エピソード26:防衛線
はじめまして、または再びこんにちは。今回もお付き合いいただきありがとうございます。
別れる前に、副長の一人が状況をさらに詳しく説明した。
「実は、他にも安全な拠点はまだたくさんある」
彼は言った。
「だが、残った戦力をできるだけ早く再集結させなければならない。ホタルは彼女自身の部隊が迎えに来る——海軍と協力して海上防衛を統括するため、ずっと探されていたんだ」
ホタルは力強く頷いた。
俺を一瞬見つめ、言葉にできなかった無数の想いをその瞳に宿してから、装甲車で迎えに来た兵士たちと共に姿を消した。
俺は二人の副長とフジムラと共に、地上指揮本部と呼ばれる場所へ向かった。
そこは、陸軍大将を務める兄・リンドウが防衛を指揮している拠点だ。
到着した瞬間、目の前に広がった光景は予想を遥かに超えていた。
何十本もの防衛壕が、断崖と海岸線に沿って視界の限りに伸びている。
装甲車や重火器がびっしりと並び、そのデザインはかつて学んだ世界大戦の写真を思い起こさせた。
だが、遥かに近代的で、巨大で、先進技術に覆われた姿は、はるかに恐ろしかった。
その喧騒の中心で、よく知る姿が仮設の指揮塔に立ち、周囲の将校たちに素早く指示を出していた。
「やっと来たか」
俺たちを見つけると、リンドウの声が響いた。
安堵が混じっているが、戦場の指揮官らしい厳しい面持ちはそのままだ。
「今から戦力を分散する」
彼は二人の副長とフジムラを見た。
「お前たちは俺について来い」
そして視線が俺に移る。
一瞬だけ表情が柔らかくなった——ほんの一瞬で、すぐに完全な指揮官モードに戻る。
「ヒカル、お前は除く」
「俺が?」
困惑して聞き返す。
「お前は戦車の設計図と部品作りの専門家だろ?」
彼は早口で言った。
「生産施設に行ってもらう。チームもつける」
俺は頷いた。
ようやく兄の一人と再会できたのに、またすぐに別れなければならないことが、胸に重くのしかかる。
「気をつけて」
俺は小さく呟いた。
リンドウは薄い笑みを浮かべ、短く頷いてから、きっぱりと背を向けた。
「お前もな。さあ、行け」
俺はすぐに後方の戦車生産施設へ案内された。
若い技術者のチームが、未完成の設計図と部品の山を抱えて待っていた。
俺はすぐに作業に没頭する。
アラリックから何年もかけて学んだ知識を活かし、既存の設計を分析し、改良を重ね、生産を少しでも早めようと努めた。
その一方、最前線ではリンドウが指揮塔に立ち、ホログラフィックの大きな戦術地図を睨んでいた。
二人の副長とフジムラと共に、防衛戦略を練り、各部隊の配置を経験豊富な将軍の精度で調整していく。
「敵は数時間以内に北セクターから攻撃してくる見込みです」
副長の一人が地図を指差しながら報告した。
「戦力は二個大隊相当、あるいはそれ以上と推定されます」
リンドウは頷き、地図の細部を鋭く観察する。
防衛陣形を組み、砲兵の配置地点を決め、緊急退避ルートと、突破を試みる敵を誘い込むトラップゾーンを設定していった。
一瞬、すべてが制御下にあるように感じられた。
戦略は整然と並び、部隊は待機し、高い士気が防衛線全体を包んでいた。
だが、その時だ。
偵察将校の一人が血相を変えて駆け寄ってきた。
通信機を耳に当てたまま、顔面は蒼白だ。
「大将!最前線の偵察所から報告です!」
リンドウが素早く振り返る。
「報告せよ」
「敵の装甲部隊を確認。これまでに記録したことのない規模です」
将校の声が震えていた。
「画像分析によると、ティーガー戦車——パンツァーVIの近代レプリカが大量に。さらに……中央には、ラントクロイツァーP.1000ラッテの近代型と識別された超巨大ユニットが移動しています」
指揮塔を完全な沈黙が包んだ。
リンドウは硬直したまま立ち尽くし、目を見開いて最新の衛星映像を見つめた。
巨大な装甲車両。
これまでのどの戦車よりも遥かに巨大で、北の海岸線をゆっくりと、しかし誰にも止められずに進んでいる。
周囲を数十両の近代型戦車が護衛していた。
冷たい汗がリンドウのこめかみを伝い落ちる。
普段は絶対に揺らがない手が、戦術テーブルの端を掴んでわずかに震えていた。
「……あり得ない」
彼は小さく呟いた。声はほとんど聞こえないほどだった。
「奴らに、どうしてこんな戦力がある?」
少しでも「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけたら、ページ下部の**【ブックマークに追加】や【評価(★★★★★)】**をいただけると嬉しいです!
皆様の応援が執筆の大きな励みになります!




