作戦会議……かも
「明後日遂に年一回の木漏れ日の狐班の発表親睦会かよ。
何だか何にも伝える事がない上に豪華な宿にいくから緊張してくる……しっかり眠れるかな?」
ジラセは床板に敷かれた藁の上でゴロリと横になった。
既に室内火は消されており、天井は闇の中に包まれており見えなかったのだけど。
さらに数言の独り言を呟くと瞼を閉じ、明日への発言内容を頭の中で組み上げていく。
「イザとなったら、ユマを引き釣り出すか」
彼はその思い付きが上出来だと思い、心配事がひとつ消えた事によって静かに眠りに落ちていった。
彼の夢の中で、ひとりの顔の見えない少女がジラセに笑いかけている。
彼はその少女の容姿を確認しようとするけど、全く出来なかった。
そこである質問をした。それは、“僕ともう出会いキズナを形作ている者か”と。
少女の返事は表情を確認できなくても、苦笑している事が彼には分かった。
そして彼女の両肩を揺さぶると彼は起きた。
窓から朝に到達したことがわかる。
「もう明日が発表親睦会なんだね。
さて、特に喋る内容もないしユマに助力を乞うか」
少年は独り言をすると、隣の住居に住んでいるユマの実家へと向かった。
ユマの実家はジラセの家のすぐ隣にあった。
小さい頃からの家族ぐるみの付き合いであった。
そして、二人の親の代が昔の女神の大乱令の時に関りのあった部隊の戦友なのだと聞いていた。
彼は玄関の戸を叩いた。
しかし反応がなかった。
そこでグルっと家の覗ける位置へと回り、そこでユマが下着姿がウロウロしている姿に出会った。
といっても、下が下着で上はきちんと着ていたのだけど。
「ねぇ、ユマ明日の為の作戦会議をしないか?」
その言葉を聞いて彼女は勢いよく振り向いた。
その顔は瞬間的に上気し、両手で鎧戸を閉めた。
その為、ジラセの視線からは中が見れなくなった。
「オホン」
彼の背中で小さな咳がしたので、ジラセは声のした方に振り向く。
ユマが着替えて立っていた。
「私に何の用かな?
それとも、遂に私とくっ付く覚悟が産まれたのかしら?」
「明日の親睦発表会について、どうしようかって事だよ。
知っての通り僕は、今回には冒険家になれなかったから喋る内容がないからね」
「わたくしの“魅力っぷり”を話題にしたらどうかしら?」
ジラセは白けてきた。
(昔から自己愛が酷かったけど、さらに拍車がかかったのかな?
それだから小父さん達が心配するのにさ)
ジラセは彼女の両親の心配している姿が頭に浮かんだ。
年の離れた彼女の姉と違って、出来の悪かったユマは何かについて心配の対象だったから。
その解決のために戦友のザッカスとマナラバの住む区画に引っ越したと彼は聞いていた。
「確かに腰つきが良かった気がする」
その言葉に彼女はクネクネと目の前で身体をくねらせた。
ジラセはげんなりとしてきたけど、それに負ける事無く本題をもう一度取り上げた。
「明日の親睦発表会について、どうしようかって事だよ。
知っての通り僕は、今回には冒険家になれなかったから喋る内容がないからね」
彼女は目から真剣な表情になった。
そして指を唇に近づけて悩む様子を彼に見せた。
両手を上下にポンと音がしそうな感じで叩きひとつの案を上げた。
「今回は、仕事で見知ったリン=ジェンの様子を語るというのもありかなぁと私は思う。
そして、小父さんとの決闘の際に気が付いた点などを追加すると皆の気持ちもより嬉しくなるかもしれないわ」
ユマは自らの発案に満足したかのように頷いている。
(やっぱりユマに聞いたのは間違いだったよ。
僕でも気が付くような事しかでてこないなぁ)
と彼は頭に思考がよぎったが、無視するのは好くないために適当にお礼を言っておいた。
彼女は悦に浸った顔をして実家の中に入ろうと玄関のノブに手をかける。
その隙を逃さずにジラセは感謝を籠めて彼女に抱きついた。
兎も角ここは攻めてコレからも利用できるようにと彼は考えた。
「ちょっとジラセ君。
恥ずかしいから━━」
「ユマ、今以上に幼兎馴染で良かったという事はなかったよ」
ユマが照れながら両拳を握りしめたのがジラセの視界に入ったが、彼は気にしないことにした。




