↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪族  作者: ゴルゴンゾーラ三国


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/48

10

 脱衣所に風呂、両親の寝室に子供部屋。全部確認したが、どこもリビングと変わりない。

 埃まみれで、誰かが使っている、あるいは生活している痕跡は一切ない。随分と昔に時を止めた部屋。


 そして、両親の姿はどこにもない。

 誰もいない。


 これが、十年前に気が付いたらどれだけ良かっただろうか。

 それはそれで、ある意味大変だったかもしれないが、少なくとも、得体のしれないものへの恐怖を感じなくて済んだ。


「二階――二階。そうだ、二階にいるんだよ」


 僕はまだ諦めきれず、そんなことをつぶやく。力が入らない足を無理やりに動かして、僕は階段を上る。


 そして、見てしまった。


 ――僕の部屋の前、ドアのすぐ横に、夕食が置かれている。


「――ッ!」


 僕は思わず、声を上げそうになって、慌てて両手で口をふさぐ。今、悲鳴を上げたら。あの日、階段下へと、料理にハエがたかっていると声を投げかけた直後のように、何かが階段を駆け上がってくるかもしれない。そんな考えが頭をよぎり、咄嗟だった。


 限界だ。

 僕はその料理を無視して、自室へと入る。


 部屋に入って、手あたり次第、棚を扉の前へと寄せた。扉を全部隠せるくらいの大きな棚があればよかったが、あいにく、僕の部屋にはカラーボックスくらいしかない。

 しかし、不幸中の幸いか、高さ的にちょうどよく、ドアノブの下に入り、外から開けようとしても棚が引っ掛かって、下がり切らないだろう。蹴破られたら終わりだが、少なくとも、普通に入ってくることはできないはず。


 僕は、そのままベッドへともぐりこみ、頭から布団をかぶる。

 もう、日が暮れる。一階を探索し始めた頃はまだ太陽があったが、それも沈み始めている。小学生の下校時間って、こんなに遅かったか。

 暗い中、二階を探索する勇気はない。僕の自室以外に、水回りしかなくても。


 僕は枕元にあったスマホと、目覚まし時計を布団の中に引き込んだ。スマホは外と連絡する用で、目覚まし時計は何かあったとき、投げつけるために。

 僕の部屋には、何かを殴るような、長さと重さを兼ね備えたものはない。高校時代は野球部だったけれど、熱心な野球少年でもなかったので、自分のバットはないし、掃除機をかけることもないので、それもない。


 小学生の頃買ってもらった目覚まし時計は、絵に描いたような目覚まし時計、というデザインのもの。ダメージを与えられるとは思えないが、少なくとも、今、布団の中から手が届くもので、一番投げやすそうなのだ。


 何かあれば、投げてやる。

 そう、布団の中で、目覚まし時計を強く持っていると――。


 ――コンコンコン。


 三度、扉の下の方からノックが聞こえてきた。カラーボックスを扉の前に置いているからか、音は少しくぐもっている。

 その音は、まるで、先ほどは僕が部屋にいなかったことを知っているかのように、部屋の前に夕食を置いたことを伝えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。