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ムーヴィング・ロードにのって基地の奥へと向かう。
この基地は半分地下になっていて、パイプみたいな入り口から中に入れるようになっている。全体はドームですっぽり覆われてるから、中がどうなってるのか外からはまったくわからない。
基地内は、人影はないのにほとんどの機械が動いてて不気味だった。なんだかこの感じって、つい最近体験したような……。
「……」
あう、なんだか変なこと考えちゃった。ここってあの地下都市?!……なんて。まさかね……。
でも、最近変なこと続きだから、何があってもおかしくない気分になっちゃってるんだよね。
「何難しい顔してるんですか」
「うん……。あくまであたしの想像だから笑わないでね? ここって、あの地下都市じゃない?」
ポチに考えを打ち明けてしまってから、顔がかぁっと熱くなる。
えーん、この考えじゃ、火星の美来の家の地下と月が繋がってることになっちゃうじゃない~。あたしのばか~!
大笑いされることを覚悟してたら、ポチは一言「そうですね」と言った。
「ポチ?」
びっくりしてポチを見上げる。
「なんですか?」
「なんでも、ない」
頭を振って黙り込む。
今のポチの言い方って、あたしに気を使ってると言うより、なんだか確信を持ってるみたいだった。――ポチ、あなた、何を知ってるの?
聞きたいけど、なぜか聞けなかった。
「ここでムーヴィング・ロードは終わりみたいね」
美来の声ではっと我に返る。
あぶない、ロードの終着地点であやうくこけるところだったわ。
「なにボケッとしてんの? 大丈夫?」
「うん、大丈夫。えーっと、この先は迷路みたいにごちゃごちゃしてるから気をつけよう
ね!」
「特にマリノがね」
……はい、ごもっとも。
あたしはナビゲーションの役割を果たすべく、ありったけの集中力を引っ張り出して頭に叩き込んだ地図のとおりに進んでいった――つもりなんだけど……。
「どうして!? どうしてここで行き止まりなの??」
叫んじゃうよ。間違ってないはずよ!!
「少し戻るか?」
不本意ながら、リックの意見に頷き、振り返って再度叫ぶ。
「何で道が消えてるの!」
今来たばかりの道があったところに、デンッと大きなくリーム色の壁があったのだ。
「上総がいないわ!」
えー?
「いないって、どこに行ったのよ!?」
「そんなのわかるわけないでしょ!」
神隠し!? 冗談じゃないわ。はぐれたのかしら? いつ? ついさっきまでそばにいたじゃない!
「ポチ、ポチは?」
「いない……」
空気が凍りつく。
ポチまで消えるなんて……。
「あたし、探してくる!」
「マリノ」
「だって、だってポチがあたしに黙ってどこかに行っちゃうなんてありえないもん。一人にしないって、あたしを一人にしないって約束してるんだから!!」
開いてる通路を目指して走り出す。
「マリノ!」
腕をつかまれて振り返る。
「北くん離して!」
「俺も、行く」
あわてて首を振った。
「これ以上バラバラにならないほうがいいよ。北くんは美来たちと一緒にいて。心配しないで、大丈夫。あたし一度通った道は忘れないし」
「――それ、意味がなさそうだ」
「? どうゆうこと?」
北くんの視線をたどってみると、あたしの行こうとしていたほんの二、三メートル先が壁になっていて、美来まで消えていた。
「なっ!」
あわてて振り返ると、あたしがさっき来た道はもうなく、代わりに横に道ができている。
「この通路は常に形を変えてるみたいなんだ」
そんな……。
「詐欺だ!」
怒るわよ! あたしの苦労は一体なんだったのよ! 地球の基地とは違って、音も気配もなく通路が変化するなんてどうゆうことなの。
唯一の特技でみんなを案内してきたはずなのに、あたしの不注意で、あたしが気づかなかったせいでみんなばらばらになってしまった。
こんなのってない。こんなのってないよ!!
ポチ、美来、上総、リック……
「さがす」
「マリノ……」
「ぜーったい探してみせる!」
出そうになった涙をすんでのところで止め、着たくんをまっすぐに見る。
北くんは頷いて
「行こう!」
と言った。
右に左に、とにかく勘だけを頼りに進んでいく。
北くんの例の探知機もここでは役に立たなかった。
目的地はわかってるはずだから、とにかく奥へ。
できるだけ早くたどり着いて皆を待っていよう。
奥に進むにつれて、通路の小細工は増えていった。壁がゆがんだりミラーハウスのようになったり……こんな事態じゃなかったらアトラクションぽくて、結構面白かったかもね。
そんなことを考えて、注意不足になってたのかもしれない。ひたすら走りつづけ角を曲がった時、突然閃光が走った。
「マリノ!」
北くんに突き飛ばされ、あたしは頭をいやとゆうほど打って―――暗転。




