↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『拾われた孤児、拾い主はまさかの退役軍人にして天才科学者』  作者: ティラピア池
第二部:崩壊の始まり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/69

【本土決戦】第30話:顔のない波 (第四編)

はじめまして、または再びこんにちは。今回もお付き合いいただきありがとうございます。


その朝から、轟将軍が守る海岸線を厚い霧が覆い尽くしていた。


視界はわずか数十メートルに制限されている。


だが徐々に、白いカーテンの向こうから巨大な影が現れ始めた。


一つ、二つ、やがて数十隻の巨大空母が、一斉に沖合で静止した。


まるで同じ合図を待っているかのように。


たまたまその地点で定期巡察を行っていた轟部隊の全員が、その場に凍りついた。


手にした武器さえ、忘れ去られていた。


次の瞬間、警告もなく、一隻の空母の舷側で巨大な鋼鉄の扉が広く開いた。


そしてそこから、止まらない波のように装甲車両が溢れ出した。


二種類の戦車が、数えきれないほどの数で現れた。


一つ目は、細身で機敏な「センセンマン」。


中口径の自動砲と二連機関銃を備え、人の操縦音など一切なく、驚くべき速度で動く。


二つ目は、はるかに大きく威圧的な「モロク」。


厚い装甲に巨大な主砲を備え、動きは遅いが、薄紫の光膜——ホログラムシールドに包まれている。


ヒカルが創った戦車のそれと同じ原理だが、遥かに濃密だ。


空母の周囲では、未知の潜水艦が次々と浮上し、さらに多くの恐ろしくも無機質なユニットを陸地へ吐き出し続けた。


操縦する人間の姿は、一人も見えない。


すべてが自動で、完璧に連携して動いている。


まるで、血に飢えた顔のない捕食者の群れのようだった。


「す、信号弾を!」


一人の将校が恐慌の声を上げ、緊急事態を示す赤いフレアを空へ撃ち上げた。


その地点にいた轟部隊は、混乱しながらも素早く反応した。


武器を掴み、近づく金属の波へ向けて最初の一斉射撃を放つ。


戦闘が即座に始まった。


自動砲と迫撃砲が連続で撃ち出され、爆発が怯まず前進する敵陣形を叩き続ける。


機関銃が激しく咆哮し、弾が敏捷に回避するセンセンマンの装甲を打つ。


その地点に残っていた日本の最新鋭戦車も投入され、主砲が轟音を上げて、遅いながらも止まらないモロクの列を狙い撃った。


混乱の只中、副司令の一人が、巡察から戻ったばかりの轟将軍のもとへ駆け寄った。


通信機を耳に強く押し当てている。


「将軍! 北海道・ヤウスベツからの緊急報告です!」


声は恐慌で震えていた。


「あそこでも同様の攻撃が発生しています——歩兵を伴わない敵戦車が数百両! ここと同じです! しかし数が……現地の兵力では到底対処しきれない数です!」


轟の顔が一瞬で蒼白になった。


冷たい汗が、こめかみを伝って流れ落ちる。


「予備兵力の半分を、直ちに北海道へ送れ!」


彼は素早く命じた。声は必死に厳しく保とうとしているが、隠しきれない恐慌が滲んでいた。


「そして特殊部隊『陽炎』を展開せよ——千名、遠距離型と近接型の混成で! 今すぐ必要だ!」


命令は即座に伝達された。


ほどなくして、陽炎麾下の一個大隊が、最も緊急時のために準備されていた重装備を携え、北海道へ向かって素早く移動を開始した。


出発直前、陽炎は部隊の前に立ち、いつもの平坦な表情のまま、しかし瞳だけは鋭く決意に燃えていた。


「やっと、我々の出番か」


短く言った。


「各自、準備を整えろ」


「はい、隊長!」


千の声が、厳格に、規律正しく一斉に応えた。


彼らは間もなくヤウスベツに到着した。


輸送車両から降りた瞬間、陽炎は思わず息を飲んだ。


戦場の惨状は、想像を遥かに超えていた。


多数の死者が横たわり、医療班が必死にまだ助かる者を救おうと走り回っている。


その周囲では、なお爆発が凍てついた地面を打ち続けていた。


陽炎は素早く指揮を掌握し、効率的で計算された動きで部隊を戦略的位置に配置した。


「全ユニット、ロケットランチャーを準備せよ」


厳命を下し、輝くホログラムシールドを纏って近づくモロクの列を鋭く見つめた。


数百のランチャーが同時に上げられ、精密に敵陣へ向けられる。


「今だ!」


陽炎が叫んだ。


数十発のロケットが同時に飛び、白い煙の軌跡を空に残して、それぞれが目標を豪快な爆発で叩きつけた。


直撃を受けたモロクのいくつかは即座に爆発し、ホログラムシールドが粉々に砕けた後、背後の鋼鉄のボディも完全に破壊された。


一瞬、生き残った部隊の間に希望が芽生えた。


だが次に聞こえたのは、新たな音だった。


上空から急速に近づくジェットエンジンの咆哮。


本来、ここでは聞こえるはずのない音だ。


全員が困惑して空を見上げた。


同じ戸惑いが、それぞれの顔に浮かんでいる。


日本の戦闘機部隊はすべて、海上の敵艦に全力で集中しているはずではなかったか?


そして厚い雲の層の向こうから、本来そこにいるはずのない異国の戦闘機編隊が現れた。


遠くから、まるで敵の沈黙の奥に、隠された満足の気配が感じ取れるかのようだった。

少しでも「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけたら、ページ下部の**【ブックマークに追加】や【評価(★★★★★)】**をいただけると嬉しいです!

皆様の応援が執筆の大きな励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。