プリンツとアイリ Godの目的とジェノバの思惑
『泥棒猫のこのあまが、ゆうきにきがあるのではなくて?』
お嬢様のような口調になったのはプリンツがお姫様のようだったからだ。対抗心が芽生えたのである。
『私はこの研究室にゲストとしてよばれた客人にすぎないわ。両国の関係を取り持つはしわたしになれたらとおもってきているの』
『あっそ!どーでもいいんだけどそんなこと。気軽にゆうきにはなしかけないでくれる?』
眉をピくつかせたのはプリンツだった。
むすっとした表情になりそうなのをこらえてクールビューティーにつとめた。
ゆうきが冷たいサディストにひかれると情報にあったのでえんじているのだが、内心では感情が豊かな純粋の娘なのですこし困惑している葛藤が芽生えていた。
『まぁまぁアイリもおちついて。おれはおまえしかみてないから』
『うそつきっ!さっきはなのしたのばしたような会話してたでしょ!』
『いやいや、そんなことは……ない』
図星をつかれたゆうきはとまどいながらコーヒーを飲む。
『あっそれわたしの……』
『ぶふぉっ!!ごごご、ごめん!』
アイリの目線がじとりと冷たい糸目になった。
『あっーーすっごい!かわいいねぇ!!その蔑んだ目最高!!』
『きもっ!』
『ごっつぁんです!』
『あんた無敵のメンタルねびっくりするわほんと』
『ほめんなって……』
アイリが頭をバシリと軽く叩くとゆうきは嬉しそうにしていた。プリンツはそのふたりの関係をさくことを仕事にしていることに罪悪感をかんじたがプロとして女としてゆうきをものにすると心に誓ったのであった。
おとこの人ってこんな風なんだと勘違いをしたのもこの瞬間であった。
まちがった男の喜ばしかたを学んだプリンツは攻めの姿勢にでることにした。
『ゆうき、そのコーヒーかえしてくれる?』
『あっごめんね。どうぞすいません!』
すっとうけとるとプリンツはきにもとめないようにはじめての間接キスをした。
白いはだが紅潮してはじらいをかんじさせていたが、ゆうきは寒いよねととぼけていた。
奥歯を噛み締めぎりりとさせたのはアイリだった。
『じゃっ私は仕事があるので一旦さようならですね!またねゆうき!』
バチッとうぃんくして手を振っていく様はお伽噺にでてくる笑顔のお姫様のようだった。
女としてのプライドをくすぶられたアイリはゆうきにたてつづけに詰問したがのらりくらりとかわされ、ドMの変態が!とけんかわかれするかたちになってしまった。
たちさったゆうきのせなかをみて、複雑な心境でなきそうになりながらもこらえていたのはアイリが精神的にもすこしつよくなっていた証だった。
今日も報告をマコトにするプリンツ。
『それでぇ!ゆうきがぁ……』
『え、えらく楽しそうだな』
マコトは仕事がうまく行っているようで嬉しかった。裏の家業でしりあったコンサルタントの深井のつてでしのびこませたプリンツという毒牙はゆうきのくびもとまでせまっていた。
プルルと着信がマコトの携帯にはいる。
今時めずらしいガラケーである。
メールには兄じゃから深井と会合を開くので指定の日時にとある鉄板焼のみせで会談しようとのことであった。
『報告はもういい、お、おまえをつかうのはキングスマン幹部のラーメン友達で実績があるからだ』
『話には聞いている。バレエの劇団にいた孤児らしいな、お、おれも孤児だったんだ。拷問官にかわれたんだが』
といいかけて、話すのをやめた。
感情移入してはしんだときたちなおれなくなるからだ。
『ま、任せたぞ』
とんっとかたをたたいてビルの闇間にとけて消えていったマコトであった。
ネ申は飢えていた。
自分と同格のものとの対等な関係に。
寂しかったのだ。
故に本当に友達と言えるネ申を作り出したかった。
その基盤となるのが人類である。
自分によくにた存在。
それらに世界を作らせた。
人間社会。
ネ申はそこにはいりたかったのだ。
そのためにいまも昔から常に行動している。
反対に幸運卿のジェノバはネ申食いをつくろうとしている。
退屈だった日々が輝きだした。
那由多の年月、もて余した暇がうみだした産物。
数々の銀河のなか奇跡的にうまれた好条件の地球。
ネ申の遊びがはじまろうとしていた。
さまざまな思惑が要り組む世界に混沌と歓喜といった複数の感情がいりみだれる。
魔力がそこにくわわるとなにかがおこる。
全知全能のネ申の深淵すらつつみこむ莫大な思考を凌駕する事態が。
破邪の玉が交わるとき災厄がおとずれる。
ネ申の願望を込めた球ふたつにこめられた力と願い。
成就するその日まで丹念ねってしあげていく。
ほどよいイレギュラーがスパイスとなって仕上がっていく世界を料理するシェフのようだ。
そんな感傷に浸っているネ申のまわりでは自分の感情を具現化させたかみにちかしいものたちがさわいで、わんやわんやしている。
悪くはないがじぶんのうつしみであるとかんがえると、ぽっかりとないはずの心に空いた穴をかんじた。
そのたび宇宙のどこかではブラックホールができていた。
ネ申の心の隙間をうめるようにぶらっくほーるはあらゆるものをすいこみすりつぶしていく。
ネ申はGoDとよばれる存在で他のネ申とはちがったすべての摂理を司る頂点であった。
原初のネ申、GoDはひびすがたをかえどこかに存在していた。だれにも観測されぬ場所でいるのかいないのかもわからない。
それはとてつもなく寂しいことだ。




