教育課程の講習会
ジラセは十一歳で無事に冒険家に就任できた。
それにより、元から決まっていた半季に及ぶ講習を受ける事に決まった。
先ずはレ=メゾン国の歴史と文化といった基本事項であった。
「━━それでは分かったわね!
この我が国は土地の発展に力を入れているの、理由としては資源が周辺の国より少なく思われると判断されているから。
元々は、支配下に組み入れていたからなんだけどね」
ルンルン卿は、新人であるジラセの真剣な顔を見詰める。
その双眸は、相手を魅了するかのような眼差しと共に熱意を感じ取ることができる。
彼は緊張して背筋を伸ばした。
「今は独立時の資源量もその時より、一.三倍に膨らんだらしいわ」
卿は自分事のように語りながら胸を張った。
彼は懸命に頭を働かせて記憶しよとうとしていく。
そしてまるで今初めて知ったかのような誇りが胸に広がっていく事を感じていた。
「かつての宗首国のラーディン=ガル国を二正面作成で撃破したのは知ってるわよね?
その時に活躍した英雄のひとりがなんと、そうなんと━━私のおじい様なのよ!
その時に連合を組んだのがリン=ジェン国」
ルンルン卿が鼻息荒く言葉を発した。
とても自慢気に教授している理由に思い至った。
弟子は師である彼女から渡された肖像画を見た。
肖像画に描かれている男性は壮年期に見え、且つスタイリッシュな服装をしている。
その眼差しは表面上は柔和そうだが、芯が強固そうであった。
さすが英雄だと感じさせる人物であった。
「さて次は、生存術ね」
ルンルン卿はジラセに命令するように言葉を発した。
首領邸にある冒険家セクターの中にある建物から彼を引き連れて歩いていく。
都市の中の大通りをズンズンと歩んで進んでいく。
周囲の人の様子に気づけない様な速さでジラセの師は歩んでいく。
時たま鳥の地鳴きが聞こえてくる。
そう、気づけたのはそれだけであった。
「あのルンルン卿。
俺は一体何処に向かっているのですか?」
その言葉を聞いて彼女は彼の方に向いた。
その視線には質問を言いたいような輝きが秘められている。
そして、「ジラセ君、私たちが通り過ぎた通りは何かしら?」
唐突な質問であり、彼は言葉に詰まってしまった。
予想外の内容の言葉であると共に、全て師に託していた意識の問題で答えに辿り着けなかった。
「━━その」
「成程、意識の中に遺せなかったのね。
これから冒険家として生きていく時には、何処をどう動いて行動したかという記憶をしっかりと保持できるように求められるの。
最初だから仕方ないけど、これ以後はしっかりとしてね」
ルンルン卿の睨みつけた顔の表情が崩れて笑顔になった。
その容姿を見ていると場違いに想えるほどジラセはドギマギしてきた。
両手ともしっかりと握り合わせた。
(俺は何を考えているんだ、恋にでも落ちたのか相手は年増だぞ。それにおそらく……)
「ジラセ君どうしたのかな?」
ルンルン卿が彼の両目を一心に見詰めると共に、額に手を乗せてきた。
彼はその手を急いで払いのけてしまった。
「師匠!
俺は何てことないですから!
次の教育内容は何でしょうか!」
緊張してしまい、一語一語毎に語尾を荒げてしまう。
彼女はキョトンとした顔をしたままその場で立っている。
ジラセは利き腕で額の汗を拭いた。
その手には汗がびっしりと滲み出ていた。
(俺はかなり狼狽えているのか?
これではユマの事言えないぞ)
彼は心や意識が埋没していくかのようになりながらも次の言葉を待った。
しかし、ルンルン卿は風景を見ているだけで動きはなかった。
彼はシビレが切れ始めてくる。
その時にふと彼は、自分の“コレ”が弱点なのかと考え始めていた。
せっかちで結論を早く求めるという事を。
「ルンルン卿はオレの弱点を気づかせてくれました!
自らに気づけるという事が冒険家として本国から遠く離れた地点で活動する為の貴重な能力なんですね」
彼女は苦笑いをした。
「まぁそうかしら」




