ベルフェゴールという悪魔 バカ殿宮本武蔵
その様子を別室から監視していたのはベルフェゴールという便座に座った女の悪魔だった。
魔人たちから糞便を献上されそれをながし、かてとしていた、便所の神のような悪魔である。
『あのゴリラ、ふざけやがってわたし以外のおんなにあんなにめろめろになりやがってゆるせんわー千倍ゆるせんわー!』
『あっユキちゃーんごめんねぇ、こっちの話しちょっとむかつくことがあってねぇ』
ベルフェゴールは宮本に惚れ込んでいたがなかなか便座からうごけず、連絡もとれないので個室でゲーミングノートpcを有線でつないで貸しきりのレンタルオフィスのようにして過ごしていたのだ。
そのおり、ネットで知り合ったyukiという腐女子のつのばやし特戦闘隊員とvcをしていた。
女同士意気投合しはなしてるうちに、ゆうきとアイリがきていることにはユキもベルフェゴールも気づいていない状態から、あれもしかしてこいつらyukiのしりあいじゃない?となっているのが現状だ。
『でねーわたしのゴリラが牝猫にうばわれそうなのよ!?』
『泥棒猫ね~どこにでもいるわーほんとさいてー』
ベルフェゴールのみためは32歳くらいの美人派遣OLのようなみためでリクルートスーツをはいてパンティーラインがうかんでいるスケベである。
それを理解してうかばせているのである。
会話はまるで婚期を逃しそうな女たちの通話だった。
『くそっあのごりらまたっ』
『どうしたのー?かんししてるの?』
『監視カメラにうってんのよあのゴリラ』
『ぷぷぷ。しっとかなぁー?そんな好みなの?』
ベルフェゴールは髪を弄りながら便座のヒーターをonにしていった。
『めらめら燃えてるわよ便座の嫉妬心がね』
『なにそれー?便座のなに?』
『ジェラシーよjealousy』
『くさっ』
『くさっってんのはあんたの頭でしょ』
『はぁーん?わたしが萌えるのは綺麗なBLだけだから!!!ゴブリン×ドワーフみたいなのはむりだから!東京タワーとエッフェル塔っていうしゅっとしたかんじの男子ならいいわ』
ベルフェゴールがわけわかんないわ、あんたきまってんじゃないの?ときくとyukiは真顔で答えた。
『Natural highじゃい!天然に決まっとるやろが!』
『天然にキメてんのね』
『やっかましぃわ!もういい!ゴリラの世話でもしてたら!』
鉛筆のうしろをガジガジとかむユキはvcをきった。また時間がたったらかけ直そうとおもって。
『あれきれちゃったわ、まぁいいあのゴリラしつけが必要ねちょっと泥棒猫にもムチ打ちますか』
業務用の通信回線で仲間の魔人にアイリにつよいおしおきとゴリラの宮本武蔵にちょっぴり愛のムチをうつことにきめた。
せっせと別室で準備されているのは翌日ゆうきとアイリが修練を積むための施設の最終チェックだ。安全面は度外視されておりへたすればしぬ程度にはしこまれている罠。
第六感の部分。気、気配といったものをとぎすますための鍛練を準備していた。
『金はもらってますしウツロさまのごいこうもありますものね』
ひとりごとをいうと電話を切り便座の上にあるテーブルにおいた。
◇
『ほれっもっとちこうよれっ!』
『はいっ』
緊張した、うい女のふりをするのはアイリだ。
『五輪の書でわからぬところはないか?』
『ここなんですけど、ゆうきがいまいちわかんないって』
『むほほほっそうかそうか、こう、シュタッとかわしてから短刀でスッとやってグリンとしたら、ズパッと刀できるのじゃ』
すさまじくアバウトに実演して見せた宮本武蔵のゴリラはわかりやすかったがいまいち理解し辛かった。
『このグリンとやったあとドッっとふみこんでエイっっと気合いをいれるのも大事じゃの』
『わかりました!いまやってみます!』
そそいのそいと真似をしてみるゆうき。
『貴重な体験ぞ。筆者から直接わざを指南してもらうなどそうはない』
『はいっ!ありがとうございます!』
『ムホホ~』
そっとアイリのけつをなでる武蔵にいらっときたゆうきはおっとっとっと剣をぬいてすんどめしようとした。
『児戯よのぅむほほぉー!』
まばたきひとつせず刀がみけんのしわのすきまでとまってっいることを確認し、まぁわらべにしてはみごとよのぅといっのける武蔵。
『チッ剣豪ってきいてたからかたぶつかとおもったらすけべの剣豪かよ!気が合いそうだからむかつくぜ!』
変態同士感じる部分があったのだ。
『ほれっ感じておろう!ぬしもビンビンにかんじておろう!』
かたに担ぐようにかかえた、魔剣は魔力が増せば増すほど大きくなる。武蔵のそれは剣と呼ぶにはあまりにも大きすぎた。巨大で、分厚く、重く、そしてあまりにも粗雑だった。まさに、それはただの鉄の塊だった。
それはベルセルクと呼ぶにはあまりにもFFすぎた。クラウドで、FF7で、なつかしく、そしてあまりにも粗雑だった。まさに、それはただのクラウドの剣だった。
ずしりと武蔵のあしが地面に2cmほど沈む。
『こぞうおかえしといってはなんじゃが、うけてみぃ、それがしの、たぎったなにをなぁ!』
ドゴォと轟音をたてて刀を頭上でかまえてうけとめたゆうきはうぉおおといいながらめりこむとおもったが、すんどめされていた。
感覚だけでずしりと地面にしずめられたと錯覚したのだ。
『おほー!すげぇっす!宮本さん!なんすかいまの!』
目を輝かせながらいうゆうきに、いたずら心からおどかしてやろうとしていた宮本は度肝をぬかれたきぶんになった。
『小僧!気配を、感じたか。素質があるぞ。精進せよ。次の部屋にある鍛練の間にて励むがよい』
『はっ!ありがとうございます!』
すげぇすげぇとはしゃぐすがたにアイリはゆうきのことをかわいいと感じほっこりしながらも私もがんばらなきゃと深く考え込むことになる。
『サラマンダーの鞭のつかいかたは別室で教えるのだムホホ』
『いま鞭でうたれるとこそうぞうしましたね?』
ゆうきがすかさずつっこむ。
『当然じゃろうわっぱ!サラマンダーの鞭でアイリさんにうたれたい!うたれながらかんじたい!……そう、したい!!!』
『握手をよろしいか』
ガッシリと男の友情をかんじるふたりのそばで寒気にとりはだのたつアイリであった。
部屋のすみずみにあるランタンの灯火がきえはじめるころつぎのへやへと案内するとトリュフが現れた。
ふんどしをひきしめる気分でふたりは手にあせをかきながらむかうのであった。




