第24話 再会
ユキタカがダンジョンで偶然出会った冒険者チームの一人は、なんとイリスだった。
「ゴトーさん!」
「イリスさん!」
二人は驚きながらも、その面にはやっと会えた思いから、嬉しさがにじみ溢れていた。
イリスは冒険者達をかき分けて、ユキタカの前に走ってくる。
「探しましたよ、ダンジョンに潜っていたんですね?」
イリスは安堵した様子で、ユキタカの手を取った。
「潜っていたのはちょっと前で、今回はイリスさんがいるかもと思って、再度、壁を壊してやってきました」
ユキタカもイリスが元気そうなので安堵した。
お互い相手の事を心配していたようだ。
「イリス殿、その方がお探しの方ですか? 本当に一人でダンジョンに潜るような人物だったんですね」
イリスと一緒だった冒険者チームのリーダーが、安堵した様子で聞く。
こちらの安堵は、イリスの依頼で一緒にダンジョンに潜ったのはいいが、あまりに魔物が強いうえに、攻略難度が高すぎて引き返したい事を言い出せなかった、という事からくる安堵である。
依頼を果たせたようなので、他の冒険者達もあからさまに安堵し、その場に座り込んでいた。
「みなさん、ありがとうございました。目的が果たせたので、みなさんは引き返して大丈夫ですよ。残りの成功報酬はギルドでお受け取り下さい」
イリスは、笑顔でリーダーに労いの言葉をかける。
「えっ? イリス殿は?」
「私は彼と積もる話もあるので、残ります」
ユキタカが壁を破壊してダンジョンに来た事を理解していたので、イリスは迷う事無く答えた。
「いやいや、ここまで来るのにイリス殿がいなかったら、何度、全滅するかもしれないと脳裏を過った事か! それに、二人だけでは、途中の転移魔方陣が発動しないので戻れませんよ?」
リーダーはイリスや自分のチームを案じ、当然の疑問を口にした。
「こちらは問題ないです。みなさんには私が最短ルートを覚えているので、お教えしますね」
イリスは、すぐにでも、ユキタカと話したかったのか、冒険者達に去ってもらう為、貴重な紙に地図を描いていく。
「そういう事ではなく……、いや、そういう事もありますが……、我らだけでは帰り道で全滅する可能性があるので、同行してほしいのです!」
チームのリーダーは情けないから言いたくなかったが、背に腹は代えられないとばかりに情けない事実をお願いした。
「あっ……」
ユキタカに会えた嬉しさで、気づかずにいたイリスが、ようやくその事実に気づいた。
イリスはユキタカと同行していた間に、かなりレベルを上げ、強くなっていたのであまり気にせず、冒険者チームをサポートしながらここまで来ていた。
だが、彼女のサポート無しでは、彼ら冒険者チームはここまで来れる実力が無かったのである。
「イリスさん、彼の冒険者ランクは?」
「……カッパー級です」
「当時のイリスさんがゴールド級、他の仲間はシルバー級で苦戦していたのに、その下のカッパー級ならもっと大変ですって」
ユキタカは無茶をして潜っていた事を知って呆れた。
「私と合わせて八人もいるので大丈夫かなと……」
イリスは自分が無茶をしていた事に気づくと、恥ずかしくなり、赤面した。
「とりあえず、安全なところまで、彼らに同行しましょう。話はその後で」
ユキタカは、イリスに出会えた嬉しさは抑え込み、冒険者チームをダンジョンから脱出させるべく、同行するのだった。
丸一日をかけて、ユキタカは安全圏に移動できる転移魔方陣前まで冒険者チームに同行し、彼らが魔法陣で移動するまでイリスと二人、見送った。
「ふぅ……。──この転移魔方陣は最低三人いないと移動できないですから、とりあえず、最初に出会ったところまで行きましょう。あそこは僕が壁を破壊していますし」
「ゴトーさん!」
イリスが思わず大きな声を上げる。
「は、はい!?」
ユキタカはその音量に驚き、思わず、声が上ずった。
「あっ……、すみません。私、ゴトーさんに謝らないといけない事があります……」
「はい……」
ユキタカも色々と言いたい事はあった。
しかし、先手を取られた形だったので、先にイリスの話を聞く事にした。
「私の勝手な都合でゴトーさんのお誘いを断ってしまいました。ごめんなさい……」
「いえ、それは仕方がなかった事です。僕もあなたの心の傷に気づかず、一人盛り上がっていたのが恥かしいです……。ごめんなさい」
イリスとユキタカは、お互い謝ると、バツが悪い表情になった。
「「あの!」」
「「……あっ、お先にどうぞ」」
「「いえ、そちらから……」」
「「………………ぷっ!」」
お互いセリフが被ってしまったので、思わず吹き出してしまった。
「ゴトーさん、なんで被せるんですか! あははっ!」
「イリスさんこそ、被せないで下さいよ! はははっ!」
二人は涙が出る程笑う。
そして、しばらく笑うと、二人共穏やかな顔になった。
「「──イリスさん(ゴトーさん)。僕(私)とパーティーを組んでもらえますか?」」
またも、二人のセリフ重なる。
二人は少し驚くのだったが、すぐに笑顔になった。
そして、
「「お願いします!」」
と、また、声を揃えて頭を下げるのだった。
二人が最初に出会ったダンジョンで再会し、そこで数か月越しにようやく正式なパーティーを組み、一緒に冒険を始める事になるのだった。




