武者修行編-4.魔獣調教師
冒険者になった当日に請けた依頼は2つ。一つは魔獣退治でこれはもう片付けちまった。
そしてもう一つが盗賊団退治。とりあえず下っ端はもう片付けちまったので、これからアジトへと向かうんだ。
「フー、アジトには何人ぐらいいるんだ?」
「30人ちょっとみたいだね〜」
「あとは魔獣か···。こりゃほかの冒険者じゃあ荷が重すぎるなぁ〜」
「そだね〜。相手が多いからそれなりに人数いるもんね〜」
「まぁ、おれたちだったら大丈夫だろ。油断せずにいくぞ!」
「がってんしょうち!」
ってか、そんな人数の規模ならうちの道場生や軍を動員するぐらいだろ?なんで冒険者の依頼にあったんだろうな?このあたりがよくわかんねえなぁ〜。もしかしてワナだったとか?それも考えられるけどな。
さて、けもの道を通って森の奥に進むと、目の前に崖が現れた。どうもここの洞穴がアジトのようだぜ。
穴の前には見張りがいるな。って、ただ岩の上でボーっと座ってるだけだけどな。
「とりあえず倒して中に入っていくか」
「でも中がどうなってるかわかんないね〜」
「それは面倒だなぁ〜。どうにかして向こうから出てきてくれると楽なんだけどなぁ〜」
「あっ!いい事思いついた〜!」
「フー?いい事って?」
「ふっふっふ〜。フーにお任せ〜!」
そう言いながらフーは無防備に藪から出ていった。もちろん見張りに見つかっちまった。
「···あん?ガキだと?迷ってこんなとこに来ちまったか···。運の悪いやつだ。おい、おとなしくしろ」
「こんにちは〜!って、もう夕方だからこんばんはだね〜!ここが盗賊団さんのアジトですね〜?」
「あぁ?迷ったんじゃねえのかよ?もしかして···、わいらを捕まえに来たのか?」
「そだよ〜。じゃあ眠ってね〜。暗殺技、睡蓮」
「は···?ふにゃぁ···」
フーは見張りを眠らせた。まぁ、そういうことならおれも出ていっても大丈夫だな。
そしてフーは洞穴の中を覗いた。おれも一緒に確認すると、少し上っていってるようだ。枝分かれも多そうな気がするな。
「フー?ここからどうするんだ?」
「こうしちゃいま〜す!もくもく煙詰〜超特盛りいっちょ〜!」
フーの両手から大量の煙を出して洞穴の中に流し始めた!ってことは煙攻めかよ!?
しかし、洞穴は結構奥深いようだ。煙が奥まで行くのに時間かかりそうだな···。ちょいとおれも手伝うか!
「フー、おれが風魔法で送り込んでやろうか?」
「お〜!助かるよ〜!」
「よっしゃ!ウインドブロー!」
おれが風魔法で起こした風で煙が奥へ押し込まれていく。そして10分後···。
「ゲホッ!ゲホッ!か、火事だーーー!!」
ようやく気づいてくれたか···。とりあえず出てくるまで魔法は継続だ!さらに5分後···。
「ゴホッ!ゴホッ!見張りはなにやってやがんだ!?」
「見張りならそこでおねんねしてるぜ」
「なっ!?貴様ら!何者だ!?」
「冒険者だよ。あんたたちを討伐してくれって依頼があったから請けて来たんだよ」
「なんだと!?こんなガキに見張りはやられたってのか!?」
「そういうこと。おとなしく···、ってしてくれないんだろ?」
「当たり前じゃボケェ!おい!お前ら!ガキを殺せ!」
「「「「おいっす!!」」」」
やっぱなぁ〜。出てきたのは28人。指示出したのがお頭だな?魔獣いねえけど···。まぁいいか!
「リオじーちゃん流格闘技!猪突猛進!」
この技は簡単に言えばタックルだ!ただし、魔法で加速力を上げて突っ込んでいくから、並大抵では止めることはできねえんだ!
