第十六話 世界の外から来たモノ
いつも読んでいただきありがとうございます!
第十六話です。
神獣フェンも仲間入りし、ついに世界の外側からの脅威が姿を現しました。
ですが師匠はいつも通りです。
お楽しみください!
空が割れていた。
黒い裂け目。
そこから覗く無数の目。
見るだけで本能が警鐘を鳴らす。
普通の人間なら発狂してもおかしくない。
しかし。
夜明けの道具店の前にいる面々は普通ではなかった。
「……懐かしいな」
グラディオスが呟く。
「知ってるのか?」
レオンが聞く。
「昔、一度だけ見た」
古龍は眉をひそめた。
「世界を食う連中だ」
住民達が固まる。
「せ、世界?」
「ああ」
グラディオスは頷いた。
「昔、三つほど滅んだ」
さらっと恐ろしいことを言った。
「三つ?」
「世界だ」
住民達が泣きそうになった。
規模がおかしい。
その時。
裂け目がさらに広がる。
ギギギギギ―――。
空間そのものが悲鳴を上げる。
そして。
巨大な腕が一本。
ゆっくり現れた。
黒い腕。
山より大きい。
王都に向かって伸びていく。
「まずいな」
ノクスが言った。
「王都が消える」
「そうか」
レオンは荷車を置いた。
「配達は後だな」
そこだった。
「配達優先しろよ!!」
アークが叫ぶ。
「世界滅ぶぞ!?」
「でも依頼品だしな」
「依頼品の前に世界だろ!!」
正論だった。
しかし。
レオンは少し考えた後。
「先に終わらせるか」
空を見た。
その瞬間。
弟子達全員が後ろへ下がる。
「おい」
アークが気付く。
「何で下がる」
「危ないから」
ルナが即答した。
「師匠が少し本気出す」
「少し?」
その言葉が終わる前だった。
レオンが右手を上げる。
ただそれだけ。
武器もない。
魔法陣もない。
詠唱もない。
そして。
指を鳴らした。
パチン。
軽い音。
次の瞬間。
空が消えた。
「…………は?」
アークが固まる。
黒い裂け目。
巨大な腕。
無数の目。
全て。
一瞬で消滅していた。
跡形もなく。
存在そのものが。
完全に。
「終わったな」
レオンは荷車を引く。
「じゃあ行ってくる」
静寂。
誰も動けない。
住民達も。
兵士達も。
弟子達ですら。
数秒固まった。
そして。
フェンが呟く。
「やっぱり師匠怖いです」
「分かる」
ルナが頷く。
「私も昔泣いた」
「俺も」
ノクスも頷く。
「余も」
グラディオスも同意した。
全員経験者だった。
一方。
遥か遠く。
王都。
王城。
国王アレクシスは報告を受けていた。
「消えた?」
「はい」
「誰が?」
「レオン様です」
沈黙。
王は天井を見上げた。
「もう隠す意味なくないか?」
「私もそう思います」
宰相も諦めていた。
十三番兵器。
王国最終兵器。
いや。
もう王国ではない。
世界そのものの最終兵器だった。
その頃。
レオンは普通に配達していた。
「お届け物です」
いつも通りだった。
世界を救った十分後とは思えなかった。
そして誰も知らない。
あの裂け目の向こうで。
一つの巨大な瞳が。
静かに笑っていたことを。
「見つけた」
低い声。
闇の奥。
無数の世界を見下ろす存在が。
初めて興味を示した。
「ようやく見つけたぞ」
その視線の先には。
レオンがいた。
新たな脅威は。
まだ始まったばかりだった。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
今回は「世界の危機」と「いつも通りのレオン」を描いてみました。
次回からは、レオンを知る“何か”が本格的に動き出します。
今日はここまでです!
また次回もよろしくお願いします!




