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スキル無しゴトーさんは最弱のはずです!~勇者召喚に巻き込まれたモブサラリーマンの異世界冒険記~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第27話 今後の目標

 地底から戻ったユキタカとイリスは、まずは宿屋を取ってから通りに出た。


 食事をする事にしたのだ。


 そこで、今後についての話し合いを行う。


「これからのパーティーの目標はどうしますか?」


 ユキタカが肉汁滴るお肉を一切れ頬張りながら聞く。


「目標ですか? そうですね……。私は冒険者なので色々と目標はあったのですが、ユキと会ってからはほとんどそれも達成してしまったので、聞かれると困るところではあります」


 イリスは困惑気味に苦笑した。


「え? そうなんですか?」


 ユキタカは食べる手を止めて、聞き返す。


「はい。以前も話しましたが、私の本名は、イリストラーナ・ファルオーネ・シュタインランサーという仰々しいものです。その理由が元貴族の娘だからなんです」


「貴族の!? 道理で気品があるなと思いましたよ」


 ユキタカは妙に納得した。


 イリスは王都で護衛として付いていた冒険者達比べて、全然下品でなく、人を惹きつけるものがあった。


 それが、貴族として教育を受けた者が漂わせる品の良さだったのだろう。


「なるべくは、所作が出ないようにはしていたのですが……。──それで私の目標の一つが、家名を有名にする事だったんです」


「家名を? 家の再興ではなく?」


「はい。さすがにそんなつもりはないですよ。冒険者として名を馳せ、家が没落したのは家人が無能だったからではないと示したかったのです。ですが、それもユキのお陰で、未踏破のダンジョン攻略という大いなる功績を残せた事で、果たせました。ありがとうございます」


 イリスはユキタカに感謝とばかりに、頭を下げる。


「他にもあるのですか?」


「はい。それは、純粋に強くなる事でした。それも、ユキのお陰で私のレベルはかなり上昇しています。──私、65まで上がったんですよ?」


 イリスは、嬉しそうに最後は、小声で教えた。


「それって、──……どのくらい凄い事なんですか?」


 ユキタカはレベルと言われてもあまり、ピンとこない。


 そもそも自分は、スキル無しの無能力者という事で、レベルは簡単にカンストしてしまった経緯がある。


 ダンジョン攻略した特典として限界突破し、101になったものの、それも、凄い事なのかわかっていないのが本音だった。


「えっと……。私はユキに出会う前はレベル21でした。これはあくまで推奨ですが、ゴールド級冒険者は、レベル20以上が求められています。その上のプラチナ級が30以上、さらに上であるミスリル級が40以上、オリハルコン級が50以上、そして、一番上で、伝説を意味するアダマンタイト級が65以上だと言われています」


「で、で、で……! ──伝説なの……!?」


 ユキタカは驚いて声が上ずったものの、慌てて声を落とした。


「私も驚いています……。もちろん、持っているスキルにもよるので、前後差があるのですが、殴り系治癒士としては、私、相当強い部類になっていると思います……」


 どうやら、ここまで強くなるつもりもなかったのだろう。


 女性としての部分が、恥かしさを覚えたようだった。


「でも、僕、……レベル101だからね? スキル無しだと、あっという間だから、あまり気にする必要はないと思うよ?」


 ユキタカは励ましにならない自嘲気味な自慢をした。


「そもそも、スキル無しがあり得ない事ですから……。とにかく、私はユキのお陰で強くなり、名声も得てしまいました。ついでに元仲間に復讐も果たせましたから、それら全てのお礼の意味を込めて、これからはユキの目標に付き合いたいと思います」


 イリスは優しい笑みを浮かべた。


「僕の目標? ──うーん……、そう言われると難しいなぁ……。まあ、あるとしたら、僕を追放して暗殺しようとした国にざまぁする事かな? あとは冒険したり、その中心になるような拠点を構えたりとか? あ、そうだ。この世界では魔王が復活していると聞いた事があるけど、それは本当なのかな?」


「ざまぁの意味はあまりよくわからないですが、冒険や拠点づくりはいくらでも協力できますよ。──魔王はすでに復活しています……。北辺の遠い向こうに魔王領を構え、すでに周辺の国家と戦争を繰り広げているという情報はここまで伝わってきています」


 イリスは真面目な表情になると、この世界の簡単な情勢を伝えた。


「だから、勇者召喚が行われたのか……」


「建前ではそうでしょうが、実際は違うと思いますよ? トールデイン王国が自国の強化の為に行っただけだと思います。ここは魔王領から遠く離れていますし、最近、近隣諸国との情勢が悪くなっている事もあり、外交的に勇者召喚したというのが本音ではないかなと」


「……え? そんな理由で召喚できるものなの?」


「いえ、勇者召喚自体は、とても難しいものです。大国でも数百年に一度できるかできないかという代物で、当たりハズレもあるイチかバチかのものですから」


「そうなの? じゃあ、勇者、聖騎士、聖女、賢者を同時に呼び出すってすごい当りという事!?」


「はい。ただ、上位スキルにもランクがあるので、同じ勇者でも、差が出る事はあるみたいです」


「……そんなに勇者っているものなの?」


 ユキタカは勇者召喚事情を知る度に、呆れてしまう。


「魔王復活に合わせて、危機感を覚えた各国が勇者召喚を試みるというのはいつの時代もあるようなので、一つの時代に勇者が同時に四人存在したという記録も残っています」


「うーん……。勇者の価値……」


「ですが、勇者など上位スキルに希少価値があるのは変わらないです。平和の世では、全く現れないのが一般的ですし」


「つまり、この世界では勇者召喚しない限り、魔王を倒す勇者は現れないって事になるよね?」


「それも少し違います。現地でも、魔王復活に合わせて勇者スキル持ちの人が現れる事はあります。でも、後天的に与えられる事が多いので、人物鑑定を行って確認する必要があるのです。ですが、人物鑑定は何度もできる程、安上がりなものではないので、費用は高いけど効率を考え、勇者召喚に可能性を賭ける方が、手っ取り早いみたいです」


「ラノベと違って夢がないなぁ……。──人物鑑定での確認ってそんなに大事なの?」


「はい、鑑定する事で、出現したスキルを、その人に固着させる事が大事みたいです。つまり、後天的に与えられても、それに気づかない事でスキルが発揮される事無く人生を終える、という事もあると研究結果で示されているようですよ」


「へー…。じゃあ、各国が勇者召喚して魔王を討伐してくれるなら、僕は安心して冒険できるって事かな」


「前回、魔王が復活した三百年前は、五つの国が滅び、七つの国が半壊に陥り、ようやく討伐したのは、魔王復活による侵略から十五年後だったそうです。その時、討伐したメンバーが勇者四人にその他、各国が誇る上位スキル持ち二十五名からなるパーティーだったそうですが、生きて戻ったのは、勇者一人と仲間三人だけだったそうです」


「魔王って、そんなに強いの!?」


「魔王もその時代で強さが変わると言われていますが、基本は強いみたいですね」


「……じゃあ、一応、魔王討伐も目標に入れておこうかな。異世界ものラノベの醍醐味の一つだし」


 ユキタカは今後の目標に、魔王討伐を何となく入れるのだった。

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