不思議な老人
三人は数日間を歩き続けて目的地を俯瞰できる地点にまで辿り着いた。
彼らの立つ丘の上からは下の平原が見渡す事が出来た。
そう、アルバートから与えられた任務はその平原の中にあるモノの正体を見極めて繰る事であった。
ルンルン卿は、単眼鏡から顔を離した。
「ふぅ~ん。
平原の中にポツポツと人間の建てたような施設跡が見られるわぁ」
「本当ですか?」
「ジラセ君も見てみるといいわ!」
彼は師匠から単眼鏡を奪い取ると目の前に当てた。
そしてあっちこっちを見回して肩を叩かれた。
どうやら違っていた事を認識して、ある場所に向けた。
そこは短い草が生い茂る中、小さな獣が走り回っている様子も窺い知れることができた。
そして、その傍らに木組みで造られた崩壊した壁のようなのがあった。
それも大量に。
「あたしにも見せてよ」
ユマが懇願するように手を出している。
彼はその姿を見てから渋々と単眼鏡を手渡した。
彼女は興味津々の態度で、二人が対象として見つけた地点と思わしき所へと顔を向けた。
「ルンルン卿これは返します」
ユマはお姉さんのルンルン卿に単眼鏡を返すと、しっかりとストレッチを始めている。
(ユマもやる気に満ちてるなぁ。
あいつは運動神経がないし、足を引っ張らなければいいけどね)
そして三者は連れだって丘を下り、単眼鏡で見つけた地へと辿り着いた。
その地は草丈の低い葦のような植物が生い茂っている。
地面はぬかるんでいるような感覚を脚に感じた。
どうやら沼地だったかもしれない事をジラセは考えた。
そして視界には木組みで造られた構造体が視界に広がっている。
(━━ここが目的地。
レ=メゾン国とどんな繋がりがあるんだろう?)
ジラセはキョロキョロと周囲の警戒も籠めて目線を走らせ始めた。
ルンルン卿も愛用の得物なんか双方の先端に矛のような刃を有する双頭剣を持っていた。
その眼は、パット見は普段のお気楽な様子と変化ないが見る人見れば油断のならない相手だと感じさせる。
そして、ユマは腰に巻きつけている革製の鞭の持ち手に手を添えていた。
「それじゃ皆、陽が頭上に上った頃にここに集合しましょうか?
危険そうな出来事と遭遇しても手を出さずに逃げる事!
私の命令に従えるわね?
よしOK」
彼女は二人の返答を聞く前に勇んで探索に向かってしまった。
多少ぬかるんでいる土地のせいか、歩くのに少し難渋しているようであた。
幼馴染の二人は顔を見合わせると苦笑いをしあった。
そして、バラバラに歩を進めた。
太陽が空の頂点辺りに位置する昼。
三者は決めた地点へと戻ってきた。
三人とも特段傷などを負っている様子は見えなかったが、服の裾が少しばかり泥で汚れていた。
そしてユマは後ろを振り返り名がらジラセ達に近づいてきた。
その様子は何か隠し事をしている風に彼は感じた。
「さてジラセ君。
何か発見できた事はある?」
「いいえ、俺の見つけられたのは大した物ではありませんでした」
両肩を落とすような様子を見せながらジラセは鞄から複数の割れた瓶を取り出した。
「でっユマちゃんは?」
その言葉を待っていたのか彼女は胸を張り言葉を吐いた。
「あたしは有望株を発見したわ!」
そして手を叩くと、建物の残骸の後ろから白髪の背の曲がった老人が出てきた。
そしてユマの隣に立つと背を正して二人に答えた。
「儂は、この地であるラルバ=レム=ラーの生き残りじゃ。
たった一人でよく生きてこれたかと疑問に思っている不思議な顔をしておるな。
そこの少女も不思議じゃったようであった」
「ラルバ=レム=ラーってたしか、百年ほど前まであった独立していた村落だった気がするわ」
ルンルン卿が奇妙な事を見聞きしたかのように呟いた。
その言葉は他人に聞かせるというより、自分の頭に“コレ”は真実だと確信させたいような響きがあった。




