謀反失敗
悪魔の泣き声
⻆谷 春那
謀反失敗
女は今、非情に悩んでいた。何に?簡単な話である。アイディアが、思い浮かばないのである。何の?まぁ、語る事が難しい。簡単に言うと、仕事のアイディアである。何人かで集まっているのだが、他の者も、同じようであった。これが、ラストチャンス―最終の会議だと言うのに。
詳細は省くが女は職場で、ある程度の力を認められていた。仕事の「力」とは、様々な側面があり―つまり、一概に
「この値が高ければ優秀」
と言える、客観的・絶対的基準が存在しないのが、現実である。しかし、誰が見ても「優秀である」と、認めざるを得ない人物と言う者も、世の中にはいる。きっと、職場の全員が彼ら彼女らに助けられており―その人物が居なければ仕事が回らないと、周りに周知されているような者なのだろう。しかし、本来ならば。仕事とは、そういうものなのではないか?その者が特異であるか、得意な事を任せる。そして、その代わりに対価を支払う。しかし、現在はどうだ?確かに、後進の育成は大切だ。しかし、それ以前の話がある。組織―つまり雇用主は、金銭を支払う契約を結んでいる。金銭を支払う―つまり、金銭を下賜するという事は、組織が自由に使えたはずの金銭が、場合によれば無駄に、無能に支払われている。その金銭は本来、さらなる成長に使えたはずなのに。
何が言いたいのか?さぁ。少なくとも、筆者には分からない。しかし、この優秀な女は、常日頃からそのような事を思案していた。この女の中では、それがこの世の唯一の真理であり、自身の義務だったのだろう。
さて、筆者は冒頭に、「女や周りの者がアイディアを思い浮かべられず、困っている」事を書いた。何のためのアイディアか。先程はぼかしたが、今度こそ。お答えしよう。
「謀反」だ。無論、この女はそうは考えていない。「正しい状況に戻す」とでも、考えている。
革命は、後世では素晴らしい事のように書かれている。が、それは成功し、世が変わっただ。失敗していたのなら、その行為は、ただの重罪になっていただろう。しかしそれは、当人達にとっては、代えがたい正義なのだ。よって彼女にとって、これは正義である。
優柔不断で、頼りない上司・トップ。そして、優秀で比較的若い、自身。
女は、こう考えていた。
〈決めた。自分のような優秀な構成員もいるが、そうでない構成員―あの優男は切り捨てられない、膿―もいる。それを、請け負うつもりはない。優秀な構成員だけを引き抜き、あとは置いて行こう。そうすればきっと、泥船に残るのは、愚か者だけ。じきに、沈むだろう。しかし、自分には知った事ではない。全て、上が悪いのだ。古さに執着しすぎて、前を見れない愚者。〉
〈しかし、恨みを買い過ぎてしまうだろう。そうしたら、成長の妨げとなってしまう。華々しいスタートを切りたい。どうしたものか。〉
そう思案していた、矢先である。若い者達が、騒ぐ。何やら、異音がすると言うのだ。しかし、女には聞こえない。モスキート音のようなものだろうか?しかし、そんな「キー」では、無いのだと言う。何やら、不気味なメロディである。どういう訳か。
結局、異音の正体は掴めぬまま、その日は解散となった。あまり長い時間、しかも業務外時間に集まっていると、怪しまれてしまうからだ。
結局、決まったのか。良いアイディアは、誰も思いつかなかった。なので、前の会議で決まった方針を続投する。あまり結果は芳しくない方法であるが、それ以外に手は無いのだ。「決行日までに、出来る限り多くの人間を味方につける」と言う曖昧な方針であるが、しょうがない。
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しかし女は、愕然とした。戻った瞬間、上層ブに呼び出されたのだ。しかし、こうカんがえる。〈まさか、もうバレたのか。だが、もうシ方がない。ここで終わるくらいなら。作戦を決行しよう。ほとンど、準備は出来ている。現在は、「どうやったら被害が少なく、無傷に乗っ取りが出来るか」と言うダん階。少し狂うが、マぁ、問題ないだろう。それに。この組織にもう希ボうはない。既に多くの人間―有力で、優秀な人間が味方に付いた。向こうの味方は、ロう人ばかり。いける。勝てる。〉そシて部下に連絡を入れてから、進んだのだ。
案外。本当に拍子抜けする程スムーズに、乗っ取りは終わった。
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まだ、ぼかしたままな事がある。女の「力」である。まぁ、物理的なものである。この業務には、必要不可欠である。女という事で、油断する者も多い。彼女はその「力」と「決断力」で、ここまで成り上がって来た。
しかし、そんな彼女にも、上が居る。彼女の上役は、一体どんな力で、成り上がって来たのだろうか?
彼女は少し、思慮が足りなかった。そして、過信していた。
あまり賛同する者は、少なかった。数で見れば確かに多いが、割合で見ると…。「少数精鋭」と言うが、向こうにはさらに優れた者達も多くいよう。
こうは考えなかったのだろうか?「最後の会合まで、泳がされていた。」と。
異音の出所が分かれば、こうはならなかったのだろうか?いや、それ以前の話だろう。彼女は確かに幹部だったが、「アレ」の存在は知らされていなかった。信用されていなかったのだろうか?まぁ、そうだろう。まぁ彼女の性格―我儘で、思い込みが強く、理想主義者―を考えれば、仕方がない事だ。
謀反は、失敗した。これは、彼女の幻だ。死ぬ間際に見れたのだから、良かったのだろうか?




