第002話 旅立ちの朝
うぅ~ん、頭痛ぁ~い・・・
二日酔いでこんなに頭痛くなる? ってレベルで頭が痛い。
それにかなり肌寒い。瞼に光を感じるのでもう夜は明けてるようだ。
つーか、地面固い。これ、もう目を開けなくても分かる。外だ。なんで俺は外で寝てるんだ・・・?
うっすらと昨晩の記憶が甦ってくる。エルの家に着いて、お客さん、ソフィっていったっけ? そいつに掌底かまされて・・・
かまされて・・・ それで
あぁ、やらかしちゃったなぁ。
女の人の顔にゲロ吐くって最低じゃん俺・・・
「うぅ~ん!」
寝転がったまま伸びをして、眉間に皺を寄せつつ片目を開ける。
眩しっ!
あぁ、太陽が眩しいなぁ。
二日酔いで頭も痛いし起き上がりたくないが、今の時期の朝はまだ肌寒く、このままでは風邪をひきそうなので無理やり体を起こす。
新鮮な朝の空気を大きく吸い込み・・
「臭っ!? 何これくっさぁーー!!」
ゲロの臭いがすることに驚くが、原因は直ぐに判明する。服が昨日のままだ。つまりは胸元から足元まで、至る所にゲロが飛び散っている。
テンション下がるな・・・
ソフィの顔にゲロ吐いた後の記憶が無いが、大方あまりに汚い状態の俺をラシェードが俺を外に放り出したのだろう。
「はぁ~・・・」
ため息をつきながら目線を上げると、目の前はエルの家だ。いくら田舎で治安が良いっていっても扱い雑すぎんだろ・・・ とりあえず体を拭きたいし、何か飲み物が欲しい。エルの家にでも上がらせてもらうか・・・
ノソノソと玄関まで進みドアを開けると、中ではラシェードとエル、ソフィの3人が朝食をとっていた。
「おはよ~、邪魔するよ。」
軽く挨拶をしつつ、家の中に入る。小さな村だ。他所の家でも半分自分の家のような気軽さで入っていける。
まぁ、普段ならばということだが。
今日はちょっと空気が変だ。
ソフィが居るからちょっと気まずい。なんつーか、まず謝らなきゃな・・・
そう思い、ソフィに向き直ったところでラシェードが立ち上がる。
「臭い。出ていけ。」
「お、おぅ。」
ラシェードが静かに怒ってる。うん、ああいう怒り方してる時はだいたいガチだ。逆らわない方が良い。
俺は素直に回れ右して家を出る。そして玄関で振り返りエルにお願いをする。
「エル、悪いが桶に水入れて持ってきてくれないか? それとタオルも頼むわ。」
「うん、ちょっと待っ「図々しいわ!!」
エルの返事に被せてラシェードの怒声が響く。
「家が近いのじゃから自分の家で着替えて来んか! 全く! お主にはもう一度拳骨をくれてやろう!」
腕まくりをしつつこちらに向かってくるラシェード。年は50を超えるが、大柄な体格で老いを感じさせない肉付きだ。そんなのがのっしのっしと向かってくる様は中々恐ろしい。
ん? もう一度?
なるほど、頭痛の原因は二日酔いだけじゃなかったのか。気になって頭を触ると、デカいタンコブが出来ていた。こりゃもう一度くらうのは勘弁願いたい。
「よっしゃ! 家帰ってくる!」
俺は逃げるように、というか逃げるためにその場を離れた。
背後からラシェードの声が掛かる。
「そのまま出発の準備をしてウチに来い! なるべく早く来るのじゃぞ!」
「わかったよ! その代わり朝飯用意しといてくれよ!」
「まったく、仕方のないやつじゃ・・・ というわけでソフィさん、後でアスースが来たら今度こそ紹介させて頂こう。」
「はい。」
ソフィはにこやかな笑みで答える。
「昨日からもう何度謝ったかはわからんが、本当に申し訳ない・・・」
「いえいえ、ラシェードさんは何も悪くありませんから。」
恐縮するラシェードに、彼の心労を察っして柔らかい対応をするソフィ。だが誰も気づかなかった。
ソフィが小さく「ラシェードさんはね・・」と付け加えたことを




