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chie
そうしてあたし達は別々に分かれて行動をはじめたんだけど、リックってば、何を考えてチームわけしたのかしらねぇ。
ペンシルライトをつけて地下道を進む。あまり使われていないみたいだ。
「足元に気をつけたほうがいいぞ」
北くんがささやくように言った。
「うん、わかってる」
あたしも小さな声で言った。誰かがいるかもしれないし、気をつけなくちゃね。でも……このみょ~な空気はなんなのぉ? 重くて息苦しくなっちゃう。
北くんの緊張感がすごく伝わってくるんだよね。あたしが能天気なだけなのかなぁ。実は映画みたいでわくわくしてるんだけど……。
「きゃっ!」
「マリノ!?」
う、はずかしい……。言われたそばからこけちゃった。
「びっくりさせないでくれよ」
あたしが転ばないよう、とっさに助けてくれた北くんがほっと息をついていった。
「あはは、ごめんなさい」
「まったく。今注意したばかりなのにな」
コツンとあたしのおでこを小突いて再び歩き出す。
……でもね、手、つないだままなの……。あたしって、一人歩きそんなに危ないのかなぁ。
しばらくそのままで歩いて、やっと手を離してもらえたときは、ちょっとほっとした。
北くんて時々変。
「あたし、幼稚園児じゃないよ」
小さくつぶやく。
ちょっとすねちゃうもんね。
しばらくの沈黙の後、北くんが何かつぶやいた。
「鈍感マリノ」
「え? なに? なんて言ったの?」
マリノしか聞こえなかったけど、なんか悪口っぽいぞ。
「なんでもないよ」
「なんで?! 教えてよ」
「だからなんでもないって」
「北くんのケチ」
「ケチって、おまえねぇ……」
side★rick
その頃リック達は砂埃に混じって歩いていた。
「お嬢さんたち大丈夫でしょうか」
サングラスをなおしながらポチが心配気に言った。見知らぬ土地なのだ。自分がついていったほうがよかったんじゃないか。
「大丈夫よ。真幸がついてるんだもん」
美来が軽くうけあう。
つづいてリックも
「あの坊やは頭もいいし、落ち着きもあるしな」
と、二歳ほどしか違わない真幸をぼうや扱いしながらも、彼を認める発言。
しかし、ポチはいやな予感がしてならなかった。
「いやな予感ってのは、よくあたるんだ」
そうつぶやいた声は、誰にも聞かれることはなかった。
side★Marino
あたし達が二十分ほど歩いていた時、偶然にもある人物と合流することになった。
「おまえら何してるんだ」
低い素敵な声と共に現れた人は、どこかで見たことがあった。
「上総さん……?」
思わず名前がついて出る。あの写真のかっこいいお兄さんだ。
「なっ! おまえたち、何者だ?」
すっごくいぶかしげに上総さんが言った。
まぁ、普通は驚くわよね。まったく知らない人が、いるはずのない場所歩いてて、しかも自分の名前知ってたらさ。
あたしとしても美来が興味を持ってたから、印象に残ってただけだし。
そこで北くんが、事のあらましを簡潔、合理的、かつ明確に説明した(うーん、さすが)。
「そうか……」
上総さんが少し力を抜いたように見えた。
その時、あたしはやっとここの空気がかなり緊張したもので、お互いを探りあってたことに気が付いた。後から聞いたんだけど、最悪の場合、銃を抜かれていたかもしれないって。ただ、あたしがあまりにものほほーんとしてたため、敵には見えず、上総さんは警戒を解いたらしい。
うーん、喜ぶべきか悲しむべきか……複雑だわ。
まぁ、そんなこんなで、あたし達は強力な味方と一緒に、おそらくみんなが捕らえられてるはずのビルへと、無事入ることができたのだ。
もっとも、あたし達の仕事は"食料の調達"なんだけどね。
廊下にはぽつぽつと正規兵が歩いている。
ピシッとした軍服がレトロな感じもするけど、かっこいいし……うーん、いい男の宝庫だわ、ここって。この人たちがアマカーテア軍なのね。もったいない……。
ここって迷路みたいに複雑な構造になってる。侵入防止のためかな。
基本構造はパズルみたいなんだけどね。
北くんが急に立ち止まった。
「どうしたの?」
小声で聞くと、北くんは親指でくいっとむこうをさす。
そおっと見てみると――ゲッ、検問?!
あそこのコンピュータで指紋やら声紋やら調べて、あわないと通れないだけじゃなく、つかまったり、いきなりどんッと撃たれたりする代物だぁ。(この前映画で見た)
レトロで怖いもの使うなよぉぉぉ。(レトロなのは過去だから仕方ないけど)
あたしは少し考えて、北くんと上総さんに提案をした。
「裏道を使おう!」
瞬間、二人の目が点になる。
でもあたしはこの基地内部を暗記していることを内緒にしてにっこり笑った。




