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maki
二人はしばらく開いた口が塞がらないといった感じで身動き一つしなかった。
そのまましばらく沈黙が流れ、口火を切ったのはレットだった。
「マサユキ……お前って一体……。よく、次から次へと……」
「だから言ってるだろう? 魔法使いだってさ」
レットは少し笑った。今まで見えなかった未来が見えてきた気がする。
真幸が魔法使いだなんてことは信じちゃいないが、なにか自分達とは違う、プラスのパワーを感じるのは確かだった。――いや、もしかしたら、本当に魔法使いなのかもと、ダンは思った。
side★Marino
どこかで話し声がする。目をあけようかと思ったけど、なんとなくそうしてはいけないような気がして、あたしはそのままの状態でいた。
何を話しているのかまではわからないけど、どうやら話は深刻そうで、一組の男女が言い争ってる。あたしはその隣の部屋にいるようだ。
しばらくして、目をうっすらと開けてみた。
インテリアのマニアかと思えるほど、きれいに整った部屋。視界を少しずつずらしていくと、様々な絵が目に映った。
体を起こしてみようとしたが、妙な吐き気と頭痛に襲われた。
そのうち話し声はやんで、足音がこっちに向かってきた。
あたしはとっさに目をつむり、元の状態となった。
センサー式の電気がこうこうとつけられ、人の影をまぶたの裏で感じた。
その人が、自分のすぐそばまできていることがわかった。
恐怖心と焦燥感。
あたしはそれが北くんでないことを感知した。
「たぬき寝入りはよせよ。もう起きろ」
その声にあたしは少し失望した。やっぱり北くんじゃなかった。
しぶしぶ目を開けると、やっぱり知らない人。目は冷たそうで、でもきれいな顔立ちの男性がいた。
「起きられないのよ。気分が悪いの」
あたしってば結構度胸ある……。と、その人はあたしに背を向けて部屋から出て行き、しばらくしてコップを手にして戻ってきた。
「飲めよ」
と男はあたしにコップを差し出す。でもあたしは起きられない。
ああそうかと、その人はあたしを起こしてくれた。やっぱり気分は悪い。
コップの中を覗き込むと、透明で、水のようだった。
「大丈夫だよ。人工水だから」
この時代、飲み水はないに等しかった。ほとんどの水は浄水装置を使っても、汚染はわ
ずかしか取り除けない。
人工水なんて、この時代からあったんだ。知らなかった。多分、アマカーテア軍が開発
したものだろう。そして多分、これは軍内でしか使われていないんだろうな。
あたしは一気にその水を飲んだ。お世辞にもおいしいとはいえない。
「煙をかなり吸ったから気分が悪くなったんだろう。しばらくそのままでいろ」
冷たそうだと思ってたけど、案外根は優しいのかもしれないな。
そういえば、ガーティはどうしたんだろう? どうしてあたしはココにいるんだろう?
様々な疑問が頭を駆け巡るけど、今は考える気分じゃない。
「あなたが助けてくれたの」
あたしは一番言いたいことはあえて言わなかった。
「まぁ、そういうことになるな」
と、曖昧な返事が返ってきた。
その人の着ている服は当然軍服。上総が言ってた階級別のバッチをつけている。
だんだん気分がよくなってきた。水がよかったのかな?
「水の中に少し薬を入れておいたから、だいぶ楽になっただろう?」
なんだかこの人、あたしの心が読めるみたい……。
「あんたってすぐ顔に出るんだな。大体わかるよ」
と笑われた。つられて、思わず私も笑ってしまった。
「名前、なんていうの?」
あたしは何気なく聞いてみた。
「俺ね。アラン・ドロンだよ。アラン・ドロン中尉。仕事でも女の前でもアラン・ドロン」




