冒険家として
秋後季の穏やかな心地よい中、ひとりの少年と少女が大通りを歩いている。
その少年は額から左右に分かれた金髪に、色の濃い茶色の輝きの目をしているジラセであった。
服装は動きやすく且つ汚れても気にならないような素材、さらに腰には剣帯や鞄が吊るされている。
今日は冒険家に正式就任してからの初日。
得意な得物と簡単な筆記具を持参して部の建物を訪ねるようにと伝えられていた。
隣を懸命に歩いているのは彼の幼馴染のユマ。
何度も訴えて冒険家としての記録を遺す為に付いて行くといって説得した結果であった。
その顔はまるで自分ごとの様に誇りに満ちている表情であった。
「邪魔にならないように静かにしてるんだぞ。
俺はそこまで面倒見れないからな」
彼はいつの間にか一人称も変わっており、立ち振る舞いも落ち着きを付加された所作になっていた。
「はぁ~い」
笑顔で軽やかに返事をする幼馴染。
その声音はジラセが“馬鹿”と考えるユマの通りに天然そうな声音を含めた態度を醸し出してもいた。
「あら、お二人さん揃って活動ですか?
本当に仲が宜しいので、女神様からの祝福を受けれる日も間近ですね」
受付嬢はジラセの顔を思わせぶりな表情をしながら一瞥する。
その時にか、ユマはしがみ付くが、彼は気にすることなく返事をした。
といっても、腕には体温と小振りな胸の感触などが感じられていたのだけど。
「違いますよ。
俺たちはまだ十一歳。
両親が結婚したのも十代の終わり辺りと聞いています、だから今はまだ女以外の事に心を傾けたいのです」
彼は力強く返答したが、彼女の表情は軽やかに笑うだけであった。
「長官を呼んでくるので、少し待っていてください。
ねぇ、アルバート」
受付嬢が奥の書庫に居た男性に声をかけた。
彼はのっそりと近づいてきて、その刃の様な鋭さを感じさせる雰囲気と体格に彼は圧倒された。
「訪問者は誰だい?
あー、彼らが長官が言ってた期待の新人なのかな?
でアネシャ、二人揃って入団希望者なの?
ひとりと聞いているけど」
アネシャは、彼の肩をポンポンと叩くと笑いかけてジラセと隣の付き人としてユマを紹介した。
アルバートはその言葉を聞くと驚いた様子も見せずに受付座席に座った。
「後でサービスするから、アルバート少しの間応対頼むわね」
「君のサービスなんてね、僕の喜望を叶えることは大変だよ?
早く長官の許にいってみたらどうだい」
彼女は“そうね”とだけ言葉を発すると小走りに冒険家セクター部の二階への階段を駆け上がっていった。
ジラセの記憶では、二階には研究前や調査が一通り済んだ文物が収蔵されている倉庫になっているということであった。
「でジラセ君だよね?
君は何が出来るんだい?」
アルバートは彼を調べ抜くような目で見た。
体格に似合わず、その眼の奥には知的な眼差しとも言える輝きがあった。
ジラセはその調べぬくような目線の俯瞰を感じながら答えた。
「俺はどんな下働きも苦にしません。
そして、剣や知識も体得できています」
「へぇ」
アルバートは目を細めた。
(この人は体型によらず争い担当でないのかも。
なら俺との決闘は知識と智慧比べかな?
ここで彼の頭より冴える事を見せつければ、先が有利になりそう)
「アルバートさん僕の力を見せる必要があれば、何時でもその力を発揮する意思を持っています。
なんなりとお試しください」
ジラセは自分の昨年より発達した筋肉を叩いた。
といってもほとんど骨格で痛かったのだけど、気にしない事にした。
「僕は冒険家の補助職員で冒険家ではないんだよ。
長官に其れは聞いてみてくれないかな?」
先週の分の改稿後の内容です。




