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一章 第四通 差出人不明

『佐々木 柚子』

この人に宛てられた手紙が僕の机に入っていた。


「凛。この人知ってる?」

「あの、私つい最近転入してきたばかりなので、知り合いなんて手紙くん以外いませんよ。」


そういえばそうだった、、、

とりあえず、差出人も見ておこう。


、、、、、、?何回も裏返す。

ない。何度見てもやっぱりない。

差出人の名前がない。


凛が不思議そうな顔をして

「差出人の名前ないですね。今までこう言うことはあったんですか?」

「いや、、、僕が知る限りでは一度も、、、」


そう。今まで一度もなかった。いつも差出人も宛先もどっちも必ず書かれていた。

ただ、今回は宛名だけだ。


「どうすんだよ。宛先の佐々木柚子がどこの誰かもわからないし、差出人が誰なのかもわからないって届けられないだろ。」


凛は少し考えて言う。

「そうですね、、、どうしましょうか。とりあえず手紙の中身を見てみますか、、、?」


僕は首を振る

「いや、流石にだめじゃないかな…勝手に手紙読まれるのって嫌じゃないか?それも最後の手紙だし…」


届けようと決めた矢先なのに八方塞がりだ。

答えは出ないまま昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。


「とりあえずは、授業だ。続きは放課後考えるぞ。」


凛は少し残念そうに頷く。

確かに、この状況が歯痒いのは分かるが、現状どうしようもできない。

そして僕たちは午後の授業に臨んだ。

午後の授業は集中できず、そしてすごく長かった。



そして、放課後になる。

教室には何人か生徒が残っていて話せなかったので僕たちはカフェに来ていた。

僕がカフェオレ、凛がクリームの乗った甘そうな飲み物を飲んでいた。

凛がストローに口をつけてちゅーっと一口飲む


「なぁ、凛。自分の名前を書かずに手紙を出すのってどんな時だと思う?」

凛はストローから口を離す。

「果たし状、、、とかでしょうか。」

「とても女子高生から出る発言じゃねーな。」

「手紙くんはどう思うんですか。」

「ラブレターとか、、、?」

「顔見合わず可愛いこと思いつくんですね。」

「るっせ。」


そんなくだらないやり取りをしていたが、流石に本題に戻る

「で、どうしようか。これ」

カバンから白い封筒を取り出す。

「うーん、、、そういえば。今まで私以外に手紙を届けたことはあるんですか?」

「まあ、何回かは。」

「その時はどうやって届けたんですか?」

僕は少し考える。

「なんかぼやーっと、届ける人はこの辺にいるんじゃないかなって分かる時があったんだよな、、、」

「今回はそれは?」

僕は首を横に振る。

「分かる時とわかんない時があるし、その違いはわからん。」

「八方塞がり、、ですね」


いい方法が思いつかないまま時間だけが過ぎていく。

「とりあえず、届ける人がわかった時とわからなかった時の違いを見つけましょう。もしかしたら何か法則があるかも。」

法則と言われても、、、そもそも誰に届けたかほとんど覚えていない。


「中学校の時のクラスメイトに宛てられたおばあちゃんからの手紙とか、、、先生に宛てられたお子さんからの手紙とか、、、」

思い出せる限りではそんなくらいだと思う。

「あと、凛もわかったな。なんとなくだけど。」

凛は少し考え、指を2本立てる

「私が思いつく仮説は二つあります。一つは差出人と宛先の関係性がわかっている時。ただ、これは私の時も先にお父さんからの手紙が手紙くんに送られたおかげで私とお父さんの関係性と見抜いたのかもしれません。

もう一つは、手紙くんの近くにいる人というか仮説です。あくまで仮説ですが、手紙を持って手紙くんが宛先に近づいた時、感覚でその人宛てだと分かる。現状この二つが考えられます。」


僕は少し考える。

確かに、言われてみればそうかもしれない。

僕が今まで届けられた人はどっちにも共通している。


「だとして、仮説1が正しかったとしたら振り出しに戻るだろ。結局関係性がわからないんじゃどうしようもない。なんてったって差出人不明なんだから。」

「そうですね、、、」


僕たちは結局中々いい案が出せなかった。凛の飲み物のクリームはすっかり溶けてしまっていた。

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