心霊事件の裏側
悪魔の讒言
⻆谷 春那
心霊事件の裏側
「・・・先輩、待ってください!!」
「チッ。おせえな。」
「ひぇ。」
「やめろ、貴重な新人だ。潰すな。」
「どうせやめるだろ、あんなヒョロ。っーか、やめた方が良い。」
「おい、やめろって。貴重な志願者なんだぞ?それとも、お前が補填を連れて来れるのか?無理だろ。」
「す、すみません…」
「全く、新人に少しは気を遣ってやれよ。これが初任務なんだぞ?」
「・・・じゃ、説明するのか?私が?」
「いや、私がする。」
「こ、この先に。何が待っているんですか?」
「・・・初任務の難易度じゃ無いだろ?何だ?そんだけのダークホースなのか?その割には、体力が無さすぎるだろ。夜道で刺されて死んじまうぞ、こんなんじゃ。」
「う、うぅ。」
「・・・まぁ、そこまでの心配は要らないから。只の、回収任務だろう?」
「『回収』って、何をですか?」
「今回は旧型だからな。まぁ、危険性は少ないっちゃ少ないが…」
「今回のは恐らく、旧型。眠っている最中にしか【干渉】の仕様が無いとはいえ、既に犠牲者も出している。とても悪質なものだ。誰が設置したのかは分からないが、確実に人為的要素が絡んでいるだろう。注意するに越したことはない。」
「『犠牲者』?!」
「事前情報の通り、猟奇的殺人事件を引き起こしている。しかも、あまりの突拍子の無さに、世間では『呪われた村』、『同じ時刻にいくと、殺人鬼と被害者の霊が出る』とか…まぁ、変な噂がもう、十二分に広がってしまっている。・・・まぁ、詳細は着いてからで良いだろう。・・・別に、そこまで緊張しなくても良い。」
「は…?」
「は、はい。ありがとうございます。」
―――――――――――――――
「よし、一応。二手に分かれよう。新人は、私が連れて行く。良いだろう?」
「ま、異論はねぇよ。・・・って、おい。何処行くんだよ?」
「研修もしなければいけないんだ。定時に帰れるように、いつも以上に早め早めに行動しなければならないだろう?」
「ず、ずみまぜん…」
「別に、新人はそこまで気にしなくて良い。」
「・・・寧ろ、もっと気にした方が良くないか?」
―――――――――――――――
「旧型って、何のですか?」
「『脳波同調装置』―通称、『洗脳周波装置』の旧型だ。今の、俗に言う『現行型』と違って、開発当初の、本当に当初の。コマーシャルと言うか、販促的効果や、政治的効果を目的に開発されたらしい。それがここまで悪用・発展されて、あぁなってる訳だ。正に、人類の負の遺産の歴史のテンプレだな。ダイナマイトより、不純すぎるな。最初から。」
「『現行版』は今。と言うか、『最新型』は何処まで進歩しているんですか?」
「まぁ、『現行版』は命令に従わせたり、嘘を信じ込ませる程度に留まっているが…最新版となると、さらに凶悪になっているだろうな。と言っても、我々はまだ確認できていない。『開発されている』とは、確実に言えない。・・・だけど、私の経験談になってしまうが。確実に、ある。きっと。」
「『旧型』の強みは?」
「やはり、『強い』ところだろう。眠っている間にしか脳波調整出来ないがね。その分、確実に行動を制御できる。しかし、途中で修正も出来ないとは言え、既にキャンセル周波も確立されてしまっている。それに、周波数が知られ過ぎてしまっているからね。すぐに見つけられ、る…ほ、ら。」
「この事件は、どのような経緯と、推察されている?」
「恐らく、これで殺害・自害を命じられたのだろうね。しかし、目撃者が少ないから。難しいね。この周波を分析すれば、分かるんじゃないのかな?」
「先輩。」
「ん?」
「持ってみて、良いですか?」
「え、まぁ。寝なければ安全だし…はい。落とすn」
「おい。」
声のした方を向くと、バディと。その隣に、見知らぬ男が立っていた。
「どうした?それに、彼は?」
「・・・そんな事より、お前。今、誰と話していたんだ?」
「え?」
バディが、ゆっくり近づいてくる。思わず、後ずさりする。何故かは知らないが、反射的に。
バディが、一気に走り出す。何か、おかしな感覚がする。ベットの中で、落ちるような感覚を味わうような。黴臭い部屋の空気を、肺いっぱいに溜め込むような。心臓が強く収縮して、その後一気に血液が出されるような。
その後の事は、あまりよく覚えていない。罵声を浴びせられた事は、覚えている。何日か、暇を貰った。若干、半強制的に。あの、ヘリウムガスの味のような、油のプールの中に浮いているような。そんなおかしな心地が、今も続くようだ。
バディには、感謝しているが、何とも納得が出来ない。もう、何も信じられなくなりそうだ。誰か、助けて。




