第一回発表親睦会02
「二人の決闘の前にさ、先ずは腹ごしらえしようよ」
シャイン明るく語りつつ手と手を叩くと、いつの間にか立っていた男性が部屋を出ていった。
そして、数多くの皿が乗った台車を押してきた。
その皿の上には、色とりどりの焼き菓子や生菓子が並べられている。
さらには、大きな樽二個まであった。
そして金属製のプレートには、果実飲料と酒飲料と刻印されている。
人数分の小皿とカップも用意されて宴会の準備が整えられた。
その様子を見終わったシャインは、従業員を下がらせると皆に進め始めた。
“みんなで食そうと”。
「シャイン殿が整えてくれたこの舞台を無下にするのは無粋というものである。
よって今から無礼講の宴会を始める!」
大きく小部屋を振るわせるかのような大声量でバルが語った。
ミィンはその眼をすぼめて菓子を見詰めていた。
「バル、酒は飲むなよな。
僕との決闘に入る前に浮ついた気分になられても困るからね」
「お主もな」
既に少年二人の間では火花が散っているかのような空気が醸成された。
ジラセはシャインの方を見てから感謝の意を伝えた。
しかし、彼はどこかオロオロと落ち着かない様子で座っていた。
「僕は暴力反対だよぉ。
二人とも仲良くしてよ」
「僕らは冷静さ、そうだろバル?」
ジラセは一人頑健そうな体躯をした少年に声をかけた。
「安心しろ、シャイン。
俺はこいつを簡単に捻じ伏せられる自信があるからな」
と示威行動と同時の言葉を吐く。
「ねぇ、ユマちゃん。
どっちが勝つと思うかしら?」
「私は……未来の夫を応援する」
女性陣の二人は別の事感覚で勝手に盛り上がっていた。
それを無視する格好で二人の少年は外へと向かった。
そのあとを少女の二人が続いて、最後にこの宿の御曹司が続いた。
それも慌てた様子で。
レ=メゾン国にある道場のひとつ。
此処は都市で最大規模を誇っており、市民の全員が会員として名を連ねていた。
所謂公営道場。
ジラセは素手で父から教わった構えをとった。
攻防を迅速に切り替える事が有利な型であり、欠点としてはその器用貧乏さこそが弱点ともいえた。
それに対してバルは、一撃一撃の打撃を強力にすることができる型であった。
「二人ともやめようよぉ」
シャインの懇願するかのような声音。
揃って顔を向けていないが、泣きそうな声で有る事は感じる事ができた。
「本当にいいのね?」
とミィン。
「これの次は槍で勝負だ」
とジラセ。
ジラセは利き足を地面に力強く蹴って突撃した。
バルの手前で跳躍して一回転して後ろ向きで蹴りだした。
脚部が空を切る。
そして、ジラセは軸足の方で器用に着地すると勢いを殺すことなく拳を振りぬいた。
文字通りの意味で━━バルが手を添えて攻撃力を逸らした。
ジラセの身体が吹っ飛んで倒れる。
彼の意識が入る前に腹部に蹴りが入った様であった。
クラクラするのに負ける事無く起き上がると、もう一度突撃した。
お互いの身長より長い柄のある槍を交差させる。
開始の合図と共に穂先を下してから、顎を狙って勢いよく突き出した。
穂先は金属製の出っ張りになっており、ぶつかっても痣や怪我をする程度で済むようになっていた。
バルはジラセの槍の穂先を下げて、且つ柄で滑らせる。
そのせいで彼の体勢は大きく崩れてしまった。
その顔面に下から顎に向かって衝撃を加えられた。
酷いと脳震盪になりそうな位にひっくり返ったジラセ。
「ジラセ君」
彼の耳の遠くに、誰かの悲鳴のような声が聞こえたが意識が鮮明でない中はっきりとしなかった。
さらに彼の周りに人が集まってくる足音が聞こえてくる。
「お前では俺に勝てないからな」
上の方から淡々とした言葉が彼の耳に聞こえてくる。
ジラセはバルに完敗した。




