第六話 任務開始
賀田さんの秘書さんから渡されたデータには、被害が起きている場所が登録されていた。
幸いあまり遠いところではないようで、俺とフリームは駆け足で向かってゆく。俺らがここまで来る時には、あまり被害は出ていないように見えたが、思った以上にけが人が多いようでところどころに署員がいるのを確認できる。
でも、俺たちはそれを無視して任務先にへと向かう。
任務先にいる魔法使いの数は三人、この人数を相手に俺は一人で対処する。俺に魔法使いを三人も相手できるのか。
今までわかっていなかった魔法の名称。
【契約、意志、導き、誇り、愛、克服、精密、均等、秘密】この魔法たちがどんな能力を持っているのかは想像できない。フリームなら知っているだろうけど、なぜか先ほどから一言もしゃべらない。
まぁいい、俺は今のうちに左の内ポケットから弾丸と銃を今のうちに取り出しておく。
俺が愛用している銃、四発式リボルバー【エターナル】。父からもらった銃であり今でも愛用している。
装填数が四発の代わりに大口径で威力はもちろんのことだが反動もえげつない、昔に打った時は何度か手首の骨を折っている。
今ではエターナルの扱いにもなれ自分はけがもなく安定して打てるようになっている。
フリームの方に走りながら目を向けると、結構疲れた様子を見ることが出来る。
「おい、大丈夫か?」
「ん? 問題ないが」
「いや、結構きつそうに見えるんだが」
俺はさりげなくスピードを落とす。だが運動をしていなかったからか、段々とスピードが落ちてゆき。フリームの足はついに止まった。
「やっぱ問題なくないだろ」
「問題ないに決まってるだろ、それより早くいかなくていいのかい」
フリームの足は生まれたての小鹿のように震えている。このままじゃ任務先までフリームの足が持たない。
俺はやれやれと思いながらも、フリームの目の前に出て背中を出す。
「何をしてるんだ?」
「何をって。見てわからないのか? おんぶしてやるから早く乗れ」
フリームは目を真ん丸にして私のことを見ている。
なんだ、この魔女。おんぶされるのが恥ずかしいのか?
「なぁ、この体制意外ときついんだが。乗るなら早く乗ってくれないか? それとも乗らないで、ここからあと一キロぐらいあるが走るか?」
「走るのはもう無理だ。だから乗せてもらおうとしよう、落としてくれるなよ」
「任せてくれ」
俺は背中にフリームを乗せ落とさないようにしっかりとつかむ。
あ、けど銃持ちながらだと落としそうだな。
「なぁ到着するまでの間でいいから、俺の銃持っててくれないか?」
「いいのかい、大事な武器を私に預けて。その銃で撃たれるかもしれないよ」
「仮にお前がその銃で俺のことを打っても同時にお前の頭蓋骨が割れるか、腕が飛ぶぞ」
「なんだい、そんな威力があるのか。じゃあやめておくよ」
俺は手に持っていたエターナルをフリームに預ける。銃を渡した瞬間「おもっ」と声を出していた気がするが、気にしない。
「じゃあ飛ばすぞ、しっかり掴んどけ」
「あぁ、そうさしてもらうよっ!」
俺は足首から太ももにへと筋肉をうまく使い、今出せる最高速度を出す。フリームの体は思った以上に軽く、何もおぶってないようにも感じる。
俺は走りながら今後について考える。
魔法とか関係なしに、俺はフリームと今後どう付き合っていくのか考えないといけない。このまま不完全な契約魔法を解くまで一緒にいるのか、それともフリームを世界魔法執行機関に突き出して俺もろとも捕まるか。
「っ……!」
「うわっ!」
俺の足元に向けて撃たれた何か。たぶん俺のことを狙った攻撃だろう。現場まであと200メートル、この距離でも攻撃が届くとは驚きだ。先にもらった情報によると相手は武装とかはしていないらしい、そこから考えるにこれは。
「魔法か、厄介だな!」
立て続けに俺に向かって攻撃が来る。俺は一度物陰に隠れ背中に乗っていたフリームを降ろし預けていたエターナルを回収する。
「おい、お前はこのままここにいろ」
「ん? 私は行かなくていいのかい?」
「お前が万が一けがでもしたらと思うと背筋が凍るわ」
もちろん言っていることが嘘ではない、ただ言葉通りというわけでもない。
「なんだい、私のことを心配してくれてるのかい?」
「賀田さんから怒られたくないだけだよ」
「なんだ、つまんないね」
「いいか、絶対にここを動くなよ。動いたら今晩のお前の飯は無しだ」
「はいはい、早くいってらっしゃい」
俺は手を振って送り出すフリームを背に任務地が視認できるギリギリまで移動する。
物陰から任務地の方に目を向けると人影は確認できない。となると攻撃をしてきたのは建物の中からか。
さて、どうしたものか。直接正面入り口から入ってもいいが、そうなると先ほどの攻撃がまた俺のことを襲ってくるだろう。
ならばどうするか。
俺は任務先の建物の裏側にへと足を向ける。
「さて、任務開始だな」




