第003話 まだ旅立ちの朝
テンポよく書くのって難しいんですね。
本当は001話で旅立って、002話では村を出ている予定だったのですが・・・。
1話あたりの文字数が少ないのが原因なのでしょうが、初めての投稿。
サラサラと文章を書く力が全く無い事を知りました。
アスースが自分の家に帰ってから一時間程して、再びラシェードの家に戻ってきた。
「お待たせ~。」
部屋の中ではラシェードとエルウッド、ソフィの三人がテーブルを囲んでいる。朝食は既に済んだようで綺麗に片付けられており、それぞれの前にティーカップが置かれていた。
「あれ? 俺の朝食は?」
「今は我慢しろ。大体お前は昨日からお客さんをどれだけ待たせていると思っておるのじゃ。挙句、昨日の粗相・・・ いや、まあ今はまずお互いを紹介せんとな。」
朝食を気にするアスースを素っ気なくあしらい、本来ならば昨日のうちにするはずだった自己紹介を促すラシェード。
「では私から・・・」
そう言ってまずはソフィが自己紹介を始める。
「エルウッドさんには昨晩軽くご挨拶しましたが、今回ラシェードさんからの依頼で派遣されて参りました。アーキビストのソフィと申します。今日からお二人の旅に同行させて頂き、新たな物語を綴ります。」
「「えっ!?」」
アスースとエルウッドの驚いた声がハモる。
「アーキビストって・・ あの?」
アスースが聞き返す。
「あのというのはどのことか分かりませんが、私はアーキビストです。」
ソフィはアスースと目を合わすこともなく、冷たく返事をする。しかし、驚きのあまりそんなソフィの態度にも気付かず更に質問を重ねる。
「あのってのはあれだよ、冒険者とかに付いて行く?」
「そうです。この国の初代国王、ハノーヴァ様がお作りになった職業で、アーキビストによって数々の物語が世に出されました。冒険者の物語で有名なものといえば、常勝ギアラや不屈のバッキー、女性としては亡国のリシェルなどでしょうか。」
「おぉ~、知ってる! エルも知ってるよな?」
イデカの王国民なら一度は見た・聞いたことのある物語の名前が出て、少し興奮気味のアスース。エルも憧れの表情を浮かべてソフィを見ている。
「知ってるよ! バッキーの物語は大好きで何度も読んだし、彼の過酷な道のりを最後まで共に歩んだアーキビストもすっごい尊敬してるもん! ソフィさんってアーキビストだったんですね。昨日は父さんから詳細は明日ということであまりお話せずに寝てしまいましたが・・・ もっとお話を聞いておけば良かった。」
憧れの表情から一転、悔しそうなエルウッドにソフィが笑みを浮かべて答える。
「大丈夫ですよエルウッドさん。これからしばらくはご一緒するわけですから、よろしければ何でも聞いてください。」
アスースとエルウッド、ソフィの対応には明らかな差があるが、この場でそれに気付いているのはソフィ本人とラシェードのみのようだ。
「二人とも少し落ち着け。自己紹介から話がそれ過ぎじゃ。エルは昨日軽くしておるし、後は追々しておけば良いじゃろ。アスース、お前は自己紹介とその前に・・・ 分かっておるな?」
幸先の悪そうな状況に思わずため息をついてしまいそうだが、グッと我慢して話を戻すラシェード。
「あ、あぁ、そうだな。え~と、昨日はその・・ すまなかった! 俺はアスースだ。エルとは幼馴染でこの村「アスースさんですね。これからよろしくお願いします。昨日の事はお気になさらずに。元はといえばこちらのせいですし。こちらこそ申し訳ございませんでした。」
アスースの話を遮った、全くよろしくする気を感じないソフィの挨拶と誠意を感じない謝罪。
「お、おぅ・・・」
アスースも気圧されて、なんとか返事をするのが精一杯だった。
「はぁ・・・ まあ、自己紹介も終わった様じゃし、三人にはなぜワシが、というより村の皆がアーキビストを呼んだか、依頼の詳細説明をさせてもらおう。」
