第五話 魔法使いの犯行
賀田さんからの電話。
賀田さんから俺に電話が掛かってくることは滅多にない。相手は世界魔法執行機関日本支部東京分署の署長であり立場というものがある、そうやすやすと一般署員の俺に電話を掛けてくることはない。
俺はスマホの電話に出るボタンを押し、耳にスピーカー部分を当てるのだった。
『宮成君、突然の電話すまない。今大丈夫かね』
「はい、大丈夫ですか。何かありましたか賀田署長」
賀田さんの声から多少の焦りを感じる。きっと何か問題が起きたのだろう。
『人手が足らないんだ。一度帰らしておいて申し訳ないが今からも一度出てもらうこと出来るか?』
「再出勤ですか……」
俺は一度フリームの方に顔を向けると、俺の会話を聞いていたであろうフリームは一度頷き。俺は賀田さんに対して再出勤することを伝えるのだった。
「保護した子、フリームが俺から離れたがらなのでそれで一緒に連れていきますがよろしいですか?」
『許可は出す。ただその子には君のそばを離れないようしっかりと伝えておいてくれ』
「了解しました。今から向かいます」
俺は賀田さんとの通話を終了し、スマホを再び胸ポケット内にへとしまいこむ。
その後俺はフリームを連れて再び、世界魔法執行機関日本支部東京分署にへと向かうのだった。
⁂
俺らが再度東京分署にへと来た時、室内は阿鼻叫喚であった。
普段であれば落ち着いた雰囲気を漂わせるホールは多数のけが人と情報共有で動き続けている人達が多数おり。作戦本部と書かれた場所にへと俺とフリームは足を動かすのだった。
俺は扉を三度ノックし。室内からは賀田さんの秘書さんが顔を出してくれた。
「賀田所長に呼ばれたため、ただいま到着しました。遅くなり申し訳ありません」
「宮成君。中に入ってみんないるから」
俺は室内に入る前に一礼をする。室内はなかなかに広く、会議室二つ分をつなげたぐらいの小きなホールのような形になっていた。
室内にいた人たちは俺の方に目を向けており部屋の端の方からは俺について話しているような声が聞こえる。
この嫌な空気感を一番最初に破ったのは、俺のことを読んだ賀田さんだった。
「来てくれたか宮成君」
「すみません。遅くなりました」
「いや。急に読んでしまったこちらが悪い、早速だが君にお願いしたいことがあるんだがいいかね?」
「いいですよ」
俺と賀田さんは、室内の真ん中の方にへど移動し。中央のテーブルには様々な資料が並べられていた。
「今回、この東京内のあちこちで様々ま暴動が起きた。主導者は最初こそ誰かはわからなかったが、宮成君が来るまでの間に情報が集まって今回も暴動の主導者は魔法使いたちによる犯行だと分かった」
「魔法使いですか。そうなると俺役に立てるかわかりませんが」
「いや、今は宮成君の力も借りたい。何しろ人が足らなすぎる。君も入口付近を見ただろうからわかるだろうが、けが人が大勢出た。そのせいで普段出動している人たちの人出が足らないのだ」
「なるほど。俺はそこの穴埋めに行けと」
俺が最前線に出ることは今までなかった。だからこそ俺の装備などは必要最低限しか渡されず、才能を使う機会がないため『宝の持ち腐れ』と呼ばれるようになったのだろう。
「フリームは俺についてこさせちゃって大丈夫ですか?」
「あぁ、宮成君が大丈夫なら。本来ならば駄目だが、君のことだから大丈夫だろう」
「分かりました。では、俺はこれにて失礼します」
俺は秘書さんからデータを貰い、現場にへと直行するのだった。
⁂
宮成君が室内を出て行ってからも、彼が入室してくる前のような怒号のような声は聞こえず。室内は静寂だった。
最初に静寂を破り口を開けたのは、私の次に重要な立場である双未副署長だった。
「賀田署長、彼はもしかして宮成副機関長の……」
「あぁ、そうだよ。彼は皆が知っている宮成副機関長の息子さん、宮成怜君だ」
室内に動揺が走るわけでもなく、ただただ室内の静寂は続く。彼に仕事を任せた以上、私たちも今すぐにでも動かなければならないが。多分今の状況では無理だろう。
彼らが私に聞きたいことはきっと「なぜ、彼にこの重要な仕事を任せたのか」ということだろう。
その問いに答えてもいいが、彼らが自分から聞いてこないのならば私が答える必要はないだろう。
「そういえば、宮成君の装備が結構軽装だったが。なぜなんだ?」
「それについては私から」
室内の隅の方にいた彼―和乃。和乃は日本支部の装備並びに資材管理の責任者を務めている。
「宮成怜、彼ですが。過去の任務から危険度を確認し、そこまで高くなく戦闘もないと判断したため。彼には必要な銃弾、最低限の装備だけを渡しています」
「そうか。それは他の署員に対しても行っているのかい?」
「そ、それは」
和乃は言葉が詰まる。私はそんな和乃に対し、怒りをぶつける。
「いい加減にしろ! 世界魔法執行機関に属している人間はどのような任務でも平等に命の危険ある!」
室内には先ほどとは違う静寂が訪れる。
「君たちがこの署内で彼のことをどのように呼んでいるかは私でも知っている! だが、君たちは彼のことをわかっていない! 『宝の持ち腐れ』? 違うね! 彼は才能を生かす機会がなかっただけだ、今日この任務で彼はきっと私たちの度肝を抜いてくるだろう!」
彼は才能はある。それは私も彼の父も認めている。だが、彼に与えられる任務はその才能を生かしきれない。
さて、ここまで私が背中を押してあげたんだ。いい結果を期待しているよ。
怜君。




