84.再び東部戦線へ①
場所:ノイエ帝国東部地域
「魔法の使い方は心得てる?」
ノアと同じ馬車に乗って揺られていると、そうノアは聞いてきた。
「医療魔法なら」
前線では使わなかったが、一応士官学校の同期の中では1番得意ではある。
「うーん…貴女の脳ならそれ、上手く転用できない?」
「できるよ」
「じゃあ試しにやってみて」
そう言ってノアがパンパンと手を2回叩くと、馬車が止まり、扉が開いた。
そこには人形が一体。
これに向けて撃てということだろうか。
「……『ヴェン・クダスタート』」
脳内で理想の形を思い浮かべながら、そう呟く。
すると人形の皮がぶくぶくと動き始めた。
上手くいってるみたい
「今、何をやったの?」
「元に戻すための治療魔法と、残された銃弾を摘出するための内部修繕魔法を混ぜて、中身をぐちゃぐちゃにする魔法を作った」
私の言葉にノアはクヒッと笑った。
「素晴らしいね。じゃあ人でやってみよっか?」
ノアがパチッと指を鳴らすと今度は人が出てきた。
「これ死刑囚だから、これが死んだところで誰も気にしないよ」
「やっていいの?」
「もちろん」
そうノアが言うので、『ヴェン・クダスタート』を唱えた。
するとたちまち死刑囚が呻き出し、倒れ、のたうち回って穴という穴から固形の混じった体液を撒き散らし始めた。
…これで外面は変えずに殺せる。
「クヒッ…素晴らしいね、ほんとに。早く戦場で活躍を見たいね」
ノアはニタニタと笑いながらそう言った。
「じゃじゃーん!ここが旅団駐屯地になりまーす」
そうノアが言い両手で示した方向を見ると、大きな屋敷があった。
「50人用に前もって用意してたの。やーっと使えるね」
「ここが貴女の部屋ね」
示された部屋の中に入ると、そこには1人の従者の女がいた。
「あ、好きにしていいからそれ。プレゼントだよ」
そう言ってノアは去っていった。
「今日からエヴァお嬢様にお仕えすることとなりました。パウラです。よろしくお願いします」
従者はそう言い私にお辞儀をする。
その顔に何となく見覚えがある。
「もしかしてアドゥルフの妹?」
「あ……え?はい。私の兄はアドゥルフと言います」
「ふーん?面白いじゃん」
生かしておこ。
…そういえばアドゥルフのいる第7師団は今どうなっているのだろう。
次回、続き




