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転生したらRPGにすら出てこないグロ生物に生まれちゃった子のお話  作者: 倉石 雨


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88.泥沼化

ツィタ視点

場所:リヴォルツィオーネ共和国北東部

「ノイエ帝国より、第7師団前進の報が」

伝令兵からそんな言葉が出てくる。

現在共和国軍の状況は最悪の一言で言い表せる。

リヴォルツィオーネ半島北東部は完全に喪失。

敵南方軍及び第6軍はこちらのミスを一切見逃さず適切な攻撃を仕掛けてくる化け物で、しかも防御線が幾ら突破されようとドクトリンを改変しようとしない。

自分の戦略こそ最適解だと言わんばかりに全く同じ方法でこちらを攻め立てて来ている。

だからこそ、純粋にその戦略に負けることしかできない共和国軍にとってはタチが悪い。

「現状の戦力では次の攻撃で恐らく、ノイエ帝国と分断されます」

私たち第2軍が何とか死守している北東部もおそらく今回の攻撃で失陥すると思われる。

であるにも関わらず、ノイエ帝国は優勢らしい。

我が軍はそんなに弱かったのだろうか?

「…敵主力の拘束を企図した大規模攻勢作戦を準備しよう」

ウバルト大将がそんな風にふざけたことを言う。

「閣下。南方軍を拘束したところで意味がありません」

南方で戦うからこその南方軍だし。

「ああ、分かっておるさ…私が言っている"主力"は第6軍のことだ」

「ですが閣下、この歩兵塹壕戦の時代に騎兵などを主体としている軍を拘束したとて何にもならないではありませんか」

「いや…たかが騎兵…なんてことはない。奴らはあの国の中核戦力だ」

ウバルト大将は鋭くそう言う。

何か確信を得ているような顔。

「何故そのように…?」

私はそう聞く。

「競技戦争初期に関する報告を読んだ。なんと三国会戦の勝因は騎兵らしいじゃないか」

「"ルーサル軍を相手にオストヘルム帝国第一軍が正面戦闘を仕掛け、少数のフーロイ=ゼン統一王国騎兵部隊が側面から司令部を攻撃し、その後、後方からルーサル軍を攻撃し勝利した"らしいですね」

私は一応戦後の報告書でそのことを読んだ。

「そうだ。言い換えれば"フーロイ=ゼン統一王国にとっては騎兵さえあればオストヘルム帝国軍のような旧時代の産物すら1つの軍として真面目に活用できる"という訳だ」

「つまり、敵軍の異常な強さはそこが根幹だと?」

「そう考えれば共和国軍の劣勢とノイエ帝国軍の優勢にも理由が付く。敵には"第2の第6軍"が無いんじゃないのか?」

やっとウバルト大将の考えが理解できた。

「なるほど。ということは第6軍はこちらで拘束しない限り、あちらに転身してノイエ帝国軍第7師団を攻撃、壊滅させるということですか」

「その通り。そうなるとこちらは劣勢となる」

理由は理解できた…けど

「ですが閣下、統帥の方針はあくまで領土拡大です。"他国のために動く"なんて統帥は許さないのでは?」

と、話している最中にまた伝令が飛んでくる。今度はさっきの者より階級が高い。

「閣下へ、最優先であります」

つまり統帥の指令?

「読み上げてくれ」

「リヴォルツィオーネ全軍に告ぐ。フーロイ=ゼン()()と白紙講和を行ったため、速やかに停戦を行い、領土回復のための前進を開始すること」

突然過ぎることに私と大将は絶句した。

伝令は大将に紙を渡した後、敬礼をして去って行く。

「くッ…」

私が出せた声はその程度だった。

果てしない悔しさと、同じくらいの安心。

それがあることに自己嫌悪した。

「ッ…停戦だ」

ウバルト大将も屈辱を噛み締めるかのようにそう言葉を吐き、重い腰を上げた。


『南部大勝利。共和国との白紙和平成立』

『残るはノイエ帝国。ついに終戦か』

いつも通り統一王国新聞に目を通す。

報道統制の効果は絶大らしい。

「さて、さっさとこの戦争を終わらせよう」

宰相はにやりと笑い、静かに席を立った。

次回、殲滅戦

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