいか。そんじゃあ受注するぞ」
おれたちは受注してすぐに飼い主のところへ向かった。
飼い主の家は町から離れた場所にある1軒家だった。さすがに町中で、子猫とはいえ凶悪な魔獣がいたら怖すぎるよな···。
おれは扉をノックした。
「すいません!冒険者ギルドから依頼請けて来ました!」
おれが声をかけると、扉が開いた。出てきたのは小さな女の子だった。
「ぼうけんしゃさん!うちのタマをさがしてくれるの!?」
「タマ···?子猫の名前か?」
「そう!タマ!2しゅうかんまえからいなくなっちゃったの···。うえ〜ん!」
「おっと!?わかったわかった!お兄ちゃんが探してくるから!タマちゃんってどんな子猫なんだ?」
「ヒック、ヒック···。えっとね、これぐらいの大きさで、いろはきれいなあかいろなの」
「ふむふむ···。どんな顔してるんだ?」
「かわいいかお!」
「···そうか。とりあえず特徴的なのは身体が赤色って事だな。そんじゃあ探してくるわ」
「よろしくおねがいします!」
「ところでパパとママはどうしたんだ?」
「タマがいなくなったときからいないの」
「えっ!?ってことはひとりでいたのかよ!?」
「うん!ちゃんとりょうりできるもん!」
「そ、そうか···。まだ食料あるのか?」
「うん!たくさんあるよ〜!」
「わかった。そんじゃあ、家で待ってるんだぞ」
事情聴取はこれが限界だな。おれたちは家から離れた場所でフーと打ち合わせた。
「これは思ってた以上にヤバい案件だぞ···。親はウォーライオンの子どもに食べられたんじゃねえだろうな?」
「う〜ん···。フーは違うと思うよ?」
「なんで?」
「ちっちゃい子どもが大人を2人も食べきれないよ〜」
「全部食うわけでもねえんじゃねえか?」
「家の中だったらあの子にもわかっちゃうけどね」
「まぁ、とりあえずこれは後で考えるか。そんじゃあまずは···、狩りだな」
「おー!って、フーはママから狩りは教わってないなぁ〜」
「そっか。んじゃ、おれがやるよ」
「よろしくね!モンドくん!」
おれたちは神狼族だ。パパが言ってたけど、神狼族は狩りが非常に得意なんだ。狙った獲物は逃さない!
まずは家の周囲を探ってみる。猫は縄張りには非常に厳しい。だからマーキングしてたりする事が多い。
探ってみると、やっぱりあったな。木の根にしっかりマーキングしてやがった。そして、そこに特徴的な赤い毛が落ちていた。
···よし!ニオイは覚えた。結構キツいニオイなんだけど、ちょっとだけ嗅いだらもう大丈夫!
「モンドくん?何してるの?」
「猫は縄張りを示すために周囲におしっこかけるんだ。そのニオイを嗅いで覚えるんだ」
「へぇ〜!フーも!クンクン···。うわぁ···、結構キツいね」
「最初はな。あとはこのニオイをたどるだけだ」
「あっちの方かな〜?」
「···マジでもうマスターしたのかよ?」
「よくわかんな〜い!」
やっぱりフーは天才だわ···。1回だけでもうできちまうんだよなぁ〜。
おれたちはニオイをたどっていった。魔獣なだけあって特徴的なニオイだからわかりやすいぜ!
そしてたどり着いたのは···、壁のすぐ外側だった。
「いたね〜、モンドくん!でも···」
「ああ。なんでこんなところにいるんだよ···?」
子猫は魔獣を仕留めてここまで引きずってきたようだった。しかし、目の前には壁があって立ち往生してる様子だったな。
「もしかして···、魔獣のお肉をあの子にあげるためかなぁ〜?」
「マジかよ!?って、話してもわからんだろうけど、一応確認するか···」
おれたちが近づくと、子猫は気づいた。
「グルルル!」
「勘違いすんな。お前の獲物は取らねえよ」
「グル?」
「言葉わかるみたいだな···。お前のご主人が探してるぞ。何してたのかは知らんが、早く帰ってやれ」
「グルルル···」
どうも帰りたいけど帰れない事情があるようだった。すると、フーが聞いた。
「もしかして、この魔獣を解体してお肉を持って帰ろうとしてたの〜?」
「グル!」
「だったらフーがやってあげるね〜!」
そう言ってからフーは一気に解体した。解体もうまいわ···。飲食店やっててたまにヨウさんが仕留めた魔獣を一緒に解体してるらしいしな。
「はい!おっしま〜い!ちゃんと包んだから、これを持って一緒に帰ろうね〜!」
「ニャア!!」
魔獣にも人懐っこいヤツがいるんだなぁ〜。しかも言葉分かってるし···。って、前にじーちゃんと旅した時にもしゃべった魔獣いたな。
結構ヤバい魔獣なんだけど、ちゃんと言う事聞くなら今は問題ないか。大きくなって討伐依頼来ないことを祈るぜ。
さっきのお話では原則、魔獣は人に懐かないって書きましたが、中にはこういった例外もあります。
ただ、周囲はあんまりいい気はしないでしょうね。けしかけられたらたまったものじゃないですしね。
ちなみに王都ではかつてアキくんたちが参加した祭りの金魚釣りの金魚が凶暴な魔獣だったってのもありましたね。もちろん違法でしたけどね。どうなったのかは作者もわかりませんが。
今回のお宿はダブルしか空いておらず、モンドくんとフーちゃんは一緒のベッドで寝ちゃいました(笑)!
モンドくんはお年頃なので気にしちゃいましたが、フーちゃんはモンドくんが大好きだから一緒に寝よう!って事で、特別な意味はありませんよ。この後のライくんの物語がありますので、ちゃんとこの後に2人にはパートナーができますから。
さて次回予告ですが、次に請ける依頼は行商人の護衛にしました。しかし、防具もつけてない子どもが護衛を請けた事に依頼人やほかの護衛たちは不審に思ってしまいます。
そこでモンドくんとフーちゃんは実力を見せつけます!果たして信用は得れたのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




