アンドロイド④
「動いて……お願い……」
俯くとポタリと涙が奏多の頬に零れ落ちた。
その涙はすぐに滲んで頬を伝い流れていく。
「あ……んり……」
突然私の名を呼ぶ甘い声にハッとなり顔を上げると、茶色い瞳がこちらを見つめ
「どうした……の?」
何事も無かったかのように奏多は私に質問をしてきた。
必死になっていた私の願いが通じたのか、いつの間にか止んでいた雨雲の切れ間から太陽は顔を出し、奏多の瞳を照らし輝かせていたのだ。
「良かった……何でも……無いの」
私はそんな彼の姿を見て、さらに涙が溢れた。
「杏里……また瞳から水が出てる」
「ふふっ、水じゃないよ? これは涙っていうの」
「涙……?」
「そう、涙」
「どうして涙が出ているの?」
「それは……内緒」
「内緒……? じゃあ直接聞くよ」
「え……?」
奏多はゆっくりと上半身を起こすと私を抱き寄せ、また唇を重ねてきた。
「ん……」
痺れるようにピリピリと電流のような物が頭の中に伝わる。
心地よくてたまらない感情と、胸がギュッと締め付けられる感覚が入り交じり、怖くなった私は必死に奏多にしがみつく。
そんな私の身体をさらにきつく抱き締めた奏多が、勢い余って床に私を押し倒した。
だけど重なった私たちの唇は離れることは無い。
求める唇が勢いを増していき、気が付けば痺れるような感覚は快感になっていった。
「はぁ……」
しばらくして離れた唇から彼の吐息の様なものが溢れた。
そして私の顔を見つめた奏多は、私の頬をそっと撫で
「杏里は僕のことをこんなにも必要としてくれてたんだね? そしてこれは、一体何? 今とても胸が苦しい……何故?」
そんな質問をしてきた。
「分からない……だけど奏多……あなたを見ていると幸せなの。そして時々こうして胸がギュッと苦しくなる……
何故なのかな…?」
「杏里……とても苦しい。そして君が大切で仕方がない」
私の頬に温かい物が当たり、私の頬を濡らし滑り落ちた。
「奏多……私も同じ気持ちよ?」
奏多の瞳からは涙がどんどん溢れ、ポタポタと私の頬を濡らしては流れていく。
「杏里」
「奏多」
私たちはお互いの名を呼び合い、また唇を重ねた。
太陽の光は優しく私たちを包み込む。
奏多の美しい顔を見つめていた私は、痺れるような快感とうっとりとした気持ちに溺れてしまい抜け出せなくなった。




