時の記憶 スマブラは人生の教科書 ドイツ人のつのばやし バレエダンサー
時を操る婦人像をつかうと時の流れのなかで記憶を保つことができる。
いま記憶を保てているツノバヤシは、数人しかいない。
この世界の流れでマコトというおとこは記憶を保てていなかった。
だが、那由多の数ある未来のはて辿り着いた。
『なんだこれ?』
ウツロはマコトに言う。
『わたしが往年、あまたの年月をかけてたどりついた答え』
『求めていたものだ』
全身の毛がよだつ。
ふたりそろってだ。
『さぁ、過去を改竄するのだ』
『なんだぁ?まあいいや求めていたのはこのぞうだったわけだ、あんたがね』
『魔力を注ぎ込め』
『まぁあんたにいわれなくてもやるさ』
世界がねじれてときの歯車が動き出す。
マコトがアイリとむすばれるそのときまで……。
『ここは……どこだ?きおくにぼやがかかっている』
ぼやけた記憶をただしていく。
ひとつ、ひとつ、きりのかかったジグソーパズルをつなぎあわせて、映画のフィルムをつくっていくように。
『あれ、ウツロがいない。おれのこどもだとかいってたなぁ。まぁいいか!アイリたんとあそべれば!うっ……』
憎しみ、怒り、悲しみ、喜び。
複雑な感情が沸き上がって消えた。
『ときがまきもどるってかんかくはこれかぁ!!よくもいままで何度もころしてくれたなぁ!!!』
ちかくにおちていた鉄パイプをひざでへしおる。
ここは作戦会議室にしていた工事現場あとの廃墟だ。陰惨としたこけむしたコンクリートの壁と老朽化した木材がねんきをかんじさせ、となりのへやではネズミが鳴いていた。
『ぐゃじぃ!!!!』
涙があふれでる。
アイリのやつよくもゆうきなんかとなかよくしやがってゆるさねぇ!!そう叫んだ。
『せかいがどうとかいってたな。ウツロのやつ。この世界ではお前はいないぞ』
『仲間がいない寂しいこわいよぉ』
『弟よ』
びくりとしてふりかえると、肩にてを乗せていたのは兄じゃだった。
『わたしの美的センスによれば、アイリはしこうの女。弟君にふさわしくてよ』
オネェの兄じゃがいきなりあらわれていやしてくれた。
ぁぁいきてる。兄じゃ!
『あにじゃぁぁあああ!しんだかとおもったよおお』
『なにをいっている。わたしはここにおる』
つめをかみながら、がたがたと貧乏ゆすりをするまことをしりめに兄じゃは計画を話し出した。
ゆうきとアイリを破滅させるための……。
プリンツはマコトの雇われスパイでツノバヤシの探偵もやっている通訳業兼諜報員をやっている。
『わたしはドイツ人だ』
日本に溶け込み生活をしていたドイツ人のプリンツは自慢の白いはだとしなやかなでスレンダーな体をおしみなく発揮し、美の表現を追求していた。
お団子ヘアーのブロンドはとても美麗でおとこたちのしせんをくぎづけにしていた。
蒼の瞳はすきとおっていてすべてをみすかしてきそうなほどだ。
『へぇ、きみドイツ人なんだ。日本語上手だねぇ』
研究室に来たのはドイツ大使館で働いていた通訳のドイツ人のはたちそこそこの女性だ。
紺色のスーツがびしっときまっており黒ぶちメガネが勉強のしすぎと体質で視力が落ちてしまった証だ。
元々視力が弱くむしめがねをつかっていたが年々落ちていく視力にいやけと恐怖を感じていた。
プリンツはゆうきにほめられると当然ですと答えた。
『とても勉強しましたからね』
『すごいなぁ!おれと数年しかとしかわんないのにあこがれちゃうなぁ!』
素直にめをかがやかせて元気にほがらかなふんいきをだして率直に誉めるゆうきに少し羞恥心を覚えるとともに好感をいだいた。
『あなた、なかなか男前ね。育ちも良さそうだしなにか特技はあるのかしら?』
『おれは剣術と書道をやってたよ。どっちも三段どまりだけど、剣術は実践と師匠たちのお陰でだいぶ上達したよ』
メガネのずれをくいっとなおしてなるほどと相討ちを打つとプリンツはブラックコーヒーをすすってあつっといっていたことに日本人かよとゆうきは突っ込んだ。
『心は日本人に近いですね。わたしは日本が好きです。礼儀正しく協調性の高い民族だと思いました』
『義務教育で叩き込まれてるからじゃないかな』
『あなたは謙遜しないタイプの日本人ですね。すなおでいやみがなくてすきです』
『え?まじ?てれちゃうなぁ』
えへへぇとくねくねするゆうきは女にうとかった。
好きと聞くだけで照れてしまううぶなやつである。
二人はリラックスしながら座っていたのでプリンツは柔軟体操をてつだってほしいといった。
ふいに質問するプリンツ。
『童貞ですか?』
『どどどど、どうていちゃうわ!!』
あたふたとするゆうきをみて、くすくすわらうプリンツの肌は透き通るような白色だった。
『じゃっじゃあおめえ処女だろ!』
白色の頬が真っ赤に染まっていく。
『変態!デリカシーなさすぎです』
『いや、ブーメランってしってる?』
『ぐぬぬ、はらたつんです!』
少しの地団駄をふむとプリンツはお団子の髪をほどいて櫛でといた。
さらさらとした絹糸のようにうつくしいかみはとてもめずらしかった、ゆうきの感覚でわ。
『それにしてもすげぇキレイだよねぇ』
『なにがですか?』
『瞳と髪と肌』
『なんなんですか。ほめてもなにもでませんよ。わたし誉められなれてないので反応に困ります』
しゅんとしたようなてれた表情がかわいくて心がすこし、ざわついたゆうき。
がちゃりとドアを開けてはいってきたのは聞き耳を立てていたアイリだった。
『へぇーこういうのがすきなんだぁー。へぇー』
『ち、ち、ちがわい!おれが好きなのはアイリだけだよ!』
『のろけないでもらえます?』
冷たい目線で嫉妬の炎をもやしていたのはプリンツだった。
仕事だけどいいおとこには目がなかった。
いつも訓練ばかりで恋愛などしたことがなかったのでちょっとしたことでれんあいかんじょうをいだいてしまうのであった。




