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『元SSS級暗殺者の道具屋生活。依頼ついでに冒険者をしていたら、なぜか伝説になっていました』  作者: ねむい人
第1章『辺境の道具屋編』

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第二話 ギルドマスター、頭を抱える

新作2話目です。


少しずつレオンの異常さが周囲にバレ始めます。

 冒険者ギルド。


 昼過ぎ。


 ギルド内は騒然としていた。


「だから本当なんです!」


「嘘じゃありません!」


「一瞬だったんです!」


 新人冒険者達が必死に訴えている。


 しかし。


「落ち着け」


 ギルドマスターのガレスは額を押さえた。


 五十代の大男。


 元Aランク冒険者である。


「ゴブリンが何体いた?」


「百体くらいです!」


「百体」


「はい!」


「それを一人で倒した?」


「はい!」


「一瞬で?」


「はい!」


 ガレスは天井を見上げた。


「酒でも飲んでたのか?」


「飲んでません!」


 即答だった。


 だが信じられない。


 百体のゴブリン。


 それは普通に緊急依頼案件だ。


 下手をすれば騎士団出動。


 それを一人で片付ける?


 あり得ない。


「証拠は」


「あります!」


 新人が叫ぶ。


「死体です!」


「……」


「全部首を斬られてました!」


「……」


「しかも一撃で!」


「……」


 ガレスは頭痛がしてきた。


 そんな時だった。


 受付嬢ミリアが入ってくる。


「ギルドマスター!」


「お前もか」


「本当です!」


「お前も見たのか?」


「見ました!」


 ガレスは椅子に深く座った。


 新人だけならまだしも。


 ミリアまで同じことを言う。


 冗談ではなさそうだった。


「で、その化け物の名前は」


「レオンさんです」


「知らんな」


「道具屋さんです」


「は?」


「夜明けの道具店の店主です」


「待て」


 ガレスは聞き返した。


「道具屋?」


「はい」


「冒険者じゃなくて?」


「道具屋です」


「…………」


 頭が痛い。


 ますます意味が分からない。


 すると。


 ドアが開いた。


 カラン。


「配達終わった」


 本人だった。


「レオンさん!」


 ミリアが立ち上がる。


 レオンは荷物を置いた。


「追加注文だ」


「あ、ありがとうございます」


「それと」


 レオンは袋を置く。


 ドサドサドサ。


 中からゴブリンの耳が大量に出てきた。


「討伐証明」


 ギルド内が静まり返る。


「…………」


「…………」


「…………」


 数十。


 いや。


 百近い。


 ガレスはゆっくり立ち上がった。


「お前がやったのか」


「何を」


「ゴブリンだ」


「ああ」


 レオンは普通に頷く。


「邪魔だったから」


「邪魔」


「配達ルート上にいた」


 ギルド職員達が固まる。


 緊急依頼案件である。


 邪魔な犬猫ではない。


 ゴブリン百体だ。


「お前……何者だ?」


「道具屋」


「違う」


「道具屋だ」


「絶対違う」


 ガレスは断言した。


 そんな時。


 外から慌ただしい足音が聞こえた。


 バン!!


 扉が開く。


 飛び込んできたのは血相を変えた冒険者だった。


「大変だ!!」


「どうした!」


「北の廃鉱山にオーガが出た!!」


 ギルド内が凍り付く。


 オーガ。


 新人どころか中堅でも危険な魔物。


「数は!?」


「三体!!」


「くそっ……!」


 ガレスが舌打ちする。


 戦力が足りない。


 討伐隊を集めても時間がかかる。


 すると。


 レオンが立ち上がった。


「ついでだな」


「何がだ?」


「配達先が近い」


 嫌な予感しかしなかった。


「レオン」


「ん?」


「お前、まさか」


「行ってくる」


 そう言って店主は出ていった。


 荷物を抱えたまま。


 ギルド中が沈黙する。


 数秒後。


 ガレスは天を仰いだ。


「……あいつ、本当に何なんだ」


 その頃。


 レオン本人は。


「今日は配達が多いな」


 などと呑気に考えていた。


 そして誰も知らない。


 その廃鉱山には――


 オーガなど比較にならない存在が眠っていることを。


第三話 廃鉱山の怪物


へ続く。

読んでいただきありがとうございます!


次回はレオンが配達ついでに廃鉱山へ向かいます。

もちろん本人は普通の仕事のつもりです。

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