【洋上決戦】第33話 雲の向こうに潜む影
はじめまして、または再びこんにちは。今回もお付き合いいただきありがとうございます。
終わりの見えない海戦の日々が、なおも続いていた。
艦砲の轟音と爆発音は、もはや戦場の日常そのものと化している。
海面には無数の艦艇の残骸が漂い、燃え広がった重油と黒煙が、絶え間なく空を覆っていた。
その凄惨な光景を見下ろすように、Führerschiff(旗艦)の艦橋に立つBoden-Noyan(ボーデン=ノヤン)バルドル・クライシュは、再び拡声器を手に取った。
そして、これまで以上に余裕たっぷりの声で、敵艦隊へ向けて怒鳴りつける。
「もう何日も戦い続けているというのに!」
「なぜ沈んでいくのは、貴様ら日本のKuujun(艦隊)ばかりなんだァ!?」
海上に、バルドルの耳障りな高笑いが響き渡った。
「ハハハハハハッ!!」
対するスズランは、煤と汗にまみれた顔を上げた。
疲労でKarada(身体)は重く、立っているだけでも精一杯だった。
それでも、瞳に宿ったKetsui(決意)だけは、決して消えていない。
「私たちは、必ず勝つ!」
「Kuujun(艦隊)の数で勝っているだけなのに、勝ったつもりにならないで!」
強気な言葉とは裏腹に、Genjitsu(現実)は決して楽観できるものではなかった。
次々と戦況報告が艦橋へ飛び込んでくる。
「Kuchikukan(駆逐艦)、沈没!」
「Goei-sen(護衛艦)、大破炎上!」
「制空戦に投入したSentouki(戦闘機)、さらに数機撃墜!」
報告が届くたびに、日本Kantai(艦隊)の戦力は確実に削られていった。
PandemoniumのEisentumen(鉄虎軍団)は、日本艦隊の二倍を優に超える圧倒的な兵力をもって、執拗な攻勢を続けている。
時間が経つほどに包囲網は狭まり、日本Kantai(艦隊)は徐々に逃げ場を失いつつあった。
スズランは、艦橋の手すりを強く握り締めた。
歯を食いしばり、胸の奥から湧き上がるFuman(不満)と苛立ちを必死に押し殺す。
――このままじゃ、本当に……。
その瞬間だった。
「――ッ!?」
頭上のSora(空)から、これまでとは比較にならないほど激しいJet engineのHoukou(咆哮)が響き渡った。
何十、何百というエンジン音が重なり合い、海上全体を震わせる。
厚い雲を突き破るようにして、百機を超えるSentouki(戦闘機)が一斉に急降下してきた。
その編隊は恐ろしいほど整然としており、まるで空から舞い降りる死神の軍勢そのものだった。
そして――。
「敵Kantai(艦隊)を捕捉!」
「全機、攻撃開始ッ!!」
百機を超える謎のSentouki(戦闘機)が、まるで獲物へ群がる猛禽のようにPandemonium軍へ殺到した。
これほど大規模な増援が突如として現れるなど、誰一人として予想していなかった。
次の瞬間、凄まじいDaibakuhatsu(大爆発)とともに、海面が閃光に包まれる。
精密誘導されたMisairuが敵Senkan(戦艦)を次々と正確に捉え、鋼鉄の船体を容赦なく撃ち抜いていく。
海上には巨大な火柱が次々と立ち上り、Kuroi kemuri(黒煙)が瞬く間に戦場を覆い尽くしていった。
――その頃。
Pandemonium艦隊のFührerschiff(旗艦)、艦橋。
「……ば、馬鹿な……」
先ほどまで勝利を確信していたBoden-Noyan(ボーデン=ノヤン)バルドル・クライシュは、戦術モニターに映し出された光景を呆然と見つめていた。
そこに映っていたのは、自軍のEisentumen(鉄虎軍団)が次々と撃破されていくという、信じ難い惨状だった。
「Senkan(戦艦)十五隻、轟沈!」
一人のShikan(将校)が、震える声で報告する。
「さらにKoukukanmu(航空母艦)一隻、大破! 甚大な損害を受けています、Eisen-Noyan(アイゼン=ノヤン)!」
「チィッ……!」
Boden-Noyan(ボーデン=ノヤン)バルドルは、拳を固く握り締めた。
怒りに震えるその胸の奥で、別の感情が静かに膨れ上がっていく。
――Kyoufu(恐怖)。
「……まだ、生きていたというのか」
低く呟いたBoden-Noyan(ボーデン=ノヤン)は、鋭い眼差しを遥か彼方へ向けた。
その視線の先――。
厚い雲海の向こう側から、巨大なシルエットがゆっくりと姿を現し始めていた。
それは、Boden-Noyan(ボーデン=ノヤン)が軍人として長年戦場に立ってきた中で、一度として目にしたことのない規格外の巨艦だった。
既存のどのKoukukanmu(航空母艦)よりも、遥かに巨大。
雲の隙間から僅かに覗く輪郭だけで、戦場にいる者すべてを圧倒するほどの異様な存在感を放っている。
あの超大型Koukukanmu(航空母艦)こそが、先ほど百機を超える謎のSentouki(戦闘機)を発艦させた張本人だった。
そして今、その巨艦はゆっくりと、しかし確実に戦場へと進出してくる。
一体、あの正体不明の勢力は何者なのか。
そして――彼らは、本当にどちらの陣営に与するつもりなのか。
その答えを知る者は、まだ誰一人としていなかった。
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