結局ため息を我慢できなかったラシェードが、淡々と依頼の詳細を語りだす。
ナナイ村は村民が50人にも満たない小さな村であり、若者はアスースとエルウッドの二人しか居ないこと。二人の年齢はアスースが21才、エルウッドが23才であり、次いで若い者でも40代であること。村としては貴重な働き手であるが、通常であればとっくに結婚をして子を成していてる年齢。これ以上村の都合だけでここに引き止めるよりは、二人の幸せを願って送り出した方が良いだろうという結論になったこと。
だが、村の皆にとって二人は子であり、孫であり、送り出すのが寂しくてたまらないのでせめて二人の近況が分かるようにアーキビストに依頼を出したこと。依頼期間は二人が村を出る今日から、目的地である王都に着いてから1年間、その後は二人の状況により依頼延長の有無を決めること。
詳細を一気に伝え、ティーカップに口を付けるラシェード。そして立ち上がり、ソフィに向けて深々と頭を下げる。
「ソフィさん、よろしくお願い申し上げる。」
ソフィも立ち上がり頭を下げた。
「承知致しました。村の皆様の気持ちもよく分かります。微力ではございますが、このお二人が少しでも早く名を馳せるよう私も尽力致します。」
「あ、それはないじゃろ。」
「え?」
先程の雰囲気と打って変わってあまりにも軽いラシェードの返答に、思わず間の抜けた声を出すソフィ。
「いや、確かに冒険者として王都に着いてから1年で結果を出すのは難しいかもしれませんが、お二人の冒険は始まっておりませんし即答で否定しなくても・・・ 私も精一杯やらせて頂きます。」
「あぁ、いやそういうことではないのじゃ。ワシの説明不足じゃな。二人は冒険者になるのではない。」
「おう、おっちゃんは一言も俺たちが冒険者になるなんて言ってないぜ。」
「いやでもこれは仕方がないよアスース。だってアーキビストを雇うのはほとんど冒険者達だもん。あとは貴族とか稀に商人とか?」
エルウッドが言うように、アーキビストを雇うのはほとんどが冒険者だ。
「そ、それではお二人は一体何をするおつもりでしょうか?」
ラシェードから話を聞いて、てっきり二人が冒険者になるものとばかり思っていたソフィは、予想外の展開に少々混乱している。
「この二人はじゃな、王都で兵士になるんじゃ。この平和な王国で兵士をするなら命の心配はそう無いじゃろうし、お堅い職業ゆえ嫁探しにも苦労せんじゃろうからな。王都の兵士には知り合いが居おって、なんとか二人を雇って貰えるように話を通しておる。王都に着いてから1年というのは確かに結果を判断する為の区切りじゃが、それは名を馳せるかどうかじゃなく嫁探しが順調かどうかじゃよ。」
「ちょっと父さん! それなんか監視されてるみたいでヤだよ!!」
「そうだぜおっちゃん! しかもそれが書になって出回るんだろう!? 晒し者じゃないか!!」
ラシェード、いや、村人の真意を知って騒ぎ出すアスースとエルウッド。
「わっはっは! 心配せんでもお主らの上京嫁探しの物語なんてワシら以外誰も見んじゃろ!」
「そのワシらってのが見られたくない相手筆頭だってことに気付けよ!! エル、お前の親父なんだからお前が責任もって止めろよ!!」
「えぇ! 僕の責任なの!? それはおかしくない!!?」
一気に騒がしくなったその横で、ソフィが力なく椅子に座り込む。
「えぇー・・ そんなものを書くために私は呼ばれたの・・・」
空しく響くその声は、誰にも届いていなかった。
祝! PV100突破
UUは41人です。内二人は携帯からアクセスした私とパソコンからアクセスした私なのでしょう。
初めはそんなもんだろうなと思いつつ、3話目とかでレビューとか付いている作品をみると凄いなぁと思います。




