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chie
「ねぇ、上総。旧区の作りわかる?」
あたしは一番軽い銃をもらって、エネルギーパックを入れながら言った。
「正直言って、あまりわからないな……」
「そっか……」
んー、ちょっとこまったぞ。
他の地区は完璧にわかるんだけど、ここだけはすっぽり抜けてるもんねぇ。
「それにしてもすごいですね」
突然ポチが感心したように言った。
「なにが?」
「この銃の山ですよ。すごいクラッシック・タイプがこんなに!」
ポチは鈍い色合いの古い銃を引っ掻き回しながら、あ、これは何世紀の○○だとかぶつぶつ言ってる。
「おまえくわしいな」
上総が少し笑って言うと、ポチはふと手を止めて苦笑した。
「ええ、まぁ……」
「もし。もしよかったら、あとで見てもらいたいものがあるんだ」
「なんですか?」
「少し変わったタイプの銃……といってもおもちゃなんだけど……」
戸惑うような眼をして上総が言う。
何か含まれてる感じで、なんだか急に上総が頼りない幼い子どもに見えてドキッとした。
「ええ、いいですよ」
「サンキュ。俺のね、手がかりなんだ」
微笑して、上総は自分用の銃の手入れをした。
「手がかり?」
「そう。俺幼い頃にこの国に迷い込んだらしいんだ。それ以前に自分がどこにいたかまったく覚えてない。その時、しっかり握ってたそれだけが俺の唯一の手がかりなんだ」
――この時代、自分のルーツがわからないのは珍しいことではないんだけどね……。
そう言って苦笑いする上総の姿に、あたしは急に切なくなった。
ポチは安心させるように優しい笑顔を見せ、
「大丈夫。きっとお役に立ちますよ」
と、上総の肩に手を置く。
上総もクスッと笑ってそれに答えた。
「なぁおまえ、本名はなんていうんだ」
「ポッセリアム・シスタル・ヴィゼサート・ロイス・サルーダ」
「くっ。ずいぶん長い名前だな。覚えるのが大変そうだ」
「――故郷では、リオンと呼ばれていました」
「リオンか」
上総とポチはすっかり打ち解けてしまい、あたしはぽつんとそれを見ていた。
故郷でのニックネームなんて知らなかったな。
考えてみるとあたし、ポチのことってほとんど知らないことに気づいて、すごいショックを受けた。
知ってるのは長い名前と(それさえ正確にいえないし……)、年齢、大学名。GFはたくさんいるけど、特定の彼女はいないらしいこととか、今のこと。昔のことは何も知らない。
いつのまにか言葉さえ打ち解けて、ずっと前から友達だったような二人を見てると、嬉しいような悲しいような、妙な気分になった。
「そろそろ行こうか」
あたしはできるだけ元気よく言って、ぴょんと立ち上がった。
out★side
「まったく。無茶をするものだね、リチャード」
レットはニコニコしながらも目を完全に怒らせて言った。つづいてダンが
「おまえはいつも計画性がないんだ。年端も行かない坊やたちを危険にさらすなんて!」
本当にイライラしてるように言った。
美来はハラハラしながら、どうしていいかわからずにいた。
みんなに真幸達が行動を開始したことがばれてしまったのだ。
「計画はある」
リックが妙に落ち着いていった。
「どうある? 今日の反乱に便乗するつもりか?」
美来は思わずビクッとする。
何で今日反乱があることを知ってるの?
空気が動くのを感じて振り向くと、トニーと目が合った。
部屋にはいってきたトニーは美来にはにかんだ笑顔を見せ、レットのほうに歩いていった。
「思ったとおりだよ、レット」
そう言って、彼は手にもっていた何枚かのプリントをレットの前に置いた。
レットは広げられたそれらの用紙を見て少し息をついた。
「よし、いけそうだ」
その子と場を合図に、トニーがグラフィック・マップを円卓に映し出した。
みんなその周りに集まったので、美来もそっと近づいた。なんなんだろう?
地図の中には数字やら記号やらがあふれかえっている。
「まず、確かな情報として、ゴールディー地区でのプロジェクトは予定通り行われます」
「とうとうか……」
ダンがつぶやく。リックは緊張してるみたいだ。
「それから、アマカーテア基地Dブロックが今のところないということ」
「月の本基地に行ってるってことだな」
「ええ、その通りです」
「とするとだ。ガルディアのエネルギーパック製造の中継地であるゴールディが反乱を起こせば、当然それを止めなくちゃならないってことだな」
「そう。それに周辺地区のシルヴィ、ランスラット、ニュートレークが重い腰をあげ、同盟を結びました」
ピューっと小さな口笛が鳴った。
結論として、その予防線も張らなくちゃならないガルディアは当然手薄になるわけで……。
――ああ、そうか。その隙をアマカーテアがついたんだっけ。その対立からあっという間に本基地が滅亡して共倒れした……。
そこまで考えて、美来はハッとする。
今の状態ままじゃアマカーテアのほうが絶対有利だ。共倒れするには、アマカーテアにもかなりのダメージを与えなくちゃいけないわけで……。
でも、どうやって? まさか本当に魔法使いが現れるわけないし。
「――ということだ」
はっと気づくと、レットの話は終わっていた。
レットはマップ上の文を指差す。
「ただ問題なのが、この文だ。一体何を意味するのか。これさえ解読できれば、重大なカギになりそうなんだが……」
美来はその文に目を落とす。
これは……。
「私がやってみるわ。トニー、キーボード貸して」
美来は有無を言わせずキーボードを受け取ると、電光石火の勢いでそれを打ち始めた。
どこかにヒントがあるはずだわ!




