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スキル無しゴトーさんは最弱のはずです!~勇者召喚に巻き込まれたモブサラリーマンの異世界冒険記~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第37話 国王との謁見

 ユキタカが姿を変えているランス・ファイスとイリスは、王宮に数日滞在する事になった。


 本当はすぐにでも帰郷するつもりでいた。


 しかし、王宮での二人の立ち回りが国王の耳にも入り、会ってみたいと言い始めたのだ。


 ランス・ファイスにとって、国王リッツ・トールデインは、自分を辺境で始末するように命じた張本人だったから、本当は顔も見たくないところだった。


 だが、ステファン第一王子と違って、国の最大権力者だから、下手な事をして敵に回し、イリスが故郷に戻れなくなるような事はしたくない。


 だから、従うのだった。



「ランス、大丈夫ですか? 国王陛下は『人見の瞳』という国宝級神器を所有している事で有名です。もし、ランスが変装している事が見抜かれる可能性があるので、危険だと思うのですが……」


 イリスは、王宮の内庭で二人で歩きながら心配した。


「そうなの!? ……でも、大丈夫かな。こちらの所有物は王宮お抱えの鑑定士や高額な魔導具でも鑑定不可能だった代物だからね。それに、戻ってきた『神器・眼鏡』でも、今の僕の神器鑑定が不可能なのは、この数日でわかったから、問題ないと思う」


 ランス・ファイスは、この数日で、自信を深めていた。


 それが、聖女セイから数か月ぶりに戻ってきた、『神器・眼鏡』の存在である。


 ランス・ファイスの発言通り、『神器・眼鏡』は、あらゆる鑑定を行えるらしい代物だ。


 自分の手に戻ってきたので早速、他の神器について鑑定して確認を行っていた。


 その結果、想像通り、勇者召喚時にこちらの世界に持ち込めた全ての物が神器になっていた。


 特に、コンビニの袋も神器になっていたのは驚きだった。


 さらに驚くのは、地底から侵入した転移ダンジョンの攻略時に、達成特典としてレベルカンストのレベル99から、限界突破してレベル101になったのだが、その時、所有している神器も限界突破していた事だ。


 というのも、『神器・眼鏡』で鑑定すると、『最難関の転移ダンジョン攻略で限界突破した神器のひとつ』と表示されたからである。


 つまり、その時所有していなかった『神器・眼鏡』は限界突破していない神器の為、ランクが上の他の神器を詳しく鑑定できないという事らしかった。


 ランス・ファイスはその事を、イリスに説明する。


「そんな事が……。あのダンジョンは深く潜ると魔物が、驚異的な強さになったので、相当、難度が高いダンジョンだとは思っていました。ダンジョンボスも私では傷一つ付けられませんでしたし……」


「あの転移ダンジョンは、かなり特別なものだったのかもしれない。限界突破も異常な事みたいだし。僕の場合、神器が無ければ、ただの無能力者だからね。そのせいで簡単にレベルはカンストできたけど、スキルのあるこちらの世界でレベルカンストはありえないんでしょ?」


「ええ。以前にも説明した通り、長い歴史の中で、伝説級冒険者でもレベル60~70程度だったと言われていますが、それも、稀人だったそうなので、この世界ではありえない事です。つまり、あのダンジョンのボーナスは通常、私のような人が、レベルを上げる為だけに存在していたものかと。」


「そこに、レベルカンストした無能力者の僕が神器を身に纏ってやってきて、世界のことわり外の事をやったから、それ以上の特典として限界突破を与えるしか、なかったわけだね」


「だと思います。ユキの専用所有物だった神器も限界突破された事で、この世界の限界もユキの神器に最大値が修正されたのかもしれません」


 イリスは、分析しながら、とんでもない事実に呆れるしかない。


 だが実際、一緒に旅をする事で、驚く事を沢山目の当たりにしてきたから、突飛な事も信じる事ができた。


「つまり、国王陛下の持つ神器でも僕の正体を暴く事はできないという事で問題はないよね?」


 ランス・ファイスは、変化した渋い顔で、笑顔を浮かべる。


 イリスにとってはランス・ファイスではなくユキタカの笑顔が見慣れているものだったから、未だに慣れない。


「今朝、この国の神器の事を思い出し、午後から国王陛下との面会は大丈夫かなと慌てましたが、それならば大丈夫そうですね」


 イリスはホッとした様子を見せる。


「心配してくれてありがとう」


 ランス・ファイスはこの優しい仲間に素直に感謝するのだった。



 二人は、謁見の間に通されると、国王に拝謁する事になった。


「その方らが、ステファン王子の申していた強き戦士達か。──どれどれ」


 リッツ国王は、勇者一行を圧倒的な強さで倒したというランス・ファイスと、イリスの存在を胡散臭く感じていたのか、早速、神器『人見の瞳』を使って二人を確認した。


「……何の反応もない、か……。怪しい魔力も感じないし、本当にただの人のようだな……。──お主達、勇者殿一行の護衛兼教育係を断ったそうだな。ならば、双方に爵位を与えよう。我が国の貴族として、この地に留まるがよい。──男の方に騎士爵、女には魔法士爵でよいか?」


 リッツ国王は当然、二人が断らないだろうとばかりに、宰相に爵位の確認をする。


「お待ちください。爵位はお断りさせてもらいます」


「なんだと!? 爵位があれば、貴族の仲間入りして、地位と領地が手に入るのだぞ? 何が不満なのだ」


 リッツ国王は心外な言葉に驚く。


「私達は魔王討伐の為、北に向かう事にしました。その為には、この国の貴族になってしまうと、他国でその地位が問題になる可能性もあるのでご容赦ください」


「わははっ! 魔王討伐、とな? それは勇者殿達の仕事だ。それもずっと北の国々が召喚するであろうまだ見ぬ勇者様達の、な。だから、この国では、魔王討伐よりも近隣諸国に対する準備の方が先決である。そなたらの腕は我が国の繁栄の為に使うがよい。爵位に不満があるなら、特別に男爵位を与えてもよいぞ?」


 リッツ国王は、この場に、勇者達がいないからか、本音を口にした。


(やはり、自分の国の戦力として、『勇者召喚』を行ったのか)


 ランス・ファイスは本音を聞いて、気持ちが定まった。


 どんな厳しい言葉をぶつけてやろうか、と頭を巡らせていた時である。


「失礼します! ──国王陛下、一大事でございます! 王都上空に、魔物の大軍が現れました!」


「何!? この王都には魔物除けの強力な結界が張られているはず……、幻ではないのか?」


 リッツ国王は、兵士の慌てた様子にも、間の抜けた返事を返した。


「それが、結界を破られたようです!」


 その場に同席していた近衛騎士団長は、慌てて窓を開けると、上空に鋭い視線を向ける。


 そこには、王都に影を落とすだけの飛行型魔物が、大量に出現していたのだった。

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