もちろん、技を繰り出すおれにダメージがいかないように魔法で防御している。リオじーちゃんの格闘技は魔法で体を保護しつつ、相手にダメージを確実に与える技が多いんだ。リオじーちゃんは白銀竜だから防御が得意ってのもあるみたいだぜ?
「おらおらおらおらーーー!!」
「「「「(ドーーン!!)ぎゃーーー!?」」」」
ははは!おれが体当たりしたら見事に吹っ飛んだな!
「くそっ···。なんて強さのガキだ···」
「さあ、降参しな。もうここまでやられたんだ。どうしようもないぞ?」
「···へへっ」
「ん?まだ何かあんのかよ?そう言えば魔獣を調教してるんだって?」
「なんだ、知ってたのかよ?だったら話が早いな!カモン!エリーちゃん!」
「グォオオオーーー!!」
盗賊団の頭が名前を叫ぶと、大きな咆哮が聞こえた!
「モンドくん!上から来るよ〜!気をつけて!」
「やっとお出ましか···。って!?コイツは!?」
そう、その魔獣はディザスターキマイラという羽の生えたライオンで、しっぽがヘビっていう魔獣だった!かなりの強敵だぞ!?
「おいおい···?あんた、コイツを調教したのかよ···?」
「ははは!赤ん坊のころから育てたのさ!エリーちゃんは賢いから、そこらの魔獣とは比べものにならんぞ!さあ!エリーちゃん!そこのガキ2匹が今日の料理だよ!」
「ガァアアアーーー!」
コイツの今日の料理がおれらだって?見くびられたもんだな〜。
「そんじゃあ、ちょっとだけ本気でやってやるか···。フー、手出すんじゃねえぞ?」
「おー!フーは盗賊団の皆さんをミノムシにしとくね〜」
「ははは!ガキの分際でナメた事を!エリーちゃん!後悔させておやり!」
「ナメてねえよ。そんじゃあエリーちゃんには悪いけど、これで終わりにしてやるよ。槍技、隼突き!」
おれは魔力剣を槍状に伸ばし、突きを飛ばす隼突きを繰り出した!
対するエリーちゃんは急降下の体勢だった。そこにおれの飛ばした突きが口から体の中に入っていってエリーちゃんの体を突き抜けた!
ドスーーーン!!
エリーちゃんは息絶えてそのまま墜落した。
「···そ、そんな!?エリーちゃんがぁーー!?」
「ふぅ~。ま、こんなもんか」
「貴様ぁーー!よくも!よくもよくもぉーー!!」
「あいつは魔獣だ。お前がどう思おうが勝手だが、ほかの人に被害を出すようなヤツは生かしてはおけない」
「黙れ黙れ!」
「はぁ~、こりゃ言葉も通じんか。止むを得んな。眠ってろ。暗殺技、睡蓮」
「んぐぅ!?ふわぁ〜···」
喚き散らすお頭を眠らせた。それにしてもよくこんな凶暴な魔獣を手なづけてたな···。食わなかったこの魔獣も何か考えがあったのか?
まぁ、こんな危険な魔獣が王都のすぐ近くにいたらヤバすぎだけどな。倒しておいて良かったぜ。
別作品の税務署長コウくんの物語でも登場しましたが、魔獣を飼い慣らせる事ができる人がわずかながらいます。
しかし調教はほぼ不可能でして、できてると思わせて最後に食べられちゃうんですよ。これは魔獣の知能が高いヤツでして、人を利用してやろうという魂胆です。エサとしか見てないですからね。言葉が通じないので、何を考えてるかなんて知りようがありませんしね。
ただ、『刷り込み』はできる場合がわずかにあり、その場合は人を親と見てしまうんですね。
対魔獣戦だと今のモンドくんとフーちゃんはほぼ負けなし状態ですから、相手が悪すぎましたね。
さて次回予告ですが、討伐系の依頼を達成したので今度は探し物の依頼を請けます。その依頼は魔獣の子どもを捜索!?
危険だと思われる内容ですが、どうなるのでしょうか?




