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スキル無しゴトーさんは最弱のはずです!~勇者召喚に巻き込まれたモブサラリーマンの異世界冒険記~  作者: 西の果ての ぺろ。@二作品書籍化


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第23話 すれ違い

 長いダンジョン攻略の日々から戻ったユキタカは、国境の街キョウガイで数日を過ごす事にした。


 その間に、ダンジョンで倒した魔物の素材を一部買い取り屋に売ったり、冒険者ギルドに赴いて自分を探していたという女冒険者イリスの行方を尋ねる。


 イリスが自分を探していたのなら、何かあったとしか思えなかったからだ。


 イリスはこの異世界で初めてできた友人だったので、自分を探す理由を知りたかった。


 ダメもとで冒険者ギルドの職員にイリスの行方を聞くと、個人情報なので答えられないと一度は断られたが、ふと思い出したように、ユキタカに身分証開示を求めてきた。


 ユキタカは素直に、身分証を見せる。


「ユキ・ゴトーさん、ご本人と確認しました。伝言を承っております。『行き違いになっている可能性もあるので、一度、トールデイン王国に戻ってから、旅支度を整え次第、また来ますのでお待ちください』との事です」


 職員は引き出しから、その走り書きされた紙をユキタカに渡す。


「……」


 ユキタカは無言で受け取ると考えこんだ。


 日付を確認すると、一か月前の伝言だからだ。


 そこから、もう、イリスはこちらの冒険者ギルドを訪れていないという事になる。


 トールデイン王国に戻ってから、探すのを断念した可能性が高い。


 ユキタカそこまで考えると、職員にお礼に銀貨を一枚渡し、自分も伝言をお願いする。


「『もし、自分が不在の時に訪ねてきたら、僕は戻ってくるのでこの街にいてください』と伝えてください」


「承りました。──会えるといいですね」


 職員は、ユキタカとイリスがお互いを心配している様子が被ったのか、気遣うのだった。



 ユキタカはすぐにトールデイン王国に向かった。


 身分証は『ランス・ファイス』に変更し、マスクで顔も変身して入国する。


 ランス・ファイス(ユキタカ)は、イリスが拠点にしていた国境の街ターバスを目指した。


 ランス・ファイス(ユキタカ)は、最初は気がせっていた為、早足で進んでいたが、いつの間にかそれも駆け足になっていた。


 本人は気づかないまま、短時間でターバスの街に到着してから、ようやく自分が国境からここまで走っていた事に気づいた。


「結構な距離を走ったのに、ほとんど疲れていない……。これってやっぱり、『神器・革靴』のお陰なのかな? なるほど、走ってもほとんど疲れないのか……。歩きだけじゃないのか……」


 ランス・ファイス(ユキタカ)は焦る気持ちだったが、意外な事で冷静に戻った。


 そして、そのまま、冒険者ギルドに直行する。


「ゴールド級冒険者のイリスさんを探しているのですが、何か知りませんか?」


 銀貨を一枚差し出しながら、職員に問う。


 職員は、慣れた様子で銀貨を受け取る。


「イリスさんなら、一か月前に発見した未踏破の『転移ダンジョン』の運営管理権をギルドに売却し、それに伴う全ての権利を放棄したんですよ。驚きますよね? さらに、プラチナ級への昇級打診も断ったばかりか、ギルドからの王都での活動勧誘もあっさり断ってしまいました」


 トールデイン王国国境の街ターバスの冒険者ギルドでは、結構な話題になったらしい。


「え!?」


 ランス・ファイス(ユキタカ)は、自分の誘いを断った理由である『転移ダンジョン』絡みのものを放棄していた事に、驚かずにはいられなかった。


 何か心境の変化があったのだろうが、それは本人にしかわからない。


「ランス・ファイス殿ですね? その後、一度だけこちらを訪ねて来た時に、あなたへの伝言を残されて行きました。『こちらから訪ねるので、あの街でお会いしましょう。お話があります』との事です」


 それが半月前の事だという。


 つまりその後の行方はわからないという事になる。


「……それでは伝言をお願いします。『了解しましたが、伝言がすでに、半月を経過しているので、少しあなたの足跡を追ってから、あの街に戻ります』と」


 ランス・ファイス(ユキタカ)は、すれ違いにならないように職員へお願いした。


「承りました。多分、私の予想だと、ダンジョンに向かったのだと思いますよ」


「え?」


「半月前、うちに『転移ダンジョン』に潜る予定がある冒険者を、紹介してくれるよう他の職員にお願いしていましたから。その時は、何かを依頼するのかなと思ったんですが、その後、街で旅支度しているのを目撃したので、あれ? って思ったんですよ」


 職員は、貴重な情報教えてくれた。


 ランス・ファイス(ユキタカ)は渋い声でその職員に感謝すると、銀貨をさらに二枚追加して渡す。


 そして、冒険者ギルドをあとにし、『転移ダンジョン』に向かうのだった。



 ユキタカは冒険者ではないので、『転移ダンジョン』の出入り口ではなく、地底の方から再潜入する事にした。


 いつものように崖から飛び降り、地底に近づいたところで『神器・傘』を開いて落下速度を落とす。


 そして、静かに地底に着地すると、あの巣穴まで向かった。


 ユキタカは、巣穴の奥でむき出しのダンジョンの壁を『神器・傘』で破壊し、内部に侵入する。


 しばらくユキタカは、壁を破壊した階層を探す事にした。


 イリスはきっと、自分が行った事のある場所を探していると思ったからだ。


 それを考えるとこれ以上すれ違いになるのも困ると思ったので、あまり動き過ぎないようにしたのである。


 すると、ダンジョン内に設置してある転移魔方陣に、冒険者と思われる八名ほどのグループが現れた。


 すでにボロボロ姿だったから、かなり無理をしているように見える。


 その一番後ろで元気そうな金色の長い髪の女性治癒士がいた。


 一人だけ浮いた存在なので、ユキタカの視線がすぐそちらに向く。


 あちらも、転移先にすでに人がいるので、ユキタカに視線を向けた。


「「あっ!」」


 ユキタカと相手の女性治癒士は、思わず声を上げるのだった。

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